「潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)」と聞くと、「難病」「治らない」という言葉から、重い病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれども実際には、国の指定難病のなかで、医療費助成を受けている人がいちばん多い病気です。患者さんの多くは治療を続けながら、仕事や学校、子育てを普段どおりに続けています。
一方で、症状がぶり返して(再燃)、入院が必要になることもあります。そのとき本人を苦しめるのは、病気そのものに加えて「ストレスをためたから」「自己管理が足りないから」といった周りの誤解です。この記事では、2026年9月時点の医学情報と行政情報をもとに、患者さん本人、ご家族、そして一緒に働く人・学ぶ人に知っておいてほしいことをまとめました。
SECTION 01 結論——まず知ってほしい3つのこと
国内の患者さんは約31.7万人(2023年の推計)で、およそ390人に1人です。医療費助成を受けている人の約7割は20〜50代の働く世代。職場や学校に「いて当たり前」の病気です。
体質と環境が重なり、腸の免疫が過剰に働くことで起こると考えられています。精神的なものが原因で発症することはない、と難病情報センターも明記しています。
薬をきちんと続けていても、ぶり返すことがある病気です。多くは治療の調整で落ち着き、平均寿命は一般の人と変わりません。周りにできるのは「特別扱い」ではなく、トイレや通院に配慮した「段取り」です。
SECTION 02 潰瘍性大腸炎はどんな病気か
潰瘍性大腸炎は、大腸のいちばん内側の粘膜に炎症が起き、ただれ(びらん)や潰瘍ができる病気です。炎症は肛門に近い直腸から始まり、つながったまま奥のほうへ広がる性質があります。広がり方によって「直腸炎型」「左側大腸炎型」「全大腸炎型」に分けられます。よく似た病気にクローン病がありますが、こちらは口から肛門まで消化管のどこにでも炎症が起こりうる、別の病気です。
主な症状は、下痢、血便(血液や粘液の混じった便)、腹痛です。重くなると発熱、体重の減少、貧血が加わります。関節の痛み、皮膚や目の炎症など、腸の外に症状が出ることもあります。そして本人にとってつらいのが、「今すぐトイレに行かないと間に合わない」という便意切迫(べんいせっぱく)です。
もう一つの大きな特徴が、症状が落ち着く「寛解(かんかい)」と、ぶり返す「再燃(さいねん)」をくり返すことです。寛解しているあいだは、外見からも、生活ぶりからも、病気があることはほとんどわかりません。
重症度の目安
病気の重さは、次の6項目で「軽症・中等症・重症」に分けられます。軽症は6項目すべてを満たすもの、重症は「排便回数」と「血便」に加えて、発熱か脈の速さのどちらかを満たし、6項目のうち4項目以上を満たすものです。その中間が中等症です。
| 項目 | 軽症 | 重症 |
|---|---|---|
| 排便の回数 | 1日4回以下 | 1日6回以上 |
| 血便 | ない〜わずかに付く程度 | 便の大部分が血液 |
| 発熱 | 37.5℃以上の熱はない | 37.5℃以上 |
| 脈 | 1分90回以上の速い脈はない | 1分90回以上 |
| 貧血 | ヘモグロビン10g/dL以下の貧血はない | ヘモグロビン10g/dL以下 |
| 炎症の検査値 | 正常 | 赤沈30mm/時以上、またはCRP3.0mg/dL以上 |
出典:難病情報センター「潰瘍性大腸炎(指定難病97)診断・治療指針」の臨床的重症度分類をやさしく言い換えたもの。重症のなかでも特に激しいもの(1日15回以上の血性下痢、38.5℃以上の高熱が続くなど)は「劇症」と呼ばれます。
SECTION 03 数字で見る潰瘍性大腸炎——8年で1.4倍に
2024年1月に行われた全国疫学調査では、2023年に病院を受診した潰瘍性大腸炎の患者さんは約31.7万人と推計されました。2015年の調査(約22万人)から、8年間で約1.4倍に増えています。人口10万人あたり254.8人、およそ390人に1人です。男女差は大きくなく、男性がやや多い程度です(男女比1.31)。
医療費助成の受給者証を持っている人は、2024年度末で151,631人。この人数は、指定難病のなかでもっとも多く、パーキンソン病(150,569人)を上回ります。発症のピークは男性20〜24歳、女性25〜29歳ですが、子どもから高齢の方まで、どの年代でも発症します。
- 約31.7万人は、全国の病院に調査票を送り、「2023年に受診した患者さん」の数から全国の人数を推計したものです。症状が落ち着いている軽症の人も含まれます。
- 151,631人は、医療費助成の受給者証を持つ人の実際の数(2024年度末)です。助成の対象は中等症以上か、軽症でも医療費が高額になる人に限られるため、症状が落ち着いている人の多くは含まれません。受給者は推計患者数のおよそ半分(約48%)にあたります。
- 「約390人に1人」は、推計による有病率(人口10万人あたり254.8人)から計算したものです。調査の年(2023年と2024年度末)も異なるため、細かな数字は一致しません。
SECTION 04 原因——わかっていること、誤解されていること
潰瘍性大腸炎の原因は、まだ完全には解明されていません。現在は、遺伝的な体質と環境の要因(食生活の変化など、社会全体の変化を含む)が複雑に絡み合い、腸内細菌などをきっかけに、腸の免疫が過剰に働き続けることで炎症が起こると考えられています。家族のなかで発症する人がいることもあり、欧米では患者さんの約20%に、潰瘍性大腸炎かクローン病の近親者がいると報告されています。ただし、関係する遺伝子の型を持っていても、必ず発症するわけではありません。
原因がはっきりしない病気ほど、誤解が生まれやすくなります。特によく聞く5つの誤解を整理しました。
「ストレスで悪くなる」は、どこまで本当か
難病情報センターは、精神的なものが原因で発症することはないとしたうえで、心と体は切り離せないため、ストレスが腹痛や下痢などの症状を引き起こすことは否定できない、と説明しています。
カナダの研究(478人)では、ストレスを強く感じている人ほど症状を強く感じていました。ところが、便の検査(便中カルプロテクチン)で測った腸の炎症の強さとは、関連が見られませんでした。つまり、ストレスは「つらさの感じ方」を強めることはあっても、再燃のたびに「ストレスのせい」と決めつける根拠にはなりません。本人に「ストレスをためすぎたんじゃない?」と言うことは、原因の説明にならないうえに、本人を責める言葉になってしまいます。
なお、たばこを吸う人は発病しにくいという報告もありますが、喫煙は心臓病やがんのリスクを大きく高めるため、予防法として勧められるものではありません。
SECTION 05 見えにくいつらさと、偏見が及ぼすもの
潰瘍性大腸炎のつらさの多くは、外からは見えません。
- 便意切迫急に強い便意が来て、我慢できる時間が短い。会議、運転、満員電車、外出先など「すぐにトイレに行けない場面」そのものが不安の種になります。
- 回数と夜間の排便1日に何度もトイレに行く、夜中に起きる。睡眠が削られ、翌日の疲れにつながります。
- 疲れやすさと貧血血便が続くと貧血になり、息切れやだるさが出ます。見た目が元気そうでも、体力が落ちていることがあります。
- 「いつ悪くなるかわからない」という不安寛解していても、再燃の不安は消えません。予定を立てること自体が負担になることもあります。
こうしたつらさに、周りの無理解が重なります。米国の研究(211人)では、84%の患者さんが病気への偏見(スティグマ)を感じていました。偏見を感じる度合いは、生活の質のばらつきの10〜22%、薬をきちんと続けられるかどうかのばらつきの5%を説明していました。別の研究(191人)では、36%が偏見を自分自身に向けてしまう状態(内面化されたスティグマ)にあり、心理的な苦痛や生活の質の低下と強く結びついていました。38の研究をまとめた分析は、患者さんが「わかってほしい」気持ちと「隠さなければ」という気持ちのあいだで揺れている姿を描いています。
逆に言えば、周りの理解は、本人が治療を続けやすい環境そのものです。「理解する」とは、病気に詳しくなることではなく、トイレに立つこと、通院の日に休むことを、ごく当たり前のこととして扱うことです。
SECTION 06 治療——「治す」ではなく「抑えて、保つ」
潰瘍性大腸炎を完治させる治療は、まだありません。けれども、腸の炎症を抑える治療は大きく進歩しています。治療は、炎症を抑えて症状を落ち着かせる「寛解導入」と、その良い状態を長く保つ「寛解維持」の二段階で考えます。最近は、症状が消えるだけでなく、内視鏡で見ても粘膜がきれいな状態(内視鏡的寛解)を目標にするのが基本になっています。
ここ数年で、新しい作用の薬が次々に使えるようになりました。難病情報センターの解説(2025年11月更新)に挙げられている生物学的製剤と新しい飲み薬だけで14種類あります。2025年6月にはS1P受容体調節薬のエトラシモド(飲み薬)が承認され、2026年2月にはIL-23を抑えるグセルクマブで、寛解導入から皮下注射で始められるようになりました。点滴のために通院する回数が減るなど、仕事や生活と両立しやすい形が増えています。
「症状が治まったから」と薬を中断すると、再燃しやすくなります。5-ASA製剤は長く飲み続けても安全性が確かめられており、大腸がんのリスクを下げるという報告もあります。減らしたい、やめたいと思ったときは、必ず主治医に相談してください。
SECTION 07 再燃と入院——「本人のせい」ではない理由
「きちんと薬を飲んでいれば、悪くならないはず」。そう考える方は少なくありません。けれども、臨床試験の結果を統合したコクラン・レビューは、少し違う現実を示しています。
5-ASA製剤を続けた人の再燃は37%、偽薬(有効成分の入っていない薬)の人は55%でした。薬には再燃を減らす確かな効果があります。それでも、続けていた人の約3人に1人は、6〜12か月のうちに再燃しています。なお、これは5-ASA製剤で寛解を保っている人の数字で、ほかの薬を使っている人にそのまま当てはまるわけではありません。
再燃のきっかけとしては、自己判断での服薬中断、痛み止め(NSAIDs)、抗菌薬、腸の感染症、強いストレスなどが研究されてきましたが、研究によって結果は分かれています。感染症のように、本人が気をつけていても避けきれないものも含まれます。再燃は、多くの場合「本人の落ち度」ではなく、この病気が持っている波の一部です。
重症の再燃や、全身の症状を伴う中等症では、入院して点滴で水分や電解質(特にカリウム)を補い、貧血や栄養状態を整えながら、強い治療を安全に始めます。入院は、治療を切り替えるための場所です。退院後しばらくは通院が増えたり、疲れやすさや貧血が残ったりすることがありますが、多くの人は段階的に元の生活に戻っていきます。
SECTION 08 長く付き合ううえで知っておきたいこと
寿命と大腸がん
難病情報センターは、潰瘍性大腸炎の人の平均寿命は一般の人と変わらず、重症で手術が必要になる人など一部を除けば、ほとんどの人の生命予後は健康な人と同じだと説明しています。
ただし、炎症が長く続くと、大腸がんのリスクが少し高くなります。北欧の大規模な研究では、大腸がんになった人は1,000人あたり1年間に1.29人(一般の人は0.82人)でした。差はありますが、1年あたりで見れば1,000人に1人前後という頻度です。
このリスクは、定期的な大腸内視鏡検査で早く見つけることで下げられます。発病して7〜8年以上たった全大腸炎型の人は、症状がなくても少なくとも1〜2年に1回の内視鏡検査が勧められています。
妊娠・出産、食事、運動
- 妊娠・出産:妊娠率は一般の女性と差がないと報告されており、多くの人が普通に出産しています。妊娠を考えたら、病気が落ち着いているうちに主治医と薬の調整を相談しましょう。男性でサラゾスルファピリジンを飲んでいる場合、一時的に精子がつくられにくくなるため、ほかの5-ASA製剤への切り替えが検討されます。
- 食事:症状が落ち着いている時期(寛解期)は、特別な食事制限は基本的に必要ありません。カフェインも節度ある量なら問題ないとされています。再燃しているときは、主治医の指示に従ってください。
- 運動・生活:寛解期は運動の制限も特にありません。疲れを残さないよう、十分な睡眠と規則正しい生活が大切です。
- 感染症とワクチン:ステロイドや免疫を抑える薬、生物学的製剤などを使っている間は、感染症にかかりやすくなることがあり、生ワクチンが使えない場合もあります。予防接種の前には主治医に確認しましょう。
高齢になってからの潰瘍性大腸炎
医療費助成を受けている人の約3割は60歳以上です。高齢になってから発症する人もいれば、若いころに発症して長く付き合っている人もいます。高齢の方では、ステロイドによる感染症や骨粗しょう症などの副作用が出やすく、ほかの病気の薬との飲み合わせにも配慮が必要です。通院が難しくなってきたら、病院の主治医に相談のうえ、訪問診療や訪問看護と連携して治療を続けることもできます。
SECTION 09 職場・学校・家族ができること
2026年4月1日から、改正労働施策総合推進法により、病気を抱えて働く人の「治療と仕事の両立支援」が、すべての事業主の努力義務になりました。あわせて国が示した「治療と就業の両立支援指針」では、支援は原則として本人からの申し出を出発点にすること、主治医の意見をふまえて働き方を調整すること、そして病名などの健康情報は本人の同意の範囲で取り扱うことが求められています。
潰瘍性大腸炎で必要になる配慮の多くは、大がかりなものではありません。
| 場面 | 本人が困りやすいこと | 周りができること |
|---|---|---|
| 席・持ち場 | 急な便意に間に合わない不安 | トイレに近い席にする。持ち場を離れても回る体制にしておく |
| 会議・研修・接客 | 途中で抜けにくい | 途中退席をあらかじめ了解しておく。抜けた理由を毎回説明させない |
| 外出・移動・運転 | トイレの場所が読めない | 予定に少し余白をつくる。休憩を取りやすくしておく |
| 通院・検査 | 平日の受診、内視鏡の前日の準備 | 通院日の休みや時間単位の休みを取りやすくする |
| 食事会・飲み会 | 食べられないもの、飲めない時期がある | 食べる量や内容を詮索しない。お酒を勧めない |
| 再燃・入院 | 急に休まざるを得ない | 普段から業務の引き継ぎ先を決めておく。「誰が休んでも回る」仕組みは全員のため |
| 復帰の直後 | 体力の低下、通院の増加 | 主治医の意見をふまえ、段階的な勤務から始める |
| 病名の扱い | 誰にどこまで知られるか | 本人が決めた範囲だけで共有する。推測で話題にしない |
かける言葉、避けたい言葉
| 避けたい言葉 | かわりに |
|---|---|
| 「ストレスをためすぎたんじゃない?」 | 「おかえりなさい。戻ってきてくれてうれしい」 |
| 「何を食べたの?」「お酒の飲みすぎ?」 | 「食事のことで気をつけることがあれば、教えてね」 |
| 「見た目は元気そうなのにね」 | 「しんどいときは、合図だけでいいよ」 |
| 「またトイレ?」 | (何も言わない。当たり前のこととして扱う) |
| 本人に聞かずに「しばらく休んでいいよ」と仕事を外す | 「何か変えてほしいことはある?」と本人に聞く |
ご家族も同じです。病気のことを一番よく知っているのは本人です。先回りして心配するより、「どうしてほしいか」を聞くことから始めてください。
SECTION 10 使える制度と相談先(2026年9月時点)
| 制度・窓口 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 難病医療費助成(特定医療費) | 中等症以上の人、または軽症でも医療費の総額が33,330円を超える月が年3回以上ある人(軽症高額)が対象。窓口負担が3割の人は2割になり、所得に応じて月の自己負担に上限(2,500円〜30,000円、生活保護の方は0円)が設けられます。 | 申請には難病指定医の診断書が必要。原則として申請日の1か月前(やむを得ない事情があれば最長3か月前)までさかのぼって助成されます。福岡市の窓口は各区保健福祉センター健康課(早良区は092-851-6012) |
| 指定難病登録者証 | 医療費助成の対象にならない軽症の人も申請できます。障害福祉サービスの申請や、ハローワークなどで「指定難病であること」の証明に使えます。 | 2024年4月に始まった仕組み。診断書をその都度用意する手間が省けます |
| 治療と仕事の両立支援 | 2026年4月から事業主の努力義務。主治医の意見書をもとに、勤務時間や業務内容を調整します。 | 相談先は勤務先の人事・産業医のほか、各都道府県の産業保健総合支援センター |
| ハローワーク | 難病のある人の就職相談。「難病患者就職サポーター」が難病相談支援センターと連携して支援します。 | 難病のある人を雇い入れた事業主への助成金(特定求職者雇用開発助成金 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)もあります |
| 障害福祉サービス | 指定難病は障害者総合支援法の対象で、障害者手帳がなくても、必要に応じて家事援助などのサービスを申請できます。 | 窓口は市区町村の福祉担当課 |
| ヘルプマーク・ヘルプカード | 外見からわかりにくい難病や内部障がいのある人が、配慮が必要なことを周りに知らせるマーク。 | 福岡県・福岡市の窓口で配布。障害者手帳などの提示は不要です |
| 身体障害者手帳 | 大腸全摘の手術後に、永久的な人工肛門(ストーマ)になった場合は、「ぼうこう又は直腸の機能障害」として対象になることがあります。 | 手術を受けた病院で相談できます |
| 難病相談支援センター | 療養、生活、就労などの相談に応じます。 | 福岡県・福岡市難病相談支援センター(九州大学病院内)難病相談 092-643-8292 |
18歳未満で発症した場合は、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けられることもあります。制度の細かな要件は変わることがあるため、申請の前に窓口で最新の情報をご確認ください。
ぶり返しは、その人の弱さではなく、病気の性質です
在宅医療の現場では、病気と長く付き合っている方と、そのご家族や職場の方にお会いします。潰瘍性大腸炎について、私たちが大切にしていることを4つにまとめました。
発症に心の問題は関係しません。ストレスが症状の感じ方を強めることはあっても、腸の炎症の強さとは一致しないという研究があります。原因探しより、次に何を整えればよいかを本人と一緒に考えます。
薬を続けていても、6〜12か月で約3人に1人は再燃しうる病気です。入院は、強い治療を安全に始めるための場所。戻ってきた人には、以前と同じ場所と役割を用意しておくことがいちばんの支えになります。
トイレに近い席、途中退席の了解、通院日の調整。こうした段取りは本人だけでなく、体調を崩した誰にとっても助けになります。
病名や症状は、本人の大切な健康情報です。聞いたことを推測で広げず、誰に・どこまで伝えるかは本人に委ねます。周りは、その範囲のなかで支えます。
SECTION 11 場面別の早見表
| こんなとき | まずすること |
|---|---|
| 血便や下痢が続く・くり返す(まだ診断を受けていない) | 消化器内科を受診。感染性の腸炎など、ほかの病気との見分けが必要です |
| 1日6回以上の血便を伴う下痢、37.5℃以上の熱、脈が速い | 重症の目安です。すぐに主治医へ連絡してください |
| 症状が落ち着いたので、薬をやめたい | 自己判断でやめず、次の受診で主治医に相談 |
| 頭痛や腰痛で、市販の痛み止めを使いたい | 痛み止め(NSAIDs)は再燃との関係が研究されています。使う前に主治医か薬剤師に相談 |
| 発病から7〜8年以上たった(全大腸炎型) | 症状がなくても、少なくとも1〜2年に1回の大腸内視鏡検査を |
| 妊娠を考えている | 病気が落ち着いているうちに、主治医と薬の調整を相談 |
| 予防接種を受ける予定がある | 免疫を抑える薬を使っているか、主治医に確認 |
| 医療費の負担が重い | 難病医療費助成(中等症以上/軽症高額)を主治医に相談。福岡市は区の保健福祉センター健康課へ |
| 軽症で助成の対象外だが、就労の相談で証明がほしい | 指定難病登録者証を申請 |
| 職場に伝えるか迷っている | 伝える相手と範囲を自分で決める。主治医の意見書(両立支援)を使うこともできます |
| 同僚が再燃で入院した | 病状を詮索せず、業務のカバーと「おかえり」の準備を |
| 高齢で通院が難しくなってきた | 病院の主治医に相談し、訪問診療・訪問看護との連携を検討 |
SECTION 12 よくある質問
うつりません。感染症ではなく、体の免疫の働き方によって起こる病気です。一緒に食事をしたり、同じトイレを使ったりしても問題ありません。
ストレスが原因で発症することはありません。ストレスが腹痛や下痢などの症状を強めることはありますが、腸の炎症の強さとは必ずしも一致しないことがわかっています。再燃を「ストレスのせい」と決めつけず、治療の見直しを優先します。
完治させる治療はまだありませんが、多くの人は治療で良い状態を長く保ち、発病前と同じように生活しています。平均寿命も一般の人と変わりません。治療の選択肢もこの10年で大きく増えました。
症状が落ち着いている時期は、特別な制限は基本的に必要ありません。再燃しているときは主治医の指示に従います。人によって「これを食べるとお腹がゆるくなる」というものはあるので、周りの人は食事の内容を詮索せず、本人の判断に任せてください。
「おかえりなさい」の一言で十分です。病状を聞き出す必要はありません。本人が話したいことを、話したい範囲で聞いてください。仕事の量や内容を変える必要があるかどうかは、本人に「何か変えてほしいことはある?」と聞いて決めましょう。
家族のなかで発症することはあり、何らかの遺伝的な体質が関係していると考えられています。ただし、遺伝子の型を持っていても必ず発症するわけではなく、環境の要因も重なって起こります。妊娠率は一般の女性と差がないと報告されています。心配なことは主治医に相談してください。
SECTION 13 ご利用・採用のご案内
潰瘍性大腸炎の専門的な治療は、消化器内科(炎症性腸疾患を専門とする医療機関)が担います。ふくろう訪問クリニックとふくろう訪問看護リハビリステーションは、通院が難しくなった方の療養を、病院の主治医と連携しながらご自宅で支えています。
- 医師がご自宅や施設へ定期的に伺い、診療します
- 緩和ケア・難病・精神科・認知症を中心に診療しています
- 専門の治療を続けている病院の主治医と連携します
ご家族やケアマネジャー、病院の相談窓口からのご相談も受け付けています。
- 体調や服薬の確認、医療処置をご自宅で支えます
- 医療保険・介護保険のどちらでも利用できます
- 主治医の指示書にもとづいて訪問します
ご利用には主治医の訪問看護指示書が必要です。まずはお電話でご相談ください。
電話 092-834-8581(平日9:00〜18:00)
https://nurse-fukurou.jp/
在宅医療を一緒に支える仲間を募集しています
人材紹介会社を通さず、直接ご応募いただいた方には入職祝い金をお贈りします。
- 募集職種
- 医師(常勤・非常勤)/看護師/医療事務
- 電話
- 092-407-7337
- メール
- clinic@fukurou.fukuoka.jp
- 採用情報
- https://fukurou.fukuoka.jp/recruitment/
- 募集職種
- 看護師/理学療法士/作業療法士/言語聴覚士(常勤・非常勤)
- 電話
- 092-834-8581(平日9:00〜18:00)
- メール
- nurse@fukurou.fukuoka.jp
- 求人情報
- https://nurse-fukurou.jp/recruit/
SECTION 14 参考文献
- Tsutsui A, Murakami Y, Nishiwaki Y, et al. Nationwide estimates of patient numbers and prevalence rates of ulcerative colitis and Crohn’s disease in Japan in 2023. J Gastroenterol. 2025;60:1513-1522. doi:10.1007/s00535-025-02295-z. PMID 40892110
- 東邦大学・杏林大学・大阪公立大学 プレスリリース「潰瘍性大腸炎とクローン病の有病者数が8年間で1.4倍に増加」(2025年9月19日)https://www.toho-u.ac.jp/press/2025_index/20250919-1540.html
- 厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例」特定医療費(指定難病)受給者証所持者数、年齢階級・対象疾患別(令和6年度末現在)。難病情報センター掲載(2025年10月)https://www.nanbyou.or.jp/entry/5354
- 難病情報センター「潰瘍性大腸炎(指定難病97)病気の解説(一般利用者向け)」情報更新 令和7年11月 https://www.nanbyou.or.jp/entry/62
- 難病情報センター「潰瘍性大腸炎(指定難病97)診断・治療指針(医療従事者向け)」令和6年4月1日(情報更新 令和6年10月)https://www.nanbyou.or.jp/entry/218
- 難病情報センター「潰瘍性大腸炎(指定難病97)FAQ(よくある質問と回答)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/441
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)『潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和7年度改訂版』(2026年3月31日)
- 日本消化器病学会 編『炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版)』南江堂, 2020
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)『潰瘍性大腸炎治療指針 supplement 高齢者潰瘍性大腸炎編』2019年3月
- Murray A, Nguyen TM, Parker CE, Feagan BG, MacDonald JK. Oral 5-aminosalicylic acid for maintenance of remission in ulcerative colitis. Cochrane Database Syst Rev. 2020;8:CD000544. doi:10.1002/14651858.CD000544.pub5. PMID 32856298
- Targownik LE, et al. The relationship among perceived stress, symptoms, and inflammation in persons with inflammatory bowel disease. Am J Gastroenterol. 2015;110(7):1001-1012. doi:10.1038/ajg.2015.147. PMID 26077178
- Singh S, Graff LA, Bernstein CN. Do NSAIDs, antibiotics, infections, or stress trigger flares in IBD? Am J Gastroenterol. 2009;104(5):1298-1314
- Olén O, Erichsen R, Sachs MC, et al. Colorectal cancer in ulcerative colitis: a Scandinavian population-based cohort study. Lancet. 2020;395(10218):123-131. doi:10.1016/S0140-6736(19)32545-0
- Taft TH, Keefer L, Leonhard C, Nealon-Woods M. Impact of perceived stigma on inflammatory bowel disease patient outcomes. Inflamm Bowel Dis. 2009;15(8):1224-1232. doi:10.1002/ibd.20864. PMID 19180581
- Taft TH, Ballou S, Keefer L. A preliminary evaluation of internalized stigma and stigma resistance in inflammatory bowel disease. J Health Psychol. 2013;18(4):451-460
- Taft TH, Keefer L. A systematic review of disease-related stigmatization in patients living with inflammatory bowel disease. Clin Exp Gastroenterol. 2016;9:49-58. doi:10.2147/CEG.S83533. PMID 27022294
- Muse K, Johnson E, David AL. A feeling of otherness: a qualitative research synthesis exploring the lived experiences of stigma in individuals with inflammatory bowel disease. Int J Environ Res Public Health. 2021;18(15):8038. doi:10.3390/ijerph18158038
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「承認品目一覧(新医薬品:2025年4月〜2026年3月)」(エトラシモド 2025年6月24日承認、グセルクマブ皮下注の寛解導入 2026年2月19日承認)https://www.pmda.go.jp/files/000277965.pdf
- 厚生労働省「治療と就業の両立支援指針」(令和8年2月10日 厚生労働省告示第28号)/改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)令和8年4月1日施行。高知労働局「治療と就業の両立支援が努力義務になります!」https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/newpage_01102.html
- 埼玉県「指定難病要支援者証明事業(『登録者証』の発行)について」(2025年12月25日掲載)https://www.pref.saitama.lg.jp/a0705/tourokusyasyou.html
- 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/hattatsu_nanchi.html
- 福岡県「ご存知ですか?『ヘルプマーク・ヘルプカード』」(2026年3月3日更新)https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/helpcard.html/福岡市「ヘルプマークを配布しています」(2024年10月10日更新)https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/zaitakushien/health/help-mark.html
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療方針は主治医にご相談ください。本記事の作成にあたり、企業からの資金提供や便宜供与は受けていません。

