まず、どこに相談するか:親の施設の選び方

親の施設の選び方第2回/全10回
まず、どこに相談するか

「いきいきセンターふくおか」と要介護認定の受け方

第1回で、住まいの選択肢を並べました。ただし、どの道を選ぶにしても、その前に必ず通る門があります。 要介護認定です。これがないと、介護保険のサービスは使えず、施設にも申し込めません。 この回では、福岡市でどこに何を相談し、どういう順で手続きが進むのかを、最初から最後まで通してたどります。 読み終えたら、今週のうちに動き出せる状態になります。

この連載の現在地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 第2回 まず、どこに相談するか

この回の結論

  1. 迷ったら、先に要介護認定の申請を出してください。認定の効力は申請した日にさかのぼるので、早く出して損をすることはありません。
  2. 福岡市の相談先は2つです。手続きは福岡市要介護認定事務センター、暮らしの相談はいきいきセンターふくおか。どちらも無料です。
  3. 認定が出たらケアマネジャーを決めます。ケアプランの作成に自己負担はなく、合わなければ変えられます。

SECTION 01 福岡市の相談先は、役割が3つに分かれている

「介護のことは市役所に相談すればいい」と思って区役所に行くと、 たいていは別の場所を案内されます。福岡市では役割が分かれているからです。 最初にここを知っておくと、たらい回しになりません。

図1 福岡市の窓口は、役割で3つに分かれている 1 いきいきセンターふくおか(福岡市地域包括支援センター) 暮らしの相談。何から手をつければいいかわからない段階の相談先。市内57か所。 担当は小学校区で分かれる。相談は無料。家族だけの相談も、自宅への訪問もできる。 要支援と認定された人のケアプランは、ここで作ってもらう。 2 福岡市要介護認定事務センター 要介護認定の申請の受付と、認定に関する事務。福岡市はここに集約している。 郵送のほか、各区の福祉・介護保険課に隣接する支部窓口でも受け付けている。 認定の結果に納得できないときも、まずここへ電話する。 3 お住まいの区の福祉・介護保険課 認定が出たあとの届出。ケアプランを誰に作ってもらうかの届、費用の軽減の申請など。 お金にかかわる手続きの多くは、ここが窓口になる。 窓口の受付は平日8時45分から17時15分まで。 最初の一歩がわからないときは、1のいきいきセンターふくおかに電話すれば、その先を案内してもらえます。

図1 福岡市の窓口の役割分担。認定の事務を1か所に集約しているのは、福岡市の特徴です。

迷ったら、いきいきセンターふくおかに電話する

地域包括支援センターは全国の市町村に置かれていますが、福岡市はこれに 「いきいきセンターふくおか」という独自の名前をつけています。 市外の情報を読んでいると出てこない名前なので、最初に覚えてください。

  • 市内に57か所。担当は小学校区で分かれる区ではなく小学校区が単位です。市のホームページに住所から担当を調べられる一覧があります。
  • 保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーがいる健康のこと、福祉制度のこと、介護サービスのことを、それぞれの専門家が受けます。
  • 相談は無料。月曜から土曜の9時から17時まで祝日と年末年始は除きます。時間外は専用の電話番号を案内してもらえます。土曜は電話でも窓口でも相談できます。
  • 本人だけでなく、家族からの相談も受けている市の案内には対象として「高齢者及びその家族並びに介護、保健、福祉、医療等の関係者」と書かれています。遠方に住む子どもからの電話でもかまいません。
  • 必要なら自宅に来てくれる相談の内容に応じて訪問もしています。本人が窓口まで行けないことは、断る理由になりません。
福岡市の場合

要介護認定の申請先が「福岡市要介護認定事務センター」という専用の組織になっているのは、 福岡市の大きな特徴です。区役所ごとに受け付ける自治体が多いなかで、福岡市は事務を一本化しています。

郵送先と問い合わせ先は、〒810-0072 福岡市中央区長浜3丁目11-3-505、電話 092-711-6030です。 窓口で出したい場合は、各区の福祉・介護保険課に隣接する支部窓口で受け付けています。 区役所に行けば手続きできる、という点は変わりません。

SECTION 02 要介護認定の申請——出し方は3通り

要介護認定とは、介護がどのくらい必要な状態かを市が公的に認める手続きのことです。 これを受けないと、介護保険のサービスは1割負担では使えません。 施設への申込みにも、ほぼ例外なくこの認定が必要になります。

申請できるのは次の方です。65歳以上なら、原因は問いません。 40歳から64歳の方は、老化にともなう決められた病気(特定疾病)が原因である場合に限られます。

制度のしくみ

40歳から64歳の方が対象になる特定疾病は、介護保険法施行令 第2条で16種類が定められています。 がん(回復の見込みがない状態と医師が判断したもの)、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、 後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・ パーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、多系統萎縮症、 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、 慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症。 この16種類です。「まだ65歳ではないから使えない」と思い込んでいる方が多いところです。

申請の3つの方法

  • 郵送する福岡市要介護認定事務センターへ書類を送ります。窓口に行けない、平日に動けない場合はこれがいちばん確実です。
  • 窓口で出す各区の福祉・介護保険課に隣接する、福岡市要介護認定事務センターの支部窓口で受け付けています。
  • オンラインで申請するマイナポータルから申請できます。必要な書類はマイナポータルの案内ページで確認します。

郵送または窓口で出す場合に必要なものは、次のとおりです。 申請書類は福岡市のホームページからダウンロードできます。

  • 要介護認定・要支援認定申請書ここに主治医の情報(医療機関名、所在地、医師の氏名)を書く欄があります。あとで説明しますが、ここは大事です。
  • 要介護認定訪問調査個票福岡市の様式です。申請書と一緒に出します。
  • 介護保険被保険者証(原本)65歳になったときに市から届いている、うすい緑色の証書です。見当たらないときは、その旨を伝えれば手続きできます。
  • 申請者の身元確認書類と、マイナンバーが確認できる書類家族が代わりに出す場合も同じです。
気をつけること

本人が申請に行けなくても、まったく問題ありません。 家族が代理で申請できますし、家族も動けない場合は、いきいきセンターふくおか、 居宅介護支援事業者、利用中の介護保険施設に代行してもらえます。 これは福岡市の運用ではなく、介護保険法 第27条第1項に書かれていることです。

もうひとつ。主治医がいない場合でも申請はできます。 申請書に書く主治医が決まっていないときは、福岡市要介護認定事務センターに相談してください。 「かかりつけ医がいないから申請できない」と考えて止まってしまう方がいますが、その必要はありません。

SECTION 03 認定調査では何を見られるのか

申請をすると、調査員が自宅に来ます。日程は事前に調整されます。 福岡市の職員か、市から調査を委託された事業者のケアマネジャーが来ます。 どちらも身分を示すもの(名札と介護支援専門員証、または市が発行する調査員証か訪問調査依頼書)を持っています。

調査で聞かれる項目は、あらかじめ決まっていて、福岡市はその全部をホームページに載せています。 先に知っておけるものは、先に知っておいたほうがいいので、ここに並べます。

調査の群聞かれること
第1群
身体機能・起居動作
麻痺・拘縮の有無、寝返り、起き上がり、座位保持、片足・両足での立位保持、歩行、立ち上がり、洗身、つめ切り、視力、聴力
第2群
生活機能
移乗、移動、えん下、食事摂取、排尿、排便、口腔清潔、洗顔、整髪、上衣・ズボン等の着脱、外出頻度
第3群
認知機能
意思の伝達、毎日の日課を理解、生年月日・自分の名前をいう、短期記憶、季節・場所を理解、徘徊、外出して戻れない
第4群
精神・行動障害
被害的、作話、感情が不安定、昼夜逆転、同じ話をする、大声を出す、介護に抵抗、落ち着きなし、一人で出たがる、収集癖、物等を壊す、ひどい物忘れ、独り言・独り笑い、自分勝手に行動する、話がまとまらない
第5群
社会生活への適応
薬の内服、金銭の管理、日常の意思決定、集団への不適応、買物、簡単な調理
過去14日間に受けた
特別な医療
点滴の管理、中心静脈栄養、透析、人工肛門の処置、酸素療法、人工呼吸器、気管切開の処置、疼痛の看護、経管栄養、モニター測定、じょくそうの処置、カテーテル

表1 認定調査の基本調査。このほかに、いま受けているサービスや住まいの環境を聞く「概況調査」と、 調査員が気づいたことを書く「特記事項」があります。出典は福岡市の案内ページです。

調査の日に、家族がすべきこと

ここが実務のいちばんの山です。認定調査はその日その場の様子で判断されます。 ところが、多くのご本人は、他人が来ると急にしっかりします。 ふだんはひとりで立てないのに、調査員の前では手すりを使って立ってしまう。 昨日の夕食を思い出せないのに、聞かれると「食べました」と答える。 これで実際より軽く判定されることは、珍しくありません。

  • 家族が必ず同席する本人だけにしないことです。本人の答えを否定する必要はありません。あとから「ふだんはこうです」と補足すればよいのです。
  • 「できる日」ではなく「できない日」を伝える調子のよい日を基準にすると、実態より軽くなります。1週間のうち何回できないのか、回数で伝えると具体的になります。
  • 紙に書いて渡す本人の前では言いにくいことがあります。夜間の徘徊、失禁、暴言、火の不始末などは、あらかじめメモに書いて調査員に渡してください。特記事項として記録されます。
  • 介護している人の負担も伝える誰が、1日に何回、何分かかっているか。介護者が眠れていないことも、判断の材料になります。
気をつけること

調査を「試験」だと思って、本人によく見せようとする必要はまったくありません。 むしろ逆です。実態より軽い判定が出ると、必要なサービスが使えず、 1か月に使える上限も低いままになります。困っていることを、困っているとおりに伝えてください。 なお、誇張する必要もありません。事実を、いちばん困っている日を基準に伝えるのが正解です。

主治医意見書は、もうひとつの決め手

調査と同時に、市から主治医(かかりつけ医)に意見書の作成が依頼されます。 家族が手続きをするわけではありませんが、内容には影響を与えられます。 次の受診のときに、家での様子を書いたメモを渡してください。診察室では見えないことがあるからです。

SECTION 04 結果が出るまでと、出たあと

図2 申請から、サービスを使い始めるまで 家族が動くところ 市とその委託先が動くところ 1 申請する 郵送・各区の支部窓口・マイナポータルの3通り。この日が起点になる。 2 訪問調査と、主治医意見書の作成 この2つは同時に進む。家族が同席できるのはここ。 3 一次判定 訪問調査の結果をコンピューターで分析する。 4 福岡市介護認定審査会(二次判定) 一次判定に主治医意見書などを併せ、保健・医療・福祉の専門家が判定する。 5 結果の通知 原則として、市が申請を受理した日から30日以内。証書が郵送で届く。 6 ケアプランを作り、サービスを使い始める 要介護なら居宅介護支援事業者、要支援ならいきいきセンターふくおかに頼む。 認定の効力は申請した日にさかのぼるので、結果を待つあいだもサービスを使い始められます(本文参照)。

図2 申請から利用開始まで。家族が実際に動くのは1と6、そして2の日に立ち会うことだけです。

待っているあいだも、サービスは使える

ここは、知っているかどうかで差がつくところです。 介護保険法 第27条第8項は「要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる」と定めています。 結果が出るのを待たずに、申請した日からサービスを使い始められるということです。 これを暫定ケアプランといいます。

気をつけること

ただし条件があります。実際に出た認定が、暫定ケアプランで想定していた要介護度より低かった場合、 その差の分は全額自己負担になります。非該当だった場合は、使った分がすべて自己負担です。 福岡市も、このことをはっきり書いています。 急ぐ事情があるなら使うべき仕組みですが、ケアマネジャーと相談して、 控えめな見込みで組んでもらうのが安全です。

7つの区分と、有効期間

区分福岡市の説明使えるもの
非該当要支援1・2と要介護1〜5に該当しない人市が行う一般介護予防事業(地域支援事業)
要支援1社会的支援を部分的に要する状態介護予防サービス
要支援2重い認知症等がなく、心身の状態も安定しており、社会的支援を要する状態介護予防サービス
要介護1心身の状態が安定していないか、認知症等により部分的な介護を要する状態介護サービス
要介護2軽度の介護を要する状態介護サービス
要介護3中度の介護を要する状態介護サービス。特別養護老人ホームに申し込めるのは原則ここから
要介護4重度の介護を要する状態介護サービス
要介護5最重度の介護を要する状態介護サービス

表2 7つの区分と非該当。説明の文言は福岡市の案内ページによります。区分ごとの上限額は第1回の表3をご覧ください。

有効期間は永久ではありません。原則として、新規と区分変更は6か月後の月末、更新は12か月後の月末が 満了日です。状態が急に重くなりそうな場合は3か月まで短縮され、 長期的に安定していると判定された場合は48か月まで延長されることがあります。

  • 更新の手続きは、満了日の60日前からできる手続きの中身は新規申請と同じです。忘れると、いったんサービスが使えなくなります。
  • 状態が変わったら、期間の途中でも区分変更を申請できる介護保険法 第29条に定めがあります。退院して急に手がかかるようになった、認知症が進んだ、というときは待たずに出します。
  • 結果に納得できないときは、まず電話する福岡市要介護認定事務センターに相談したうえで、なお不服があれば、福岡県が設置する介護保険審査会に審査請求ができます。
福岡市の場合

更新を忘れる事故を防ぐしくみが、福岡市にはあります。 福岡市公式ポータルサイト「ふくおかサポート」に登録しておくと、 更新案内のお知らせをスマートフォンで受け取れます(令和7年6月配信開始。 登録にはマイナンバーカードなどが必要です)。 離れて暮らす子ども世代にとっては、親の更新時期を把握する手段になります。

SECTION 05 ケアマネジャーを決める

認定結果が届いたら、次はケアプランです。ここから先、日々の相談相手になるのがケアマネジャーです。 誰に頼むかは要介護度で分かれます。

  • 要介護1から5の人 ── 居宅介護支援事業者を自分で選ぶ福岡市の指定を受けた事業所にケアマネジャーがいます。決まったら「居宅サービス計画作成依頼届出書」をお住まいの区の福祉・介護保険課に提出します。
  • 要支援1・2の人 ── いきいきセンターふくおかが担当する介護予防ケアプランは、地域のいきいきセンターふくおかが中心になって作ります。申請の相談をした窓口が、そのまま担当になります。
  • 自分で作ることもできる本人や家族がケアプランを作ることも認められています。その場合は各区の福祉・介護保険課に計画を提出します。手間はかかりますが、選択肢としては存在します。
お金のはなし

ケアプランの作成に、利用者の自己負担はありません。 福岡市の案内にも「ケアプランの作成は無料です」と明記されています。 介護保険法 第46条にもとづき、居宅介護サービス計画費として保険から給付されるためです。 「相談すると料金がかかるのでは」と遠慮して連絡が遅れる方がいますが、その心配は要りません。 なお、ケアマネジャーへの謝礼や贈り物も不要です。

ケアマネジャーの選び方

いきいきセンターふくおかに相談すると、地域の事業所を何か所か紹介してもらえます。 そこから選ぶときに見るところは、次の4つです。

  • 連絡がつきやすいかいちばん大事です。困ったときに電話がつながるか、折り返しが早いか。数日つながらない相手だと、判断が止まります。
  • 医療の話が通じるか薬、点滴、通院、入退院。医療の言葉がわかるケアマネジャーだと、主治医との橋渡しがうまくいきます。看護師の資格を持つケアマネジャーもいます。
  • 特定の系列に偏っていないか母体の法人が運営するサービスばかりが並ぶプランになっていないか。悪いこととは限りませんが、理由を説明してもらってください。第4回でくわしく扱います。
  • 本人の話を先に聞くか家族の都合を先に聞く人より、本人に「どうしたいですか」と尋ねる人のほうが、長く見てもらったときに信頼できます。

そして大事なことをひとつ。ケアマネジャーは途中で変えられます。 相性が合わない、話が通じない、連絡がつかない。そう感じたら、 いきいきセンターふくおかか、区の福祉・介護保険課に相談してください。 変更の手続きはありますが、我慢して続ける必要はありません。

医療の目で見ると

私たちが訪問診療でご一緒していて、うまくいくケアマネジャーには共通点があります。 医療者に対して、早い段階で、短い連絡をくれることです。 「昨日から食事量が半分です」「夜だけ混乱があります」。この一報があるかどうかで、 往診の判断も、薬の調整も変わります。

逆に、ケアマネジャーと医療のあいだが切れていると、状態が悪くなってから救急車、 という流れになりやすいです。ですから最初の面談のときに、 「何かあったとき、主治医にはどう連絡していただけますか」と聞いてみてください。 具体的に答えられる人は、医療との仕事に慣れています。

なお、ケアマネジャーは介護保険の担当です。訪問診療や訪問看護を入れるかどうかは 医療側の話になりますが、実際にはケアマネジャーが調整の中心になります。 どの住まいでどんな医療が続けられるかは、第9回でまとめて扱います。

SECTION 06 施設を考えている場合、この回でやっておくこと

この連載の主題は施設選びです。ここまで手続きの話が続きましたが、 施設に入る場合も、入口は同じです。要介護認定がなければ、どの施設にも申し込めません。 そのうえで、施設を考えている方が今の段階でやっておけることを挙げます。

  • 認定の申請を出す。結果を待つあいだに見学を始めてよい見学に認定は要りません。ただし、認定が出ないと入居の話は前に進みません。申請が先です。
  • ケアマネジャーに「施設も考えている」と最初に言う福岡市の案内にも「施設への入所を希望する場合は居宅介護支援事業者に相談してください」と書かれています。在宅を続けたいのだろうと気を遣われて、話が出てこないことがあります。
  • 特別養護老人ホームは、市ではなく施設に直接申し込むここは間違えやすいところです。申込書は施設に出します。詳しい手順と、待ち方の作法は第5回で扱います。
  • 入院中なら、病院の医療相談室にも同時に相談する病院の相談員と、いきいきセンターふくおかの両方に同じ話をしておくと、退院の日程に合わせて動いてもらえます。
在宅医の視点

主治医意見書は、家族が思っているよりずっと効きます。

外来の診察は短いものです。「お変わりないですか」「はい、大丈夫です」で終わることが、実際によくあります。 ところが家では、月に2回転んでいたり、夜中に外へ出ようとしていたり、 薬をまとめて飲んでしまっていたりする。それが医師に届いていないまま意見書が書かれると、 実態より軽い内容になります。

ですから、申請をしたら次の受診に家族が付き添って、紙を1枚渡してください。 長い文章は要りません。「この1か月で転んだ回数」「夜間に起きる回数」「服薬をどう管理しているか」 「介護している人が困っていること」。この4つが箇条書きしてあれば十分です。 医師は、それを見て書きます。

私たちのように家に伺う医師は、その様子を自分の目で見られます。 冷蔵庫の中も、玄関の段差も、薬の残り方も見えます。 通院が難しくなってきた方の場合、主治医を訪問診療に切り替えると、 意見書の中身も生活に即したものになります。 もっとも、これは訪問診療でなければできないことではありません。 通院を続けるなら、家族が紙で伝える。それだけで結果は変わります。

この回のチェックリスト(第2回ぶん)

  • 担当のいきいきセンターふくおかの名前と電話番号を、手元にメモした
  • 要介護認定の申請を出した(または、出す日を決めた)
  • 申請書に書く主治医の医療機関名・所在地・医師名を確認した
  • 介護保険被保険者証の場所を確認した
  • 認定調査の日に、家族の誰が同席するか決めた
  • 調査員に渡すメモを作った(転倒、夜間の様子、失禁、服薬、火の元、介護者の負担)
  • 次の受診に付き添って、主治医に同じメモを渡す予定を立てた
  • 結果が出るまでにサービスが必要かどうか、暫定ケアプランの要否を考えた

この回で出てきた福岡市の窓口

電話番号と受付時間は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。

  • いきいきセンターふくおか(福岡市地域包括支援センター)何から始めればよいかの相談。市内57か所、担当は小学校区ごと。月曜から土曜の9時から17時(祝日・年末年始を除く)。相談は無料/案内ページ住所別の一覧
  • 福岡市要介護認定事務センター要介護認定の申請と、結果への相談/〒810-0072 福岡市中央区長浜3丁目11-3-505/電話 092-711-6030/窓口は各区の福祉・介護保険課に隣接する支部/申請のご案内
  • お住まいの区の福祉・介護保険課ケアプラン作成依頼の届出、費用の軽減の申請など/ケアプラン作成のページ
  • ふくおかサポート(福岡市公式ポータルサイト)認定の更新案内をスマートフォンで受け取れます/更新・区分見直しのページ
利用のご案内

自宅でも、施設に移ってからでも、医療は続けられます。

ふくろう訪問クリニックは、福岡市早良区の在宅医療のクリニックです。 ご自宅はもちろん、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームへも医師が伺います。 通院が難しくなってきた、施設に移るので主治医を探している、退院後の行き先を決めたい。 どの段階のご相談でもかまいません。ご家族だけでのお問い合わせも歓迎します。

ふくろう訪問クリニック(訪問診療) 福岡市早良区荒江2-6-37 第2渡辺ビル1階
お電話:092-407-7337
メール:clinic@fukurou.fukuoka.jp
クリニックのご案内
ふくろう訪問看護リハビリステーション 看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が伺います。
お電話:092-834-8581(平日 9:00〜18:00)
メール:nurse@fukurou.fukuoka.jp
ステーションのご案内

訪問看護は、ふくろう訪問クリニック以外がかかりつけの方でもご利用いただけます。 主治医を変える必要はありません。

採用のご案内

在宅医療の現場で、一緒に働く方を募集しています。

ふくろう訪問クリニック 入職祝い金20万円直接応募限定 医師(常勤・非常勤)/看護師/医療事務
お電話:092-407-7337
メール:clinic@fukurou.fukuoka.jp
採用情報のページ
ふくろう訪問看護リハビリステーション 入職祝い金20万円直接応募限定 看護師/理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(常勤・非常勤)
お電話:092-834-8581(平日 9:00〜18:00)
メール:nurse@fukurou.fukuoka.jp
求人情報のページ

入職祝い金は、クリニック・ステーションのどちらも20万円です。 人材紹介会社を通さず直接ご応募いただいた方が対象になります。 見学だけでも歓迎します。訪問の経験がない方、ブランクのある方もご相談ください。

Q&A よくある質問

Q申請してから結果が出るまで、どれくらいかかりますか。
A介護保険法では、申請から30日以内に処分をすることになっており、福岡市も「原則として、市が申請を受理した日から30日以内に通知」と案内しています。ただし調査の日程調整や主治医意見書の作成に時間がかかる場合は、その理由と見込み期間を知らせたうえで延長されることがあります。急ぐ事情があるなら、申請のときにその旨を伝えてください。そして、待つあいだも認定の効力は申請日にさかのぼるので、暫定ケアプランでサービスを始めることができます。
Q親が「介護なんて必要ない」と言って、申請を嫌がります。
Aよくあることです。「介護」という言葉を使わずに話すと通ることがあります。たとえば「市の健康チェックを受けておこう」「私が安心したいから」。それでも難しいときは、いきいきセンターふくおかに事情を話してください。本人が拒否している段階からの相談に慣れています。認定を受けても、サービスを使う義務はありません。使わなくても不利益はないので、先に受けておくという考え方もあります。
Q私は県外に住んでいます。手続きのたびに帰省が必要ですか。
A申請は郵送とマイナポータルでできるので、帰省せずに出せます。相談も電話で受けてもらえます。ただし認定調査の日は、できるかぎり同席してください。ここだけは、家での様子を伝えられる人がいるかどうかで結果が変わります。日程は事前に調整されるので、帰省に合わせてもらえないか相談してみてください。難しい場合は、調査員に渡すメモを事前に郵送するか、同席する親族に託してください。
Q認定は出たのですが、思ったより軽い区分でした。
Aまず福岡市要介護認定事務センターに電話して、どのように判定されたのかを聞いてください。そのうえで納得できない場合は、福岡県が設置する介護保険審査会に審査請求ができます。また、状態が変わったのであれば、有効期間の途中でも区分変更の申請ができます。実務としては、区分変更のほうが早く結果が出ることが多いので、ケアマネジャーと相談して選んでください。

REFERENCE 参考資料

  1. 介護保険法(平成9年法律第123号)第27条・第28条・第29条・第46条(https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
  2. 介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条(特定疾病)(https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412
  3. 福岡市「【認定の流れ1】まず、申請します」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010302.html
  4. 福岡市「【認定の流れ2】訪問調査・主治医意見書の作成が行われます」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010303.html
  5. 福岡市「【認定の流れ3】審査・判定が行われます」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010304.html
  6. 福岡市「【認定の流れ4】結果が通知されます」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010305.html
  7. 福岡市「要介護認定の更新・区分見直しについて」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010306.html
  8. 福岡市「介護保険のサービスを利用する手順」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010301.html
  9. 福岡市「(要介護1から5と認定された人)ケアプランを作成します」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-0104020.html
  10. 福岡市「(要支援1・2、非該当と認定された人)介護予防ケアプランを作成します」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010401.html
  11. 福岡市「いきいきセンターふくおか(福岡市地域包括支援センター)」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/chiikihoken/health/00/04/4-030101-1_2.html
本記事は、公開されている法令・通知・自治体の資料をもとに、施設選びに必要な範囲を整理したものです。 費用の目安や制度の取扱いは、改定や個々の事情によって変わります。実際の手続きや金額は、 お住まいの区の窓口、地域包括支援センター(福岡市では「いきいきセンターふくおか」)、 担当のケアマネジャー、各施設に必ずご確認ください。 治療やお体のことについては、かかりつけ医にご相談ください。