アロマターゼ阻害薬:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第18回/全50回
アロマターゼ阻害薬

「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療

閉経後の体は、卵巣が止まっても脂肪や筋肉で女性ホルモンを作り続けています。その工場の酵素を止める薬が、30年かけて作られました。閉経後の乳がんで、タモキシフェンより再発が少ないことを3万人の集計が示しています。 副作用は関節のこわばりと骨。転ばない家づくりと、朝の手を温めること、合わなければ替えられること。3剤の値段の違いまで書きます。

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この回の結論

  1. 閉経後の体は、卵巣が止まっても、脂肪などの組織で男性ホルモンから女性ホルモンを作り続けています。その工場の酵素「アロマターゼ」を止めるのがアロマターゼ阻害薬です。2000年から2006年にかけて日本で3剤(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)が承認されました。
  2. 閉経後のホルモン受容体陽性乳がんで、タモキシフェンより再発が少なく、3万人の集計で10年後の乳がん死亡が14.2%から12.1%に減りました。閉経後の術後治療の第一の選択肢です。
  3. 副作用は関節のこわばり・痛み、骨粗鬆症と骨折、ほてり。骨密度を定期的に測り、転倒を防ぐことが家での仕事です。1日の薬代は先発品で約110〜130円、後発品なら20〜70円です。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)アナストロゾール(アリミデックス錠)、レトロゾール(フェマーラ錠)、エキセメスタン(アロマシン錠)。いずれも後発品あり
薬の家族ホルモン薬(内分泌療法薬。アロマターゼ阻害薬)
主に使うがん閉経後のホルモン受容体陽性乳がん(手術のあとの再発予防、進行・再発)。閉経前では卵巣を止める注射(第19回)と組む場合だけ
使い方飲み薬。1日1回(アナストロゾール1mg、レトロゾール2.5mg、エキセメスタン25mg)。5年が基本で、状況により延長やタモキシフェンからの切り替え
日本での承認アナストロゾール2000年12月、エキセメスタン2002年7月、レトロゾール2006年1月
薬価の目安アリミデックス錠1mg 107.5円、フェマーラ錠2.5mg 127.1円、アロマシン錠25mg 111.4円。後発品はアナストロゾール20.8〜50.8円、レトロゾール45〜68.9円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:閉経後にも、女性ホルモンの工場はある

タモキシフェン(第17回)は、女性ホルモンの「受け皿」をふさぐ薬でした。それなら、女性ホルモンそのものを作らせなければよいのでは。 閉経後の女性の体では、卵巣は止まっていますが、脂肪や筋肉、そして乳がんの組織そのものの中で、男性ホルモンを女性ホルモンに作り替える酵素が働いています。 それがアロマターゼです。

1970年代、副腎の働きを止めるために使われていた薬(アミノグルテチミド)が、偶然この酵素も止めることが分かり、閉経後乳がんに効きました。ただし副腎まで止めるので、ステロイドを補う必要がありました。 米国の薬理学者アンジェラ・ブロディは、この酵素だけをねらう化合物を設計し、1980年代に初めて患者に使われます。 1985年、英国のゼネカ社(現アストラゼネカ)は3,000以上の化合物を調べてアナストロゾールを選び、スイスと伊のチームがレトロゾールとエキセメスタンを生みました(Santen ら、Endocr Rev 2009)。

  • 1970年代副腎を止める薬アミノグルテチミドが、閉経後乳がんに効くと分かる。仕組みは「アロマターゼ阻害」だった。
  • 1980年代ブロディが設計した選択的な阻害薬が、初めて患者に使われる。伊のファルミタリア社(現ファイザー)が1982年からエキセメスタンを開発。
  • 1985年ゼネカ社が3,000以上の化合物からアナストロゾールを選ぶ。スイスのノバルティス社は1989年からレトロゾールの試験。
  • 1995〜1999年米国で3剤が順に承認(進行乳がん)。
  • 2000〜2006年日本でアナストロゾール(2000年12月)、エキセメスタン(2002年7月)、レトロゾール(2006年1月)が承認。
  • 2002〜2005年手術のあとの再発予防でタモキシフェンより優れることが、ATAC試験(9,366人)とBIG 1-98試験(8,010人)で示される。
閉経後とは、卵巣が女性ホルモンを作らなくなった状態です。この薬は「卵巣以外の工場」を止める薬なので、卵巣が動いている閉経前の人に単独で使うと、脳が「ホルモンが足りない」と判断して卵巣を余計に働かせ、逆効果になります。 添付文書も、閉経前の人には使わないよう記しています。
ここだけ覚える閉経後にも工場はある。その酵素だけを止める薬を、30年かけて作った。

SECTION 02 どうやって効くのか:作らせない、という発想

アナストロゾールとレトロゾールは酵素に「はまって」働きを止め、エキセメスタンは男性ホルモンに似た形で酵素に取り付き、壊します。 どれも、血液中の女性ホルモンをほとんどゼロ近くまで下げます。乳がん細胞は栄養を絶たれ、増えなくなります。

タモキシフェンと違って、骨を守る働きはありません。女性ホルモンが減ったぶん、骨は減り、関節はこわばります。その代わり、子宮内膜を厚くすることも、血栓を増やすこともほとんどありません。 副作用の顔ぶれが、タモキシフェンとちょうど入れ替わります。

  • 骨が減る添付文書は「骨粗鬆症、骨折が起こりやすくなるので、骨密度等を定期的に観察することが望ましい」と記しています。治療前と1〜2年ごとに骨密度を測ります。
  • 関節がこわばる朝の手のこわばり、指の関節痛、ばね指、腱鞘炎が多く、動かし始めると楽になるのが特徴です。
  • 血栓と子宮の副作用は少ないタモキシフェンで問題だった血栓塞栓症と子宮体がんは、この薬では大きく減ります。
ここだけ覚える受け皿をふさぐ(タモキシフェン)から、作らせない(アロマターゼ阻害薬)へ。副作用の顔ぶれも入れ替わる。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:タモキシフェンを超えた3万人の集計

決め手になった試験

2002年に最初の結果が出たATAC試験は、閉経後の早期乳がん9,366人を、くじ引きで「タモキシフェン5年」と「アナストロゾール5年」に分けました。10年の追跡で、受容体陽性の人の再発は21%減り、 再発率の差は5年で2.7ポイント、10年で4.3ポイントと、飲み終えたあとも広がりました(Cuzick ら、Lancet Oncol 2010)。骨折は治療中に多く(451件対351件)、子宮体がんと血栓はタモキシフェンに多い結果でした。

レトロゾールの試験(8,010人)でも、5年後に再発なく過ごす人は81.4%から84.0%に増え(BIG 1-98、NEJM 2005)、 2015年には3剤の試験3万1,920人の集計で、5年間のアロマターゼ阻害薬はタモキシフェンより10年後の乳がん死亡を14.2%から12.1%に減らすと確定しました(EBCTCG、Lancet 2015)。 タモキシフェンを5年飲み終えたあとにレトロゾールを足す方法も、再発を減らしました(Goss ら、NEJM 2003、5,187人)。

使い方場面決め手になった試験
最初から5年閉経後、手術のあとATAC 2010、BIG 1-98 2005、EBCTCG 2015(乳がん死亡14.2→12.1%)
タモキシフェン2〜3年→切り替え閉経後、手術のあとIES(エキセメスタン)、EBCTCG 2015(乳がん死亡10.1→8.7%)
タモキシフェン5年のあとに追加閉経後、再発リスクが高い人MA.17 2003(4年無再発87→93%)
卵巣を止める注射と一緒に閉経前、再発リスクが高い人SOFT/TEXT 2018(第19回)
CDK4/6阻害薬などと進行・再発第31回で扱う

表1 アロマターゼ阻害薬の主な使われ方(がん情報サービス「乳がん 治療」と学会ガイドラインによる)。3剤の効き目に大きな差はなく、副作用の出方と値段で選ばれることが多い。

制度のしくみ

3剤とも添付文書の対象は「閉経後乳癌」です。レトロゾールには2022年から不妊治療(排卵誘発など)の効能も加わりました。「女性ホルモンを一時的に下げて、脳から卵巣への指令を強める」という、がんとは逆向きの使い方です。 アナストロゾールは1日1回1錠、レトロゾールは日本でも世界標準の2.5mgで承認されています。

ここだけ覚える3万人の集計で、乳がん死亡を2ポイント減らした。閉経後の術後の第一の選択肢。

SECTION 04 副作用と、家でできること:関節と骨と、ほてり

添付文書では、ほてり、頭痛、倦怠感が5%以上、関節痛・こわばり・骨折・骨粗鬆症・骨痛・ばね指・腱炎が挙げられています(アナストロゾール)。レトロゾールでは関節痛が5%以上、 コレステロールの上昇も。エキセメスタンでは多汗、めまい、吐き気、高血圧、疲労が5%以上で、眠気による運転の注意も記されています。まれに肝機能障害、間質性肺炎(1.0%)があります。

副作用と、家でできること

関節のこわばり・痛みは、朝いちばんの手や指に出て、動かすと軽くなります。朝の温かい手浴、軽いストレッチ、ウォーキングが助けになります。 痛みが強いときは、3剤の間で切り替えると楽になる人がいます。「やめる」前に「替える」を相談してください。

は、治療前と定期的に骨密度を測り、必要なら骨の薬(ビスホスホネートなど)を使います。カルシウムとビタミンD、日光、転倒予防(段差・床の物・夜のトイレの明かり)が家での仕事です。 ほてりはタモキシフェンより軽めですが出ます(がん情報サービス「ほてり・のぼせ・発汗」)。腟の乾燥は保湿剤を婦人科で相談できます。

  • こんなときは転んだあと、腰や手首、太ももの付け根が痛くて動けない
    こうする骨折のことがある。その日のうちに受診する
  • こんなときは関節の痛みで、朝、箸やペットボトルが持てない日が続く
    こうする次の受診で伝える。薬の切り替えや痛み止めで続けられることが多い
  • こんなときは空咳・息切れ・発熱、または白目が黄色い
    こうする間質性肺炎や肝臓の合図のことがある。その日のうちに連絡する
気をつけること

閉経前の人には使えません(卵巣を止める注射と組む場合を除く)。妊娠中・授乳中は使えません。 骨密度と血中コレステロールを定期的に確かめます。エキセメスタンで眠気やめまいがあるときは運転を控えます。

在宅の現場では

訪問先で、この薬を飲んでいる80代の方の「転ばない家づくり」を一緒にします。骨密度の数字より、玄関の段差と夜のトイレまでの明かりのほうが、骨折を防ぎます。 骨の薬(月1回や半年に1回の注射)を別の病院でもらっている方は、お薬手帳で重なりを確かめます。

朝の手のこわばりを「歳のせい」と思っている方が多いです。この薬の副作用だと分かるだけで、温める、動かす、相談する、という対処に変わります。

ここだけ覚えるこの薬の家での仕事は、転ばない家と、朝の手を温めること。

SECTION 05 薬価と自己負担:1日約110〜130円、後発品なら20〜70円

薬価と自己負担の目安

アリミデックス錠1mgは107.5円、フェマーラ錠2.5mgは127.1円、アロマシン錠25mgは111.4円。後発品はアナストロゾールが20.8〜50.8円、レトロゾールが45〜68.9円、エキセメスタンが102.4円です(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 1日1錠なので、先発品で年約4万〜4万6千円、後発品のアナストロゾールなら年約7,600〜1万8,500円。3割負担なら年1万2千〜1万4千円(先発品)です。

5年で先発品約20万円、後発品なら4〜9万円。骨密度の検査(数千円)と、必要なら骨の薬の費用が別にかかります。 高額療養費の上限に届くことはまずありません。

本剤の投与によって、骨粗鬆症、骨折が起こりやすくなるので、骨密度等の骨状態を定期的に観察することが望ましい。 出典:アストラゼネカ「アリミデックス錠 添付文書」2026年3月改訂、重要な基本的注意の項
ここだけ覚える3剤の効き目はほぼ同じ。値段は後発品で5分の1、副作用の出方で切り替えられる。
在宅医の視点

「作らせない」薬は、骨と関節に請求書を回す。

女性ホルモンは、乳がんの栄養であると同時に、骨と関節と血管を守る働きをしています。それをゼロ近くまで下げるのですから、骨と関節に副作用が出るのは、薬が効いている証拠でもあります。 5年間、毎朝1錠を飲み続けた方の骨を、治療が終わったあとも守る。それは、がんの主治医だけでなく、かかりつけ医や在宅医の仕事だと思っています。

3剤のどれかが合わなくても、ほかの2剤や、タモキシフェンへの切り替えがあります。「合わないからやめた」ではなく「合わないから替えた」にできる薬です。

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Q&A よくある質問

Q3つの薬のどれがいちばん効きますか。
A3剤を直接比べた大きな試験では、効き目に意味のある差は出ていません。違うのは副作用の出方と値段です。関節痛が強ければ別の剤に替える、コレステロールが気になるなら別の剤にする、という選び方をします。後発品の有無で年間の薬代が数万円違うので、それも選ぶ材料になります。
Q5年飲み終えました。もう再発しないということですか。
Aホルモン受容体陽性の乳がんは、5年を過ぎてからも再発することがあるタイプです。だから、再発リスクの高い人では7〜10年に延ばす方法が検討されます。一方、延ばすほど骨と関節の負担は増えます。「私のリスクで延ばす利益はどれくらいか」を主治医に聞いて決めてください。飲み終えたあとも、年1回の検診は続けます。
Q牛乳や小魚で骨は守れますか。
AカルシウムとビタミンDは土台として大切ですが、この薬で減る骨を食事だけで防ぐのは難しいです。骨密度を測って、基準を下回れば骨の薬(ビスホスホネートやデノスマブ)を使うのが標準です。骨の薬は、乳がんの再発を減らす効果も報告されています。食事と日光と運動に、検査と薬を足す、と考えてください。

この回のチェックリスト(第18回ぶん)

  • 骨密度を最後に測った日と、次に測る予定を書いた。
  • 玄関・廊下・夜のトイレまでの段差と明かりを見直した。
  • 朝の手のこわばりは、温める・動かす・受診で伝える、と決めた。
  • ほかの病院でもらっている骨の薬やカルシウム剤を、お薬手帳で確かめた。
  • 関節痛で続けられないときは「やめる」前に「替える」を相談する。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. アストラゼネカ「アリミデックス錠1mg 添付文書」2026年3月改訂(販売開始2001年2月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670227_4291010F1031_1_18)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:1985年に3,000以上の化合物から選抜、2000年12月輸入承認)(https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/670227_4291010F1031_1_241_1F.pdf
  2. ノバルティス ファーマ「フェマーラ錠2.5mg 添付文書」2022年9月改訂(販売開始2006年5月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/300242_4291015F1026_1_08);ファイザー「アロマシン錠25mg 添付文書」2022年2月改訂(販売開始2002年8月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/672212_4291012F1022_4_02
  3. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  4. Santen RJ, Brodie H, Simpson ER, Siiteri PK, Brodie A. History of aromatase: saga of an important biological mediator and therapeutic target. Endocr Rev. 2009;30(4):343-375(https://doi.org/10.1210/er.2008-0016
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  7. Goss PE, et al. A randomized trial of letrozole in postmenopausal women after five years of tamoxifen therapy for early-stage breast cancer. N Engl J Med. 2003;349(19):1793-1802(https://doi.org/10.1056/NEJMoa032312
  8. Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group. Aromatase inhibitors versus tamoxifen in early breast cancer: patient-level meta-analysis of the randomised trials. Lancet. 2015;386(10001):1341-1352(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(15)61074-1
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」2025年6月19日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html)、「ほてり・のぼせ・発汗(ホルモン低下による症状)」2026年1月23日更新(https://ganjoho.jp/public/support/condition/hot_flash/index.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。