この記事の要点
① 2026年7月3日、厚生労働省が「地域医療構想策定ガイドライン」を公表しました。2040年頃の日本を見据えて、これまで「病院のベッドの数」が中心だった地域医療の計画が、外来・在宅医療・介護・人材確保まで含めた地域全体の設計図へと作り替えられます。
② 病床の区分は「回復期」が「包括期」に生まれ変わり、病院には「うちはこの役割を担います」という機能の名札がつきます。各都道府県は2028年度までに新しい構想をつくります。
③ 在宅医療は今回、はじめて構想の“本体”に組み込まれました。ただし方向性は「在宅を増やせ」ではなく、療養病床・在宅医療・介護施設を組み合わせて地域全体で慢性期を支えるという考え方です。この記事では在宅の部分をとくに詳しく解説します。
2026年7月3日、厚生労働省が「地域医療構想策定ガイドライン」を公表しました。ニュースで大きく報じられたわけではありません。けれども、この文書は、これから十数年のあいだに「あなたが住んでいる地域で、どの病院がどんな役割を担い、具合が悪くなったときにどこへ行くことになるのか」を決めていくための、いわば設計図の描き方を示したものです。
そもそも「地域医療構想」とは何でしょうか。2014年の法改正で始まった仕組みで、都道府県が地域ごとに「将来これくらいの入院ベッドが必要になる」と見積もり、病院どうしで話し合いながら役割を分けていく、というものでした。ターゲットは、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年。その2025年が過ぎた今、次の目標年として設定されたのが2040年です。
2040年の日本はどうなっているのか。厚労省の資料を並べると、輪郭ははっきりしています。85歳以上の高齢者が増え続け、支える側の現役世代(生産年齢人口)は減っていく。手術を必要とするような急性期の医療の需要は多くの地域で減る一方、高齢者の救急搬送と在宅医療の需要は増える。亡くなる方の数は2040年ごろにピークを迎え、年間およそ170万人に達すると見込まれています。
つまり、医療の「量」ではなく「中身」が変わる。それに合わせて地域の医療の形を組み替えないと、必要なときに必要な医療が受けられなくなる——それが今回の構想の出発点です。
図1/新しい地域医療構想は、入院だけでなく外来・在宅医療・介護との連携・人材確保までを一体で扱う「地域の医療提供体制全体の設計図」になります。(厚生労働省「地域医療構想策定ガイドライン」2026年7月3日をもとに作成)
「2040年の話」と聞くと遠い先のことに思えますが、実際に地域の姿が決まるのはこれから2年半ほどのあいだです。ここが今回いちばん重要な点かもしれません。
改正医療法(令和7年法律第87号)により、都道府県は2028年度までに新しい地域医療構想をつくることとされています。ガイドラインは、その手順をこう示しています。まず2026年度から2027年度の上半期ごろまでに、人口や医療の需要のデータを分析し、話し合いの単位である「構想区域」を点検・見直す。そのうえで2028年度までに、どの病院がどの役割を担うのかを具体的な病院名まで含めて決める——という流れです。
図2/新しい構想が形になるのは2028年度まで。つまり、いま地域で行われている話し合いが、2040年の医療の姿を決めていきます。
これまで入院ベッドは、医療の濃さに応じて高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つに分けられてきました。今回、このうち「回復期」が「包括期(ほうかつき)」という新しい名前と中身に変わります。
単なる名称変更ではありません。従来の回復期(骨折や脳卒中のあとのリハビリなど)に加えて、「高齢者の急な体調悪化を受け入れ、治療しながら入院早期からリハビリを行い、早く自宅や施設に戻す」という役割が正面から加えられました。ガイドラインの言葉を借りれば「治し支える医療」です。
背景にあるのは、高齢者の入院の実態です。誤嚥性肺炎や心不全のように、手術は必要ないけれど入院は必要、という患者さんが増えています。しかも入院しているあいだに体力や生活動作の力(ADL)が落ちて、家に帰りづらくなる。だからこそ、受け入れたその日からリハビリ・栄養・口の管理をはじめ、退院の段取りを組む病棟が要る、という発想です。
図3/新しい区分では「包括期」が高齢者医療の受け皿として位置づけられます。(厚生労働省「地域医療構想策定ガイドライン」より)
もうひとつ、細かいけれど実務に効く変更があります。必要病床数を計算するときの「ベッドの稼働率」の前提です。これまでは高度急性期75%・急性期78%・回復期90%・慢性期92%という数字が使われていました。「急性期78%では病院の経営が成り立たない」「新興感染症に備えるゆとりも要る」といった指摘を受けて、高度急性期78%・急性期83%・包括期87%・慢性期92%に改められました(さらに医療DXなどによる効率化分として高度急性期・急性期は+1%、包括期+2%、慢性期+0.5%を上乗せ)。数字が上がるということは、同じ患者数ならば必要なベッドは少なく計算される、ということです。
今回の構想でいちばん大きな新機軸が、「医療機関機能報告」です。これまでは病棟ごとに「うちのこの病棟は急性期です」と報告する仕組みでした。これに加えて、病院そのものが「地域のなかでどの役割を担うのか」を都道府県に報告することになります。
用意された名札は5種類です。
図4/病院は「現在どの機能に近いか」と「2040年にどの機能を担うか」を毎年報告します。2028年度までに、地域の話し合いを経て2040年の役割が決まります。
①と②を同時に選べない、というのが今回の設計の肝です。「手術と重症救急を集約する病院」と「高齢者救急を面で受け止める病院」を地域のなかで分ける。そうしないと、どちらの機能も中途半端になり、当直も緊急手術も回らなくなる——という危機感が背景にあります。
もうひとつ大切なのは、「◯◯という診療報酬を届け出ているから、この機能」という機械的な決め方はしないとガイドラインが明記していることです。入院料の届出は目安にすぎず、実際の診療の中身、地域での役割、医師の確保の見通し、さらには病院の経営状況や建物の老朽化まで含めて総合的に話し合うこととされました。築年数が浅いというだけで拠点に選ぶのも適切ではない、とも書かれています。
地域医療構想の議論は「構想区域」という単位で行われます。原則として二次医療圏と一致させて運用されてきましたが、現在、二次医療圏の半数近くが人口20万人以下。人口減少が進むなかで、そうした地域で入院医療を区域内だけで完結させるのは難しくなっています。そこで今回、構想区域そのものを見直す(隣の区域と統合する、市町村単位で再編する等)ことが求められました。
そして、もっとも具体的な数値目標が、急性期拠点機能を担う病院の数です。
図5/急性期拠点機能の数の考え方。あくまで目安であり、患者さんの流出入や医師の確保見通しを含めて地域で総合的に決めます。
参考までに、当院のある福岡・糸島構想区域(福岡市と糸島市)は人口160万人規模の大都市型です。九州大学病院・福岡大学病院をはじめ高機能病院が集まり、周辺の区域や九州各地から患者さんが集まってくる地域でもあります。図5でいえば右端の「個別性が高い区域」に当たり、20〜30万人に1か所という目安をそのまま当てはめる地域ではありません。一方で、急性期の病床が多く回復期(新しい区分では包括期)が不足しているという指摘は以前からあり、大きな区域をどう分けるか、あるいは区域内をいくつかのまとまりに分けて議論するかが、これからの論点になっていきます。
外来については、これまで医療計画の一部として扱われてきましたが、今回、構想の協議事項に正式に入りました。課題として挙げられているのは、診療所の医師の高齢化による閉院、小児科や産婦人科の維持の困難、休日・夜間の初期救急体制の確保、そして通院そのものの難しさです。
対策として書き込まれたのは、地域の医師会と連携した輪番体制や、病院がかかりつけ医機能の一部を補うこと。そして通院手段の確保です。具体例として、対面診療を基本としたオンライン診療の活用、過疎地域での送迎支援、へき地の巡回診療、公共交通の確保が挙げられ、都道府県の地域交通担当部局や都市計画担当部局と連携することまで求められています。医療の話に「バスの路線」や「まちづくり計画」が出てくるのは、今回のガイドラインの特徴のひとつです。
もうひとつ、医科・歯科・薬局が連携する「医歯薬連携」も明記されました。口の機能が落ちてきた方を歯科につなぐ、服薬情報や重複投薬・多剤投与の状況を共有する、といった取組です。これらについては「新たな地域医療構想の方向性に関わらず速やかに進めることが重要」と、めずらしく前のめりな書き方がされています。
——ここを一段深く読む
ここからは、当院が日々関わっている在宅医療の部分を掘り下げます。今回のガイドラインで在宅医療がどう位置づけられたのかは、患者さんとご家族の生活に直接ひびく話です。
在宅医療の需要がこれから増えることは、はっきりしています。厚生労働省の推計では、2020年から2040年にかけて、75歳以上の訪問診療の需要は43%増、そのうち85歳以上に限れば62%増。同じ期間に85歳以上の救急搬送は75%増える見込みです。全国の二次医療圏のうち237の圏域では、在宅患者数のピークが2040年以降にやってきます。
図6/在宅医療の需要と高齢者救急は、いずれも大きく伸びます。(厚生労働省 医政局地域医療計画課の推計をもとに作成)
ところが、支える側は増えません。在宅医療は、医師や看護師が患者さんの家まで移動して行う医療です。ガイドラインはこの点をはっきり指摘しています——医療従事者が減っていくなかで、人口密度の低い地域ではとくに提供が難しくなる、と。需要は増え、担い手は減る。この二つの線が交差するところに、今回の政策の悩みがあります。
ここが、今回のガイドラインを読むうえで最も重要な一文だと感じました。
これは「在宅医療をたくさん増やしましょう」という掛け声とは、かなり違う方向を向いています。慢性期の医療が必要な方を支える受け皿は「療養病床」「在宅医療」「介護保険施設」の3つあり、地域によって、どこが厚くてどこが薄いかが違う。だから、その地域にすでにあるものを見てから配分を考えなさい、というのです。
図7/慢性期を支える3つの受け皿。地域ごとに厚みが違うため、まず現状を把握したうえで組み合わせを考えます。
患者さんやご家族の立場に置きかえると、こういうことになります。「最期まで家で」という希望も、「施設で穏やかに」という選択も、どちらも地域の医療のなかに正式に位置づけられている。在宅か施設か入院か、を対立させるのではなく、その時々の状態と、ご本人・ご家族の生活に合う場所を選び直していける——そういう体制をつくろう、という方向です。
5つの医療機関機能のうち、在宅に直接関わるのが③の在宅医療等連携機能です。これは主に病院が担うことを想定した機能で、地域によって求められる中身が変わります。ガイドラインが例示しているのは、次のような役割です。
- バックベッドの確保——在宅で療養している方が急に悪くなり、入院が必要になったときの受け入れ先になる
- 夜間・休日の往診の補完——診療所だけでは対応が難しいときに、病院が代わりに往診に出る
- 自ら訪問診療を行う——診療所が少ない地域、あるいは小児や医療的ケア児など専門性の高い在宅医療について
- 訪問看護との連携——自院で訪問看護を提供する、あるいは訪問看護ステーションを技術的に支援する
- 定期的なカンファレンスの開催——連携する診療所と患者さんの情報を共有し、夜間・休日の連携体制をつくる
ここで注意したいのは、ガイドラインが釘を刺している点です。「在宅療養中の患者の緊急入院を受け入れうる医療機関がすべてこの機能を報告することは、趣旨にそぐわない」。つまり、「うちも一応受けますよ」という病院が全部手を挙げても意味がなく、その地域で在宅を実際に支える役割を引き受ける病院はどこかをはっきりさせることが目的だ、ということです。
在宅医療でご家族がいちばん不安に感じるのは、「夜中や日曜に容態が変わったらどうすればいいのか」でしょう。ガイドラインは、この24時間体制を一つの診療所の頑張りではなく、地域の仕組みとしてつくるという考え方を示しました。
図8/急変時はまず在宅を担う診療所が初期対応し、入院が必要なら在宅医療等連携機能を担う病院が受ける。平時からの情報共有がその土台になります。
担い手が減るなかで在宅医療を続けるために、ガイドラインは具体的な手段を挙げています。
| 手段 | どういうものか | 患者さんにとっての意味 |
|---|---|---|
| ICTによる情報共有 | 在宅を支える医療機関・訪問看護・薬局・介護事業所が、平時から患者さんの情報を共有しておく仕組み | 夜間・休日に当番の医師が替わっても、経過を一から説明しなくて済む |
| D to P with N を含む オンライン診療 | 看護師が患者さんのそばにいる状態で、医師がオンラインで診察する形。対面診療が基本であることが前提 | 状態が安定している時期は訪問の頻度を調整でき、必要な医療は続けられる |
| 遠隔モニタリング | 血圧・体温・酸素飽和度などを離れた場所から継続的に把握する | 急変のリスクがある方の変化に早く気づき、往診や訪問看護につなげられる |
今回はじめて明確に書き込まれたのが、高齢者施設に入所している方が、必要なときに医療を受けられる体制です。背景には、老人ホームからの救急搬送が2021年の約45万件(救急搬送全体の8.2%)から2040年には約67万件へ増える見込み、という推計があります。
2024年度の介護報酬改定で、介護保険施設などには「協力医療機関」を定めることが義務づけられました。求められている体制は次の3つです。
- 入所者の容態が急変した場合などに、医師または看護職員が相談に応じる体制を常時確保していること
- 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること
- 入院が必要と認められた入所者の入院を、原則として受け入れる体制を確保していること(これは病院のみ)
ガイドラインはさらに、施設と医療機関のあいだで「どういう状態変化が起きたら相談するのか」「受診と搬送のルールをどうするか」を平時から整理しておくこと、対面やオンラインでの定期的な会議やICTによる連携を広げていくことを求めています。そして入院しても、状態が落ち着いたら元の施設に戻れるように——退院後の再入所まで見据えた連携も重要だとしています。
高齢者救急が増えると、病院のベッドが埋まります。そこでガイドラインが示したのが、介護老人保健施設や介護医療院を退院先として活用するという道筋です。
高齢の方は、治療が一段落しても、すぐに自宅の生活に戻るのが難しいことが少なくありません。かといって、急性期や包括期の病棟に入院し続ける必要があるとも限らない。介護老人保健施設はリハビリを提供して在宅復帰を支える施設ですし、介護医療院は医療が必要な要介護の方の長期療養・生活の場です。こうした施設の機能を病院側がよく理解して、退院時の情報連携を丁寧に行うことで、早い退院につなげられる——という考え方です。
・介護保険施設の医療提供やリハビリの機能について、地域の関係者が理解を深める場をつくる
・入院中の患者さんの状態像と、施設側が受け入れられる状態(たとえば酸素療法が実施可能かどうかなど)を整理して地域で共有する
・退院時の連携の実例を、具体的なタイムスケジュールや情報のやりとりの中身まで含めて地域で共有する
| 場面 | これから期待されること |
|---|---|
| 訪問診療をお願いするとき | 診療所が中心であることは変わりません。ただし診療所が少ない地域では、病院が在宅医療を担うケースが増えていきます |
| 夜間・休日の急変 | まずかかりつけの在宅医が対応。入院が必要なときの受け入れ先が、地域のなかであらかじめ決まっている状態を目指します |
| 入院したあと | 入院した日から退院の準備が始まります。退院前に、訪問診療・訪問看護・介護のメンバーが顔をそろえて段取りを組むのが標準になっていきます |
| 施設に入っているとき | 協力医療機関が決まり、相談・受診・搬送のルールが整理されます。入院してもまた戻れるように、という前提での連携が求められます |
| 看取りのとき | 骨太の方針2026にも「看取りなど人生の最終段階における患者中心の適切な医療・ケア」が明記されました。どこで、どのように過ごしたいかを話し合っておくこと(ACP)の重みが増します |
最後に、在宅医療に長く関わってきた立場から、正直に感じることを書いておきます。今回のガイドラインは、在宅医療をはじめて構想の本体に据えたという点で、大きな前進だと思います。同時に、書かれていることの多くは「地域で話し合って決めてください」という形になっています。誰が話し合いに参加するかによって、その地域の在宅医療の形は変わる。だからこそ、実際に訪問している診療所・訪問看護ステーション・薬局・歯科・ケアマネジャーの声が、都道府県や市町村の会議に届くかどうかが、これからの数年でとても重要になります。
2026年7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太の方針2026)は、副題を「『責任ある積極財政』元年」としています。この文書のなかで、地域医療構想はこう位置づけられました。
あわせて、救急医療体制の確保、看取りなど人生の最終段階における患者中心の適切な医療・ケア、精神医療に関する地域医療構想を踏まえた取組、訪問看護の適切な実施を推進すると明記されました。在宅医療と終末期のケアが、国の経済財政の基本方針に名前入りで書き込まれているわけです。
さらに、「新たな地域医療構想の下、将来需要を踏まえ、老朽化・災害対策を含む地域に不可欠な施設・設備の計画的な整備への必要な支援の在り方を検討する」との記述もあります。病院の建て替え費用をどう支えるかは、どの病院が拠点機能を担うかという議論と表裏一体です。
| 立場 | これからの数年で見ておきたいこと |
|---|---|
| 患者さん・ご家族 | お住まいの都道府県のウェブサイトで「地域医療構想」のページを確認してみてください。話し合いの資料やパブリックコメントの募集が公表されます。かかりつけの病院がどの機能を担うかは、2028年度までに決まります |
| 在宅で療養中の方 | 急変したときの連絡先と入院先が決まっているかを、あらためて確認しておきましょう。ケアマネジャーや訪問看護師と、どこまで話が共有されているかも大事です |
| 診療所・かかりつけ医 | 在宅医療等連携機能を担う病院がどこになるか、休日・夜間の輪番や後方支援をどう組むかが議論の的になります。かかりつけ医機能報告の協議の場と一体で運用される可能性があります |
| 病院 | 2026年度から医療機関機能報告が動きます。「現在担っている機能に近いもの」と「2040年に担う機能」を自ら検討して報告し、地域の話し合いを経て2028年度までに決定します |
| 訪問看護・介護事業所 | 慢性期の受け皿をどう組み合わせるかの議論に、現場の実態を届けることが重要です。協力医療機関の確保や、受診・搬送のルールづくりも協議事項です |
| 自治体 | 市町村は病院の開設者、介護保険の実施主体、そして住民に最も近い立場として参加が求められます。都道府県には、医療部局だけでなく介護・薬務・地域交通・都市計画の各部局との連携体制づくりが求められています |
Q1 結局、近くの病院がなくなるということですか?
そうとは限りません。厚生労働省は「地域医療構想は、病床の削減や医療機関の統廃合ありきではなく、地域での自主的な協議を踏まえて取り組むもの」と明記しています。ただし、手術や重症の救急を集約する方向であることは事実です。集約された場合でも、その病院は高齢者救急を受け止める役割など、地域で必要な役割を担うことが求められます。また、集約によって通院や搬送が難しくなる地域については、送迎支援や巡回診療、公共交通の確保をあわせて検討することとされています。
Q2 「包括期」のベッドが増えると、何が変わりますか?
高齢の方が誤嚥性肺炎や心不全などで入院したとき、治療と並行して入院早期からリハビリ・栄養管理・口腔管理を受け、早く生活の場に戻ることを目指す病棟が増えていくことになります。「治すだけ」でも「寝かせておくだけ」でもなく、生活に戻す視点をもった入院医療が増える、とお考えください。
Q3 在宅医療をやっている診療所が減ってしまうのではないですか?
診療所の医師の高齢化や閉院は、ガイドラインでも課題として明記されています。だからこそ、これまで在宅を担ってきた医療機関だけでは維持が難しい地域では、病院が新たに在宅医療を担うことや、在宅医療の後方支援を担うことが求められました。地域全体として必要な在宅医療を提供できる体制を確保する、というのが基本的な考え方です。
Q4 精神科の医療はどうなりますか?
改正医療法により、地域医療構想に精神医療が位置づけられることになりました。ただし今回のガイドラインには精神医療の具体的な中身は含まれておらず、専門のワーキンググループで検討が進められ、2026年度中を目途に結論を得るとされています。精神医療についてのガイドラインが出てから、地域での取組が検討されることになります。
Q5 必要病床数が今のベッド数より多い/少ないと、すぐに増減するのですか?
しません。必要病床数と、病院が報告するベッド数は計算方法が違うため、単純に比較して過不足を判断するのは適切でない、とガイドラインは明記しています。実際の診療の実態や病床の稼働状況を踏まえて、地域で議論することとされています。一方で、増床の申請については、地域医療構想の達成のために必要ないと認められる場合に都道府県知事が許可しないことができる、という仕組みが改正医療法で新設されました。
Q6 私たちが意見を言う機会はありますか?
あります。ガイドラインは、都道府県に対して、検討内容や方向性を整理した案を住民も含め広く共有できる形で公表すること、パブリックコメントの実施等により住民の意見を十分に把握できるよう検討を進めることを求めています。また、都道府県の会議に住民の意見を反映させられる人を参加させることも重要だとしています。お住まいの自治体の医療計画・地域医療構想のページを、ときどき見てみてください。
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ふくろう訪問クリニックは、福岡市早良区を拠点に訪問診療を行っています。緩和ケア、難病、精神科、認知症を専門領域とし、法人内の訪問看護リハビリステーションと連携しながら、24時間の連絡体制で在宅療養を支えています。
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参考にした資料
- 厚生労働省医政局「地域医療構想策定ガイドライン」2026年7月3日公表(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001718620.pdf)
- 厚生労働省「2040年に向けた地域医療構想」(政策ページ、2026年7月3日更新)
- 医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)/「『医療法等の一部を改正する法律』の公布及び一部施行について」令和7年12月12日付け医政発1212第2号 厚生労働省医政局長通知
- 「地域医療構想における取組について」令和8年7月8日付け医政発0708第12号 厚生労働省医政局長通知
- 「地域医療構想における重点支援区域、モデル推進区域等の取組について」令和8年7月8日付け医政発0708第13号 厚生労働省医政局長通知
- 厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」(地域医療構想及び医療計画等に関する検討会、令和8年3月/社会保障審議会医療部会 令和8年3月審議・承認)
- 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2026 『責任ある積極財政』元年 〜日本の挑戦を起動する!〜」令和8年7月21日閣議決定(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/2026_basicpolicies_ja.pdf)
- 厚生労働省医政局地域医療計画課「在宅医療の現状と体制整備について」(訪問診療需要・救急搬送・死亡数の将来推計)
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」
- 令和6年度介護報酬改定(介護保険施設等における協力医療機関の確保に係る要件)
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
- 日本医師会「新たな地域医療構想に係るガイドラインの方向性について確認」(都道府県医師会担当理事連絡協議会、2026年)
- 福岡県「福岡県地域医療構想」「福岡県保健医療計画(令和6年度〜令和11年度)」
