大雨で不安になってしまう方へ

ふくろう訪問クリニック コラム|2026年9月6日公開(この記事の気象情報は2026年9月6日時点の内容です)

今年も「線状降水帯」という言葉を、夏から秋にかけて何度も耳にしています。2026年9月6日の時点でも、台風と秋雨前線の影響で関東・東海・東北に線状降水帯の半日前予測が出され、近畿でも警報級の大雨が続く見込みと伝えられています。福岡でも、昨年8月には県内で線状降水帯が繰り返し発生しました。

雨音が強くなるたびに胸がざわつく、テレビの速報から目が離せなくなる、眠れない——訪問先でも、そう話される方が増えています。この記事では、「大雨で不安になってしまう」こと自体をどう考えたらよいか、そして不安を「準備」に変えるために、いつ・何を確認しておけばよいかを、2026年5月に大きく変わった防災気象情報と、最新の医学情報をもとに整理します。

SECTION 01

先に結論——大切なことは3つ

  • 1大雨で不安になるのは、体が正しく反応している証拠です。危険を前にして落ち着かない・眠れない・動悸がするのは、災害時に多くの人に起こる「正常な反応」だと、厚生労働省や各県の精神保健福祉センターも説明しています。不安そのものを消そうとするより、不安のエネルギーを「確認と準備」に向けたほうが、体も心も楽になります。
  • 2「いつ動くか」は雨が降ってから決めない。「レベル3」で動くと先に決めておく。2026年5月29日から、気象庁の情報は名前の頭に「レベル◯」がつくようになりました。高齢の方・持病のある方・介助が必要な方は、自治体の「高齢者等避難(警戒レベル3)」が出たら動く、が公式の目安です。レベル5を待つと、もう安全に動けないことがあります。
  • 3命を左右するのは、雨そのものより「薬・電源・連絡先」の3点です。お薬手帳と1週間分の薬、在宅酸素や人工呼吸器の停電対策、そして「困ったときに誰に電話するか」。この3つが手元にある人は、避難しても、自宅に留まっても、体調を大きく崩しにくいことが過去の災害から分かっています。
SECTION 02

いま何が起きているのか——線状降水帯と「3段階の情報」

線状降水帯とは、発達した積乱雲が次々と生まれて列をつくり、数時間にわたってほぼ同じ場所に激しい雨を降らせ続ける現象です。気象庁は、長さ50〜300km程度・幅20〜50km程度の帯状の強い雨の区域を線状降水帯と呼んでいます。1つの積乱雲で30分〜1時間ほどで終わる「ゲリラ豪雨」と違い、同じ場所に何時間も降り続けるのが特徴で、川の氾濫や土砂災害を引き起こしやすくなります。

2020年7月の豪雨(令和2年7月豪雨)では、九州で6日間に9回の線状降水帯が発生し、球磨川や筑後川などが氾濫しました。この災害では死者84人のうち約8割が65歳以上で、熊本県球磨村の特別養護老人ホームでは入居者14人が浸水で亡くなっています。大雨の犠牲者は、高齢の方・動きにくい方に集中する——これは日本の水害に繰り返し見られる事実です。

2026年から、線状降水帯の情報は「3段階」になりました

気象庁は2022年から「半日前の呼びかけ」を行っていましたが、2026年5月29日からはそこに「直前予測」が加わり、次の3段階で伝えられるようになりました。

線状降水帯に関する情報は、発生の「半日前」「2〜3時間前」「発生時」の3段階 ① 半日前予測 気象解説情報として発表 発生のおよそ半日前。都道府県など広い範囲が対象 → 備蓄・薬・避難先の確認、家族と連絡する段階 ② 直前予測 2026年5月29日から新設 発生の2〜3時間前が目標。より細かい地域に絞って発表 → 動ける人はここで避難を始める段階 ③ 発生情報 気象防災速報(線状降水帯発生) すでに発生している。警戒レベル4相当以上の状況 → 外が危なければ無理に移動せず、建物の上の階へ ※ 半日前予測は「空振り」もあります。外れても準備は無駄になりません。

図1|線状降水帯の情報は3段階。①が出た時点で準備を済ませ、②で動き、③のときは「無理に外へ出ない」判断が必要になります(気象庁「新たな防災気象情報について」をもとに作成)。

大切なのは、③の「発生情報」が出てから動くのでは遅いということです。発生情報は、警戒レベル4相当以上の状況で出されます。つまり、その時点で川や崖の近くはすでに危険です。だからこそ、①の半日前予測が出た段階で準備を終え、②が出たら(あるいは自治体の避難情報が出たら)動く、という順番を、雨が降る前に決めておく必要があります。

なお、半日前予測は外れることもあります。気象庁自身が予測の的中率を公表しており、呼びかけたのに発生しなかった「空振り」は珍しくありません。「また外れた」と感じると次の呼びかけを軽く見たくなりますが、準備した薬や水は次に使えます。空振りは、練習ができた回だと考えてください。

SECTION 03

「レベル」を読めるようになる——2026年5月に変わった防災気象情報

これまで「大雨警報」「土砂災害警戒情報」「氾濫危険情報」など、似た名前の情報がたくさんあり、どれがどれくらい危ないのか分かりにくいという問題がありました。2026年5月29日から、気象庁と国土交通省はこれを整理し、情報の名前そのものに警戒レベルの数字をつけて発表するようになりました。

5段階の警戒レベルと、2026年5月29日からの情報名・とるべき行動 気象庁の情報名(例) 自治体の避難情報/とるべき行動 レベル5 特別警報 例:レベル5大雨特別警報/レベル5氾濫特別警報 緊急安全確保 災害がすでに起きている。命を守る最善の行動を レベル4 危険警報(2026年に新設) 例:レベル4大雨危険警報/レベル4土砂災害危険警報 避難指示 危険な場所にいる人は全員避難 レベル3 警報 例:レベル3大雨警報/レベル3氾濫警報 高齢者等避難 高齢者・持病のある人・介助が必要な人は避難開始 レベル2 注意報 例:レベル2大雨注意報 避難先・避難経路を確認 ハザードマップ、薬、家族との連絡方法を見直す レベル1 早期注意情報 数日先の大雨の可能性を知らせる 心構えを高める 最新情報をこまめに確認

図2|警戒レベルと情報名・行動の対応。高齢者・持病のある方は「レベル3」で動くのが公式の目安です。従来の「洪水警報・注意報」は廃止され、大きな河川は「氾濫」、それ以外の川は「大雨」の情報に整理されました(気象庁・内閣府の資料をもとに作成)。

情報名が変わって覚え直すのは負担ですが、覚えるべきことは実は1つだけです。「レベル3が出たら、高齢の方・持病のある方は動く。レベル4が出たら、危ない場所にいる人は全員動く」。数字が名前についたことで、テレビやスマートフォンの通知を見た瞬間に「自分は今どうすべきか」を判断しやすくなりました。

「レベル5」は避難のタイミングではありません レベル5(緊急安全確保)は「災害がすでに起きている、または切迫している」状況です。この段階で避難所へ向かうと、途中の道路の冠水や土砂で命を落とすことがあります。レベル5が出たときにすべきことは、今いる場所でいちばん安全な場所(2階以上、崖から離れた側の部屋)に移ることです。避難所へ行くなら、レベル3〜4のうちに。
SECTION 04

不安になるのは、おかしいことではない——心と体に起きていること

雨が強くなると胸がざわつく、雨音で目が覚める、速報が気になって何度もスマートフォンを見てしまう。こうした反応は、危険を察知したときに体が「警戒モード」に入るごく自然な仕組みです。厚生労働省の「被災地での健康を守るために」でも、心配でイライラする・眠れない・動悸や息切れがするといった反応は、災害時に多くの人に起こるものとして、まずは身近な人や相談員に話すことを勧めています。

各県の精神保健福祉センターの資料も同じで、災害の前後に「眠れない、落ち着かない、やる気が出ない」といった変化が起こるのは正常な反応で、多くの場合は時間とともに回復すると説明しています。つまり、不安になること自体は「弱い」からでも「病気」だからでもありません。過去に浸水や土砂災害を経験した方、家族を災害で亡くした方、もともと不安が強い方は、反応が大きく出やすいだけです。

ただし、「見すぎ」は不安を大きくします

ここで1つ、研究から分かっていることをお伝えします。2013年のボストンマラソン爆弾テロのあと、米国の約4,700人を対象に行われた調査では、テロ関連の報道を1日6時間以上見ていた人は、現場にいた人よりも強い急性ストレス反応を示していました(Holman EA et al. PNAS 2014)。危険な出来事の映像や速報を繰り返し見続けることは、それ自体が心に負担をかけます。

大雨のときも同じです。刻々と変わる雨雲レーダーを何十回も見返しても、雨の量は変わりません。おすすめは、「見る情報」と「見る時刻」を決めてしまうことです。たとえば「気象庁のキキクル(危険度分布)と福岡市の避難情報だけを、朝・昼・夕方・寝る前の4回見る。あとは通知が来たときだけ見る」。見る回数を決めると、不安を「確認」に変えることができます。

雨の前に頭が痛くなる・めまいがする方へ(気象病)

「雨が近づくと頭痛やめまいがする」という訴えは、訪問先でもよく聞きます。気圧の変化と頭痛の関係は、片頭痛の患者さんで気圧が前日より少し下がった日に発作が増えたという報告(Kimoto K et al. Intern Med 2011)や、日本のスマートフォンアプリの大規模な記録を使って気圧低下と頭痛の発生の関連を示した研究(Katsuki M et al. Headache 2023)があり、「気のせい」ではないと考えられています。一方で、天気と片頭痛の関係は研究によって結果が分かれ、気圧・気温・湿度のどれがどれだけ影響しているかは、まだ厳密には分かっていません。

対策として確実に言えるのは、規則正しい睡眠と食事、水分をとること、いつもの頭痛薬を早めに使うこと、そして「雨の日は体調が落ちる日」だと知ったうえで予定を軽くしておくことです。ただし、いつもと違う激しい頭痛、手足の麻痺、ろれつが回らない、高熱、意識がもうろうとするときは気象病ではなく別の病気の可能性があるため、迷わず受診してください。

SECTION 05

「いつ動くか」「どこへ行くか」を、雨が降る前に決めておく

不安を減らすいちばん確実な方法は、迷う要素を前もって減らしておくことです。大雨のときに人が動けなくなる最大の理由は「本当に行くべきか分からない」「どこへ行けばいいか分からない」という迷いです。次の4つを、晴れている日に決めておいてください。

  • 1自宅の危険度を、ハザードマップで確かめる。福岡市の「総合ハザードマップ」や防災アプリ「ツナガル+」で、自宅が浸水想定区域・土砂災害警戒区域に入るかを確認します。ただし、2026年8月の千葉県の豪雨では、浸水被害を報告した人の2人に1人が浸水想定区域の「外」だったという民間の分析もあります。想定区域外でも「近くに川や崖がある」「1階に寝ている」なら、備えは同じです。
  • 2「自分はレベル3で動く人か、レベル4で動く人か」を決める。75歳以上の方、心臓・肺・腎臓の病気がある方、認知症の方、歩行に介助がいる方、在宅酸素・人工呼吸器・在宅透析を使っている方は「レベル3(高齢者等避難)で動く人」です。介護する家族も一緒に動きます。
  • 3避難先を「避難所」に限らず、複数決めておく。避難とは「難を避ける」ことで、避難所へ行くことだけではありません。安全な場所にある親戚・知人の家、ホテル、そして自宅が安全な場合は自宅の2階に移る「垂直避難」も避難です。持病があって避難所の環境が心配な方ほど、第1候補は「安全な場所にある知人宅や家族の家」がおすすめです。
  • 4「困ったとき、誰に電話するか」を紙に書いて冷蔵庫に貼る。家族、ケアマネジャー、訪問看護ステーション、かかりつけ医、在宅酸素や呼吸器の業者。停電するとスマートフォンの充電が切れて連絡先が見られなくなります。紙に書くことが備えです。
「避難」の選択肢は4つ——避難所に行くことだけが避難ではない A. 親戚・知人の家へ 安全な場所にあれば、持病のある方の第1候補 薬・機器・食事の環境を保ちやすい。事前に一言お願いしておく B. ホテル・宿泊施設へ 費用はかかるが、個室で休める・電源がある レベル3の段階で予約すると取りやすい C. 指定避難所へ 配慮が必要な方は「福祉避難室」の有無を事前に確認 福岡市はLINE・ツナガル+で最寄りの避難所と設備を調べられる D. 自宅の2階へ(垂直避難) 自宅が浸水・土砂の想定区域外で、外へ出るほうが危険なとき 崖から離れた側の部屋へ。1階で寝ている人は2階へ移る ※ どれを選ぶかは「自宅の危険度」と「移動できる時間帯」で決まる。晴れた日に家族と話しておく

図3|避難の4つの選択肢。A〜Cはレベル3〜4のうちに動くための選択肢、Dはすでに外が危ないときの選択肢です(内閣府「避難情報に関するガイドライン」の考え方をもとに作成)。

SECTION 06

体を守る備え——薬・電源・持病の3点セット

1. 薬とお薬手帳——「1週間分」が目安

大雨のあと、薬局や病院がすぐ再開できるとは限りません。内服薬・吸入薬・貼り薬・軟膏・インスリンなどを1週間分と、お薬手帳(またはスマートフォンの薬の記録)を、避難袋に入れておきます。お薬手帳があれば、かかりつけ以外の医療機関や避難所の救護所でも同じ薬を処方してもらいやすくなります。マイナ保険証を使っている方は、災害時には医療機関が本人確認を簡略化して薬剤情報を閲覧できる仕組みがありますが、通信が止まると使えないため、紙のお薬手帳との併用をおすすめします。

特に、人工透析を受けている方、インスリンを使っている方、精神科の薬を毎日飲んでいる方は、治療を途切れさせないことが最優先です。厚生労働省は、被災地での服薬中断が精神症状の悪化につながることを繰り返し注意喚起しています。「数日くらい飲まなくても」と思いがちな薬ほど、中断で調子を崩します。

2. 電源——在宅酸素・人工呼吸器を使っている方へ

酸素濃縮器は電気で動くため、停電すると止まります。酸素ボンベを予備として置いておくこと、そして業者と「停電したらどう連絡するか」を決めておくことが必要です。人工呼吸器を使っている方は、福岡県も「外部バッテリーを複数台用意し、購入日を貼って定期的に交換する」よう呼びかけています。バッテリーは古くなるとフル充電できず、稼働時間が極端に短くなります。

  • 外部バッテリーは複数台。購入年月日を本体に貼り、寿命を超えたら交換する
  • 酸素濃縮器の方は酸素ボンベを準備し、残量と使い方を家族も知っておく
  • 吸引器は手動式(足踏み式・手動ポンプ)を1台持っておく
  • 停電時に業者・訪問看護・かかりつけ医のどこに連絡するかを、紙に書いて機器のそばに貼る
  • 福岡市には「在宅人工呼吸器使用患者支援事業」があり、当院や訪問看護からも個別の避難計画づくりをお手伝いしています

3. 持病ごとの「大雨のときの注意」

持病・状態大雨のときに気をつけること
心臓・血圧の病気ストレスと睡眠不足で血圧が上がる「災害高血圧」が知られています。降圧薬を切らさない。動悸・胸の痛み・息苦しさが続けば救急要請を。
糖尿病インスリンは冷蔵が原則ですが、開封後は室温でも一定期間使えます。食事が乱れると低血糖になるため、ブドウ糖やあめを携帯。
腎臓病・透析透析はいちばん中断できない治療。通っている施設の災害時連絡先と、代替施設の候補を確認しておく。
肺の病気・在宅酸素停電=酸素が止まる。ボンベと業者の連絡先。避難所ではボンベを持ち込めるか事前確認。
認知症環境が変わると混乱(せん妄)や落ち着きのなさが強く出ることがあります。避難先には、いつもの服・写真・飲み物など「見慣れたもの」を持っていく。
精神疾患薬の中断が最大のリスク。眠れない日が続くときは早めに主治医へ。
がんの療養中・緩和ケア中痛み止め(医療用麻薬を含む)は必ず持ち出す。移動が体に負担なら「動かさない」のも選択肢。事前に主治医と方針を決めておく。
難病・医療的ケア個別避難計画を、ケアマネジャー・訪問看護・かかりつけ医と一緒につくる。福岡市の避難行動要支援者名簿への登録を確認。
SECTION 07

避難したあと・雨が上がったあとに起きやすい体調不良

過去の災害では、災害そのものより、避難生活や後片付けで体調を崩して亡くなる「災害関連死」が問題になってきました。大雨のあとに特に多いものを挙げます。

  • 1エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・肺塞栓)。2016年の熊本地震では、車中泊で長時間同じ姿勢でいた方に肺塞栓が多発しました。車の中や避難所で座りっぱなしにならず、2〜3時間ごとに足首を動かす・歩く、水分をとる、締めつける服を避ける。ふくらはぎの片側の腫れや痛み、急な息切れは受診が必要です。
  • 2脱水と熱中症。トイレを我慢して水を控える方が多いのですが、脱水は血栓・便秘・せん妄のすべてを悪化させます。9月はまだ暑く、後片付けの泥出しは重労働です。こまめな水分と塩分、1時間に1回の休憩を。
  • 3けがと感染症。浸水した家の片付けでは、ガラスや釘でのけがから破傷風になることがあります。厚生労働省は、泥や汚水に触れた傷は流水で洗い、深い傷は医療機関で破傷風の予防接種を相談するよう呼びかけています。長靴・厚手の手袋・マスクを。カビの生えた壁材を扱うときもマスクは必須です。
  • 4血圧上昇と心臓・脳の病気。災害後は睡眠不足・ストレス・塩分の多い非常食で血圧が上がりやすく、脳卒中や心筋梗塞が増えることが報告されています(Kario K et al. Hypertens Res 2003)。降圧薬を続け、できれば血圧を測る習慣を保ってください。
  • 5眠れない・気持ちが落ち着かない。災害後の不眠は多くの人に起こりますが、2週間以上続くときは専門医への受診の目安とされています(広島県「災害時こころのケア活動マニュアル」)。お酒で眠ろうとするのは逆効果で、睡眠を浅くし、翌日の不安を強めます。
SECTION 08

福岡市で使える仕組み——登録しておくと、いざというとき迷わない

仕組みできること・使い方
福岡市LINE公式アカウント友だち追加して設定すると、福岡市が出した避難情報や大雨の警報をLINEで受け取れます。自宅や職場の近くの避難所を検索して、家族に共有することもできます。
防災アプリ「ツナガル+」近くの避難所の位置・設備・ルートを地図で確認できます。車中泊など指定外の場所に避難したときも、アプリで市に居場所と状況を伝えられます。基本機能は登録不要。
福岡市防災メール気象警報・注意報や緊急情報をメールで受け取れます。スマートフォンが苦手な方は、家族に登録してもらい、電話で知らせてもらう方法も。
避難行動要支援者名簿高齢の方や障がいのある方など、自力での避難が難しい方を、自治協議会・民生委員などが災害時に支援する仕組み。要介護認定や身体障害者手帳の等級で自動的に載る方と、申請で載る方がいます(地域防災課 092-711-4156)。
福祉避難室・福祉避難所指定避難所の中に、配慮が必要な方向けの「福祉避難室」が設けられます。さらに支援が必要な方は二次的に「福祉避難所」へ。まず指定避難所へ行き、そこで相談するのが原則です。
在宅人工呼吸器使用患者支援事業福岡市の事業で、在宅で人工呼吸器を使う方への支援があります。当院・訪問看護から手続きをお手伝いします。
SECTION 09

こんなときは、医療機関・相談窓口へ

すぐに救急要請(119番)を 胸の痛みや締めつけ、急な息苦しさ、片側の手足の麻痺やろれつが回らない、意識がもうろうとしている、けいれん、大量の出血。大雨の最中でも、救急は動いています。
早めに、かかりつけ医・訪問看護へ
  • 眠れない日が2週間以上続く、食欲が落ちて体重が減ってきた
  • 雨のたびに動悸や過呼吸が出て、外に出られなくなってきた
  • 薬が切れそう、または避難で薬を持ち出せなかった
  • 片付けでけがをした(特に泥や汚水がついた深い傷)
  • ふくらはぎの腫れ・痛み、階段で急に息が切れる
  • 認知症の方の混乱・徘徊・幻覚が避難後に強くなった
話を聞いてほしいとき 福岡市の各区保健福祉センター(保健所)や、福岡県精神保健福祉センターには、こころの相談窓口があります。「相談するほどではない」と感じる段階で話すほうが、回復が早いことが災害精神医学では繰り返し確かめられています。当院の訪問診療・訪問看護を利用中の方は、定期訪問のときに「雨が怖い」とそのまま伝えてください。それだけで、避難計画の見直しが始められます。
当院の視点

「雨が怖い」と言える人ほど、守りやすい

ふくろう訪問クリニックは、早良区を中心に、緩和ケア・難病・精神科・認知症の方を訪問診療しています。大雨のたびに不安を訴える方を診てきて、私たちが大事にしていることを4つ挙げます。

  • 1「レベル3で動く人」かどうかを、本人と家族と紙に書いて決めておく。雨が降ってから「今日は行くべきでしょうか」と電話で相談されても、私たちには雨雲は止められません。晴れた日に「この家はレベル3が出たら◯◯さんの家へ」と決めておけば、当日の相談は「決めたとおりに動きましょう」の一言で済みます。
  • 2「動かさない」も、医療の判断として先に決める。緩和ケア中で移動そのものが体に大きな負担になる方、認知症で環境の変化が強い混乱を招く方は、自宅が安全なら垂直避難を第1候補にすることがあります。避難所へ行かない選択を、当日に家族が一人で背負わなくていいように、あらかじめ主治医の判断として残しておきます。
  • 3精神科の薬・痛み止めは「1週間分の持ち出し袋」を診察のときに一緒につくる。服薬中断は、大雨のあとに調子を崩す最大の原因です。処方のときに「持ち出し用」を意識して日数を調整することは、訪問診療ならできます。
  • 4「雨が怖い」という言葉を、症状ではなく情報として受け取る。怖いと言える方は、備えの話ができる方です。一方で、怖さを口にしない方、特に一人暮らしで情報が届きにくい方ほど、訪問看護や民生委員の目が必要になります。不安を訴える方には安心を、訴えない方には確認を——それが私たちの役割だと考えています。
SECTION 10

場面別早見表——今、何をすればいいか

場面すること
数日前に「大雨のおそれ」と聞いたレベル1〜2 薬1週間分・お薬手帳・水・充電器を袋にまとめる。ハザードマップと避難先を家族と確認
線状降水帯の「半日前予測」が出た準備完了 避難先に一言連絡。酸素ボンベ・バッテリーの残量確認。ホテルなら予約
「高齢者等避難(レベル3)」が出た動く 高齢・持病・介助が必要な方と家族は、明るいうちに避難先へ
「避難指示(レベル4)」が出た全員動く 危険な場所にいる人は全員避難。まだ動ける時間帯なら迷わない
線状降水帯の「直前予測」「発生」が出た外が危ないなら出ない 建物の2階以上、崖から離れた部屋へ。無理な移動はしない
「緊急安全確保(レベル5)」が出た命を守る 今いる場所でいちばん安全な場所へ。避難所へは向かわない
停電した(在宅酸素・呼吸器)機器優先 ボンベ・外部バッテリーに切り替え、業者と訪問看護へ連絡。復旧が長引くなら避難入院を相談
雨音で眠れない見る回数を決める 速報を見る時刻を決め、寝室のスマートフォンは通知だけに。お酒で眠らない
雨の前に頭痛・めまい早めの薬 いつもの頭痛薬を早めに。水分。激しい頭痛・麻痺・高熱があれば別の病気を疑い受診
避難所・車中で長時間座っている足を動かす 2〜3時間ごとに歩く・足首を回す。水分。片足の腫れ・急な息切れは受診
浸水した家を片付けるけが・熱中症 長靴・厚手の手袋・マスク。1時間に1回休憩と水分。深い傷は破傷風の相談
雨が上がって2週間、まだ眠れない・気力が出ない受診の目安 かかりつけ医・訪問看護・保健福祉センターへ。「正常な反応」でも長引くなら治療で楽になる
SECTION 11

よくあるご質問

Q1.不安で眠れないとき、市販の睡眠改善薬や家にある睡眠薬を飲んでもいいですか?

A.普段から処方されている睡眠薬なら、いつもの量を使って構いません。他の人の薬や、余っていた古い薬は使わないでください。夜中に避難が必要になったとき、ふらついて転ぶ危険があるためです。避難の可能性が高い夜は、薬より「横になって目を閉じる」だけでも体は休まります。

Q2.親が「避難所には行きたくない」と言います。無理にでも連れて行くべきですか?

A.「行きたくない理由」を聞いてください。トイレ、人の目、薬や酸素の心配、ペット——理由によって、知人宅・ホテル・福祉避難室・垂直避難と、避難所以外の答えがあります。自宅が浸水・土砂の想定区域内なら、そこに留まる選択だけは避けたいので、レベル3の段階で「避難所ではない場所」へ動くのが現実的です。

Q3.半日前予測が何度も外れています。もう信じなくていいのでは?

A.予測は外れます。しかし、外れた回に準備した薬や水はそのまま次に使えますし、「レベル3で動く」という手順を試す機会にもなります。当たったときに準備が間に合わない損失は、空振りの手間よりはるかに大きい。「外れたら練習、当たったら本番」と考えるのが、いちばん疲れない付き合い方です。

Q4.在宅酸素を使っています。避難所に酸素ボンベを持ち込めますか?

A.持ち込める場合がほとんどですが、避難所によって扱いが違います。福岡市の「ツナガル+」やLINEで最寄りの避難所の設備を調べ、区の保健福祉センターに事前に相談しておくと安心です。停電が長引くと濃縮器が使えないため、業者と「ボンベの配送」「避難入院」の段取りも決めておいてください。

Q5.認知症の母が、避難所で夜中に騒いでしまいそうで、避難をためらいます。

A.認知症の方は環境の変化で混乱が強くなりやすく、それを心配して避難が遅れるのはよくあることです。避難所に「福祉避難室」があるか確認し、見慣れた毛布・写真・飲み物を持っていく、家族が隣にいる、夜間に明るすぎない場所を選ぶ、といった工夫で落ち着きやすくなります。自宅が安全な場所なら、垂直避難を主治医と一緒に決めておくのも1つの答えです。

Q6.雨が上がって片付けも終わったのに、雨音を聞くと動悸がします。病院に行くべきですか?

A.災害のあと、雨音や川の音がきっかけで当時の恐怖がよみがえる反応は珍しくありません。多くは数週間で薄れていきますが、1か月を過ぎても続く、眠れない、外に出られない、お酒が増えたというときは、治療で楽になる状態です。かかりつけ医や区の保健福祉センターへ、遠慮なく相談してください。

SECTION 12

ご利用・採用のご案内

「大雨のときにどうすればいいか」は、体の状態・住まい・家族の事情によって一人ひとり違います。当院と訪問看護では、通院が難しい方の自宅での療養を支えながら、災害時の個別の備えについても一緒に考えています。

ふくろう訪問クリニック

福岡市早良区|緩和ケア・難病・精神科・認知症の訪問診療

  • 通院が難しい方への定期訪問と、24時間の連絡体制
  • 在宅酸素・人工呼吸器を使う方の停電対策・避難計画の相談
  • 精神科の薬・痛み止めの「持ち出し分」を考えた処方
  • 災害時の「動く/動かさない」の方針を、本人・家族と事前に共有

まずはお電話で。ケアマネジャー・病院からのご相談も受けています。

電話 092-407-7337
https://fukurou.fukuoka.jp/

ふくろう訪問看護リハビリステーション

看護師・理学療法士・作業療法士がご自宅へ

  • 病状の観察、薬の管理、医療機器の管理と停電時の手順確認
  • 避難袋の中身・避難経路を一緒に点検
  • 避難後・片付け後の体調変化(血栓・脱水・不眠)の早期発見
  • ご家族の介護負担や不安の相談

医療保険・介護保険のどちらでも利用できます(条件はご相談ください)。

電話 092-834-8581(平日9:00〜18:00)
https://nurse-fukurou.jp/

採用のご案内

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人材紹介会社を通さない直接応募の方には、紹介手数料がかからないぶんを還元し、入職祝い金をお渡ししています。

ふくろう訪問クリニック

入職祝い金 20万円直接応募限定

募集職種:医師(常勤・非常勤)/看護師/医療事務

電話:092-407-7337

メール:clinic@fukurou.fukuoka.jp

採用情報:https://fukurou.fukuoka.jp/recruitment/

ふくろう訪問看護リハビリステーション

入職祝い金 20万円直接応募限定

募集職種:看護師/理学療法士/作業療法士/言語聴覚士(常勤・非常勤)

電話:092-834-8581(平日9:00〜18:00)

メール:nurse@fukurou.fukuoka.jp

求人情報:https://nurse-fukurou.jp/recruit/

SECTION 13

参考資料

  1. 気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年〜)」(2026年5月29日運用開始)https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/index.html
  2. 気象庁「線状降水帯に関する各種情報」(半日前予測・直前予測・発生情報)および「令和8年の適中率および捕捉率」(2026年8月30日時点)
  3. 日本気象協会 tenki.jp「東京都など7日昼前にかけて『線状降水帯』発生の可能性」ほか(2026年9月6日)
  4. 気象庁「低気圧と前線による大雨 令和7年(2025年)8月6日〜8月12日(速報)」
  5. 内閣府「避難情報に関するガイドライン」(令和3年5月改定)
  6. 内閣府「令和3年版 防災白書」特集 令和2年7月豪雨による災害 https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r03/honbun/0b_1s_02_01.html
  7. 厚生労働省「被災地での健康を守るために」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster.html
  8. 広島県「災害時こころのケア活動マニュアル」(令和2年11月)
  9. 国立精神・神経医療研究センター「ストレス・災害時こころの情報支援センター」 https://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/
  10. Holman EA, Garfin DR, Silver RC. Media’s role in broadcasting acute stress following the Boston Marathon bombings. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014;111(1):93-98.
  11. Kimoto K, et al. Influence of barometric pressure in patients with migraine headache. Intern Med. 2011;50(18):1923-1928.
  12. Katsuki M, et al. Investigating the effects of weather on headache occurrence using a smartphone application: A retrospective observational cross-sectional study. Headache. 2023;63(5):585-600.
  13. Kario K, McEwen BS, Pickering TG. Disasters and the heart: a review of the effects of earthquake-induced stress on cardiovascular disease. Hypertens Res. 2003;26(5):355-367.
  14. 福岡県「在宅で人工呼吸器を御使用の方及びその御家族等の方へ(停電への備え)」 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/zaitaku-teiden-sonae.html
  15. 福岡市「避難行動要支援者名簿」「福岡市LINE公式アカウント『避難行動支援機能』」「防災アプリ『ツナガル+』」「要配慮者の避難について(福祉避難室・福祉避難所)」 https://www.city.fukuoka.lg.jp/bousai/index.html
  16. ウェザーニューズ「令和8年8月千葉豪雨、2人に1人が浸水想定区域”外”で被災か」(2026年8月15日)

※ この記事は2026年9月6日時点の気象情報・行政情報・医学情報にもとづいて作成しています。避難の判断は、お住まいの自治体が発表する最新の避難情報に従ってください。個別の病状については主治医にご相談ください。