リュープロレリン:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第19回/全50回
リュープロレリン

武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法

前立腺がんは男性ホルモンで育つ。1941年の発見から、脳の指令ホルモンの構造決定まで、ふたつのノーベル賞の先に、大阪の製薬会社が見つけた化合物がありました。不妊症の薬になるはずが、押しっぱなしで性腺を止める薬になった。 毎日の注射を、4週・12週・24週に1回にした武田の徐放製剤は、いまも前立腺がんと閉経前乳がんの土台です。最初の2週間の注意、骨とほてり、長い製剤ほど安くなる薬代を書きます。

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この回の結論

  1. リュープロレリンは、1973年に武田薬品が見つけたホルモンの仲間です。脳からの指令を「押しっぱなし」にして、逆に精巣や卵巣を止めます。武田が作った4週間効く注射(徐放製剤)が、1992年に前立腺がんで承認されました。
  2. 前立腺がんでは、精巣を取る手術や女性ホルモンの薬と同じ効き目を、副作用少なく出せることが1984年の比較試験で示され、いまも前立腺がんのホルモン療法の土台です。閉経前乳がんでも使います。
  3. 副作用はほてり、骨が減る、注射した場所のしこり。最初の1〜2週間は一時的に病気の症状が強まることがあります。4週・12週・24週の製剤があり、長い製剤ほど年間の薬代は安くなります。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)リュープロレリン酢酸塩(リュープリン注射用キット3.75mg、SR 11.25mg、PRO 22.5mg。後発品あり)
薬の家族ホルモン薬(内分泌療法薬。LH-RHアゴニスト)
主に使うがん前立腺がん(転移のある人、放射線と組む人、再発した人)、閉経前のホルモン受容体陽性乳がん。がん以外に子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症
使い方皮下注射。4週に1回(3.75mg)、12週に1回(11.25mg)、24週に1回(22.5mg)。前立腺がんでは最初に飲み薬の抗アンドロゲン薬を組むことが多い
日本での承認1992年7月(前立腺がん)。1996年に閉経前乳がん
薬価の目安リュープリン注射用キット3.75mg 21,354円、SR 11.25mg 40,500円、PRO 22.5mg 62,561円。後発品は3.75mgで16,726〜17,056円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:ノーベル賞ふたつと、大阪の製薬会社

1941年、シカゴ大学の外科医チャールズ・ハギンズは、前立腺がんが男性ホルモンで育つことを示し、精巣を取る手術や女性ホルモンで進行が止まることを報告しました。がんをホルモンで治療する最初の証明で、1966年のノーベル賞になります。 1971年、アンドリュー・シャリーらは、脳の視床下部が出す「性腺を動かせ」という指令のホルモン(LH-RH)の構造を突き止め、これも1977年のノーベル賞でした。

そのホルモンの形を少し変えて、何十倍も強く長く効くものを作れないか。1973年、武田薬品の藤野政彦らは、10個のアミノ酸のうち2か所を置き換えた化合物に強い活性を見つけます(Fujino ら、BBRC 1974)。 最初は不妊症の薬になるはずでした。ところが、連続して与えると性腺はむしろ止まり、前立腺や子宮が小さくなる。「アクセルを踏み続けると、ブレーキになる」。この発見が、薬の運命を決めました。

  • 1941年ハギンズが、前立腺がんは男性ホルモンで育ち、精巣を取ると縮むことを示す(1966年ノーベル賞)。
  • 1971年シャリーらがLH-RHの構造を決定(1977年ノーベル賞)。
  • 1973年武田薬品がリュープロレリンを発見。連続投与で性腺が止まることが分かり、がんの薬へ。
  • 1984年米国の比較試験で、毎日の皮下注射が女性ホルモンの薬と同じ効き目で副作用が少ないと示される。1985年、米国で毎日注射の製剤を発売。
  • 1989年武田が開発した4週間効くマイクロカプセルの注射が米国で発売。1992年7月、日本で前立腺がんに承認。
  • 1996年閉経前乳がんが加わる。その後、12週製剤と24週製剤。
徐放製剤(じょほうせいざい)とは、薬を少しずつ長く放出する製剤です。リュープリンは、手術の縫合糸にも使われる体内で分解する高分子(乳酸・グリコール酸共重合体)の小さな粒に薬を閉じ込め、 粒が溶けるにつれて4週間、12週間、24週間と一定の速さで薬が出ます(Okada ら、Pharm Res 1994)。毎日の注射を、年に2〜13回にした発明です。
ここだけ覚える不妊症の薬になるはずが、押しっぱなしで止める薬になった。それを4週間の注射にしたのが武田。

SECTION 02 どうやって効くのか:アクセルを踏み続けて、ブレーキにする

脳の視床下部は、指令ホルモン(LH-RH)を「脈打つように」出して、下垂体に精巣や卵巣を動かす命令を出させます。 リュープロレリンは、この指令を強く、絶え間なく送り続けます。最初の1〜2週間は下垂体が反応しすぎて男性ホルモンが一時的に上がりますが、 やがて下垂体の受け皿が減って反応しなくなり、精巣は男性ホルモンを作らなくなります。血液中の男性ホルモンは、精巣を取ったのと同じ「去勢レベル」まで下がります。

  • 最初の1〜2週間は要注意男性ホルモンが一時的に上がるので、骨の痛みが強まる、尿が出にくくなる、脊髄が圧迫される、が添付文書で5%以上に挙げられています。それを防ぐため、飲み薬の抗アンドロゲン薬を先に、または一緒に使います。
  • 間隔を空けすぎない4週を超えて空けると、下垂体が回復してホルモンが再び上がり、症状が悪化するおそれがあると添付文書は記しています。注射の予定日を守ることが治療の一部です。
  • 女性では卵巣を止める閉経前の乳がんで、卵巣を止めてタモキシフェンやアロマターゼ阻害薬(第17・18回)と組みます。閉経後と同じ体の状態を、薬で一時的に作ります。
ここだけ覚える最初は一時的に上がる。だから飲み薬を先に。4週ごとの予定は守る。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:手術も女性ホルモンも要らなくなった

決め手になった試験

1984年、転移のある前立腺がんの男性199人を、くじ引きで「女性ホルモンの薬(ジエチルスチルベストロール)」と「リュープロレリンの毎日注射」に分けました。 腫瘍が縮む・進まない人はどちらも85〜86%で同じ。女性ホルモンの薬に多かった乳房の痛みを伴う腫れ、吐き気、むくみ、血栓は、注射で少なく、注射ではほてりが多い結果でした(Leuprolide Study Group、NEJM 1984)。 精巣を取る手術と同じ効き目を、手術なしで、女性ホルモンの薬の副作用を避けて出せる。前立腺がんのホルモン療法の形が、ここで決まりました。

閉経前の乳がんでは、卵巣を止める注射をタモキシフェンに足すと、8年後に再発なく過ごす人が78.9%から83.2%に、アロマターゼ阻害薬と組むと85.9%に増えました(Francis ら、NEJM 2018、SOFT/TEXT試験、約5,700人)。 この試験で主に使われた注射は同じ働きの別の薬(トリプトレリン)ですが、日本ではリュープロレリンが同じ役目を担っています。

場面使い方根拠・関連する回
転移のある前立腺がん土台として続け、ドセタキセル(第10回)や新しいホルモン薬(第20回)を上乗せLeuprolide Study Group 1984、CHAARTED、LATITUDEなど
放射線治療と組む前立腺がん放射線の前後に半年〜3年各比較試験(がん情報サービス「前立腺がん 治療」)
閉経前の乳がん(再発リスクが高い)タモキシフェンかアロマターゼ阻害薬と組んで5年SOFT/TEXT 2018
子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症がん以外の使い方添付文書

表1 リュープロレリンの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。同じ働きの注射にゴセレリン(ゾラデックス)があり、病院によって使い分けられる。

制度のしくみ

添付文書の対象は、前立腺がん、閉経前乳がん(3.75mg製剤)、子宮内膜症、子宮筋腫、中枢性思春期早発症です。 4週製剤は「キット」になっていて、看護師が懸濁して皮下に注射します。12週・24週製剤は前立腺がんと閉経前乳がんに使われ、通院の回数を減らします。

ここだけ覚える手術と同じ効き目を、注射で。それが40年たっても、前立腺がんの治療の土台。

SECTION 04 副作用と、家でできること:ほてり、骨、注射の跡

添付文書(前立腺がん)では、ほてり・熱感、関節痛・骨の痛み、注射部位の痛み・硬結・発赤が5%以上。骨密度の低下、性欲減退、勃起障害、女性化乳房、頭痛、不眠、発汗も挙げられています。 重大なものとして、最初の一時的な悪化(骨痛・尿路閉塞・脊髄圧迫)、うつ状態、心不全、糖尿病の発症・増悪、血栓塞栓症、間質性肺炎が記されています。

副作用と、家でできること

ほてり・汗は多くの人に出ます。薄着の重ね着、寝室を涼しく、カフェインとアルコールを控える(がん情報サービス「ほてり・のぼせ・発汗」)。つらければ薬で和らげられます。 は年単位で減るので、骨密度を測り、必要なら骨の薬。転倒を防ぐ家づくりは第18回と同じです。

注射の跡のしこりや赤みは数日で引きます。強い痛み、膿、熱を持つときは連絡します。 気分の落ち込みは男性ホルモンの低下で起こります。「元気が出ない」「楽しくない」が続くときは、我慢せず伝えます。筋力の低下と体重増加には、散歩と軽い筋トレが効きます。

  • こんなときは最初の注射から1〜2週間で、骨の痛みが強まった、尿が出にくい、脚の力が入らない
    こうする一時的なホルモン上昇の合図。その日のうちに病院へ連絡する
  • こんなときは注射の予定日を過ぎてしまった
    こうする気づいたら病院に電話して、早めに受ける。間隔が空くとホルモンが戻る
  • こんなときは気分の落ち込みが続く、何もしたくない、死にたい気持ちが出た
    こうする薬の副作用のことがある。主治医か、かかりつけ医に早めに相談する
気をつけること

糖尿病や心臓の病気のある人は、悪化することがあり、血糖と血圧を定期的に確かめます。骨密度の低下が心配な人は、治療前に骨密度を測っておきます。 女性では妊娠中・授乳中は使えません。注射した部位をもまないでください。

在宅の現場では

通院が難しくなった前立腺がんの方には、訪問診療でこの注射を続けることができます。12週・24週の製剤なら、ご家族の送迎の負担も減ります。 注射のたびに、ほてりの程度、体重、足の筋力、気分を一緒に見ています。

何年も続けている方では、「この注射は何のためか」をご家族が忘れていることがあります。がんを抑える土台の薬で、やめると数か月でホルモンが戻ることを、節目ごとに伝えています。

ここだけ覚える予定日を守る、骨を守る、気分の落ち込みを言葉にする。

SECTION 05 薬価と自己負担:長い製剤ほど、年間は安い

薬価と自己負担の目安

リュープリン注射用キット3.75mg(4週)は21,354円、SR 11.25mg(12週)は40,500円、PRO 22.5mg(24週)は62,561円。後発品は4週製剤で16,726〜17,056円、12週製剤で22,970〜23,774円です(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 1年に換算すると、4週製剤は13回で約28万円、12週製剤は約17万5千円、24週製剤は約12万5千円。長い製剤ほど年間は安くなります。

3割負担なら、4週製剤は1回約6,400円、24週製剤は1回約1万9千円。70歳以上・一般なら高額療養費で外来の自己負担は月22,000円までなので、24週製剤でも上限内です(第1回の表1)。 前立腺がんで新しいホルモン薬(第20回)を上乗せすると、薬代の主役はそちらになります。

本剤は4週間持続の徐放性製剤であり、4週を超える間隔で投与すると下垂体-性腺系刺激作用により性腺ホルモン濃度が再度上昇し、臨床所見が一過性に悪化するおそれがあるので、4週に1回の用法を遵守すること。 出典:武田薬品工業「リュープリン注射用3.75mg・注射用キット3.75mg 添付文書」2026年9月改訂、用法及び用量に関連する注意の項
ここだけ覚える年13回なら28万円、年2回なら12万5千円。通院の負担も薬代も、長い製剤が軽い。
在宅医の視点

「注射を打ち続ける」ことの意味を、家族と共有する。

この薬は、がんを小さくする実感の薄い薬です。何年も打ち続けるうちに、ご本人もご家族も「何のために」を忘れます。 でも、やめれば数か月でホルモンが戻り、がんは動き出します。ほてりや骨の減りは、薬が効いている裏返しです。

武田の徐放製剤は、毎日の注射を年2〜13回に減らしました。在宅で続けられるようになったのは、この製剤のおかげです。 通院が難しくなっても、この注射はやめずにすむ。それを、ご家族に最初に伝えるようにしています。

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Q&A よくある質問

Q最初に飲み薬を1〜2週間先に出されました。なぜですか。
Aこの注射は、最初の1〜2週間だけ男性ホルモンを一時的に上げます。その間に骨の痛みや排尿の症状が強まらないよう、男性ホルモンの働きを止める飲み薬(抗アンドロゲン薬)を先に、または一緒に使います。飲み薬はしばらくして終わることも、続けることもあり、それは病状で決まります。
Q4週と24週の注射は、効き目が違いますか。
A男性ホルモンを去勢レベルまで下げる力は同じです。違うのは通院の回数と、1回の薬代です。年間で見ると、長い製剤のほうが安く、通院も減ります。一方、副作用が出たときに「次の注射まで待つ」期間も長くなるので、治療の初めは4週製剤で様子を見て、安定してから長い製剤に変える病院が多いです。
Q閉経前の乳がんで、この注射を勧められました。生理は戻りますか。
A注射を続けている間は卵巣が止まり、生理は止まります。治療を終えれば多くの人で卵巣は回復しますが、年齢が高いほど回復しにくく、そのまま閉経になることもあります。将来の妊娠を考えている場合は、治療の前に必ず伝えてください。妊娠の可能性を残す方法(卵子や胚の凍結保存)を先に相談できます。

この回のチェックリスト(第19回ぶん)

  • 次の注射の予定日をカレンダーに書き、過ぎたら電話すると決めた。
  • 最初の注射から2週間は、骨の痛み・排尿・脚の力に気をつける。
  • 骨密度を測る予定と、転倒を防ぐ家の見直しをした。
  • 気分の落ち込みが続くときは相談する、と家族で共有した。
  • 通院が難しくなったときに訪問で続けられることを知った。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. 武田薬品工業「リュープリン注射用1.88mg・3.75mg、注射用キット1.88mg・3.75mg 添付文書」2026年9月改訂(販売開始1992年9月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_2499407D1031_1_08
  2. 武田薬品工業「リュープリン注射用 医薬品インタビューフォーム」(開発の経緯:1973年発見、1985年米国で連日注射製剤、1989年米国で徐放製剤、1992年7月日本承認、1996年10月閉経前乳癌追加)(https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/400256_2499407D1031_1_006_1F.pdf
  3. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
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  5. Matsuo H, Baba Y, Nair RM, Arimura A, Schally AV. Structure of the porcine LH- and FSH-releasing hormone. I. The proposed amino acid sequence. Biochem Biophys Res Commun. 1971;43(6):1334-1339(https://doi.org/10.1016/S0006-291X(71)80019-0
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  9. Francis PA, et al. Tailoring adjuvant endocrine therapy for premenopausal breast cancer. N Engl J Med. 2018;379(2):122-137(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1803164
  10. 国立がん研究センター がん情報サービス「前立腺がん 治療」2024年7月30日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)、「ほてり・のぼせ・発汗(ホルモン低下による症状)」2026年1月23日更新(https://ganjoho.jp/public/support/condition/hot_flash/index.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。