レナリドミド:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第34回/全50回
レナリドミド

サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬

1957年に西ドイツで売り出された睡眠薬サリドマイドは、妊婦が飲むと手足の短い赤ちゃんが生まれる薬害を起こし、日本でも309人が被害を認定されました。消えたはずのその薬に、がんの血管を止め免疫を整える働きが見つかり、1999年、多発性骨髄腫で効くことが示されます。 改良型のレナリドミドが2010年に日本で承認されるまでの道のり、催奇形性への管理手順、「のり」になって効く仕組みが日本の研究で分かった話、血栓と感染の見張り、後発品で半分以下になった薬代まで書きます。

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この回の結論

  1. 1950年代の睡眠薬サリドマイドは、妊婦が飲むと手足の短い赤ちゃんが生まれる薬害を世界中で起こしました。その薬に、がんの血管を止め、免疫を整える働きがあると分かり、1999年に多発性骨髄腫で効くことが示されます。改良して効き目を強め、催奇形性への管理をつけたのがレナリドミドで、2010年に日本で承認されました。
  2. 多発性骨髄腫は、骨髄の中で抗体を作る細胞ががん化する病気で、日本で年間約8,000人が診断されます。この薬が加わって、治らない病気のまま「10年近く付き合う病気」に変わりました。ステロイドと組んで、家で飲み続けます。
  3. 副作用は血栓(脚の静脈、肺)、白血球の減少、皮疹、感染。妊娠を避ける管理手順(RevMate)が承認の条件です。薬代は1サイクル(28日)約84万円、後発品で約38万円で、高額療養費の上限に届きます。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)レナリドミド(レブラミドカプセル。後発品「レナリドミドカプセル」あり)。元になった薬はサリドマイド(サレドカプセル)
薬の家族免疫調節薬(IMiDs)。サリドマイドの誘導体
主に使うがん多発性骨髄腫(最初の治療から、再発後まで。移植のあとの維持療法にも)、5番染色体の一部が欠けた骨髄異形成症候群、再発した成人T細胞白血病リンパ腫、再発したろ胞性リンパ腫(リツキシマブと)
使い方飲み薬。骨髄腫では1日1回25mg(5mgカプセル5個)を21日飲んで7日休む。デキサメタゾンや他の薬と組む。腎臓の働きで減量
日本での承認2010年6月(再発した骨髄腫)。2010年骨髄異形成症候群、2015年最初の治療から、2017年成人T細胞白血病、2020年ろ胞性リンパ腫。2023年に後発品
薬価の目安レブラミドカプセル5mg 8,005.5円、2.5mg 6,762.4円。後発品は5mg 3,590.6円、2.5mg 2,869.4〜3,137.8円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:薬害の薬が、40年後にがんの薬になった

1957年、西ドイツで売り出された睡眠薬サリドマイドは、「安全な薬」として妊婦のつわりにも使われました。日本でも1958年から「イソミン」の名で売られています。 ところが1961年、この薬を妊娠初期に飲んだ母親から、手足の短い赤ちゃんが生まれることが報告されます(McBride、Lancet 1961)。世界で数千人、日本で認定された被害者は309人。日本の販売停止は西ドイツより遅れて1962年9月、被害者と国・会社の和解は1974年でした(いしずえ)。

薬は消えましたが、研究は残りました。1965年、ハンセン病の皮膚の炎症に効くことが偶然分かり(Sheskin、Clin Pharmacol Ther 1965)、1994年には、フォークマン(第23回)の研究室で、がんの血管を呼ぶ働きを止めることが示されます(D’Amato ら、PNAS 1994)。 1999年、ほかの治療が効かなくなった多発性骨髄腫84人にサリドマイドを飲んでもらうと、3人に1人で効きました(Singhal ら、NEJM 1999)。米国の会社セルジーンは、この薬の骨格を少し変えて効き目を強め、副作用を減らしたレナリドミドを作ります。2005年に米国、2010年に日本で承認されました。

  • 1957年サリドマイドが西ドイツで発売。1958年、日本でも発売。
  • 1961年妊婦が飲むと赤ちゃんに障害が出ると報告。1962年、日本で販売停止・回収。認定被害者309人。
  • 1965年ハンセン病の皮膚の炎症に効くと偶然分かる。1994年、がんの血管を呼ぶ働きを止めると判明。
  • 1999年再発した多発性骨髄腫の3人に1人に効くと報告。
  • 2005〜06年改良型のレナリドミドが米国で承認(骨髄異形成症候群、次いで骨髄腫)。
  • 2008年サリドマイドが日本で骨髄腫に承認(妊娠回避の管理手順つき)。2010年6月、レナリドミドが日本で承認。
  • 2010年東京工業大学の半田宏らが、サリドマイドが結びつく相手(セレブロン)を突き止め、催奇形性の仕組みを解明(Ito ら、Science 2010)。
  • 2015年最初の治療から使えるようになる。2023年、後発品が発売。
多発性骨髄腫とは、骨髄の中で抗体を作る「形質細胞」ががん化し、骨を溶かし、腎臓を傷め、貧血と感染を起こす病気です。日本で年間約8,000人が診断され、多くは60代後半以降です(がん情報サービス)。 サリドマイドの仲間(免疫調節薬)、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブなど)、抗体薬(第35回)の3つの家族を組み合わせるのが、いまの治療の骨格です。
ここだけ覚える薬害で消えた薬が、血管と免疫への働きで40年後に戻ってきた。ただし妊娠回避の管理つきで。

SECTION 02 どうやって効くのか:「のり」になって、いらないたんぱくを分解させる

この薬の効き方は、長いあいだ謎でした。2010年に日本の研究者が「セレブロン」というたんぱく質に結びつくことを見つけ、2014年、その先が分かります。レナリドミドはセレブロンと骨髄腫の細胞に必要なたんぱく質(イカロス、アイオロス)の間に「のり」のように挟まり、細胞のごみ処理の仕組みにそれらを分解させます(Krönke ら、Lu ら、Science 2014)。 骨髄腫の細胞は、この2つのたんぱく質がないと生きられません。

  • 免疫も整える免疫細胞(T細胞、NK細胞)の働きを高め、骨髄腫の細胞を攻撃させます。抗体薬(第21回、第35回)と組むと、この働きが効き目を後押しします。
  • 同じ仕組みが、赤ちゃんの手足を傷つけた胎児の手足を作るたんぱく質も、同じ「のり」で分解されていたと考えられています。効き目と催奇形性は、同じ仕組みの表と裏です。
  • 「のり」の薬という新しい家族目当てのたんぱく質を分解させる「分子のり」という考え方は、この薬の解明から広がり、いま多くの薬が開発中です。
ここだけ覚えるのりになって、がん細胞に必要なたんぱくを捨てさせる。赤ちゃんの手足を奪ったのも同じ仕組み。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:再発でも、最初からでも、移植のあとでも

決め手になった試験

2007年、再発した多発性骨髄腫704人を、2つの試験でくじ引きで「デキサメタゾン(ステロイド)だけ」と「レナリドミドを足す」に分けました。進行までの期間は4.7か月から11.1〜11.3か月に延びました(Weber ら、Dimopoulos ら、NEJM 2007)。 2014年、移植をしない初発の骨髄腫1,623人では、それまでの標準(メルファラン+プレドニゾン+サリドマイド)に比べ、レナリドミド+デキサメタゾンを続ける治療で進行までの期間が21.2か月から25.5か月に延び、4年生存率は51%から59%に上がりました(Benboubker ら、NEJM 2014)。

自家移植のあとにこの薬を飲み続ける維持療法では、進行までの期間が27か月から46か月に延び(McCarthy ら、NEJM 2012)、3つの試験をまとめた解析で7年生存率が50%から62%に上がりました(McCarthy ら、J Clin Oncol 2017)。 「がんが見えなくなっても飲み続ける」使い方(第32回と同じ考え方)が、骨髄腫の標準になりました。

場面組む薬決め手になった試験
初発、移植をしない人(高齢者に多い)デキサメタゾン、ダラツムマブ(第35回)Benboubker 2014、MAIA試験(第35回)
初発、移植をする人ボルテゾミブ+デキサメタゾン(+ダラツムマブ)で導入、移植後に維持療法McCarthy 2012・2017(7年生存50→62%)
再発したあとデキサメタゾンと、抗体薬や他の薬Weber 2007、Dimopoulos 2007(進行まで4.7→11か月)
5番染色体欠失の骨髄異形成症候群単独(1日10mg)輸血が不要になる人が増える
再発したろ胞性リンパ腫リツキシマブ(第21回)と2020年承認

表1 レナリドミドの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。骨髄腫の治療は、3つの家族の薬を2〜4種類組み合わせ、効かなくなったら組み替える。

制度のしくみ

添付文書の対象は、多発性骨髄腫、5番染色体長腕部欠失をともなう骨髄異形成症候群、再発または難治性の成人T細胞白血病リンパ腫、再発または難治性のろ胞性リンパ腫・辺縁帯リンパ腫です。 催奇形性のため、承認の条件として「RevMate(レナリドミド・ポマリドミド適正管理手順)」が定められ、処方のたびに医師・薬剤師・患者の三者が手順を確かめます。妊娠の可能性のある女性は妊娠検査を、男性はコンドームを、全員が献血の禁止と残った薬の返却を守ります。

ここだけ覚える再発で進行まで2倍、初発でも移植後でも生存が延びた。飲み続ける維持療法が骨髄腫の標準に。

SECTION 04 副作用と、家でできること:血栓、白血球、皮疹、そして妊娠回避

添付文書の集計では、好中球減少40.1%、貧血20.4%、血小板減少19.2%、感染症22.0%、便秘21.2%、疲労21.1%、発疹14.0%、腫瘍フレア10.9%、深部静脈血栓症6.2%、肺塞栓症3.0%、脳梗塞・一過性脳虚血発作1.5%、末梢神経のしびれ7.5%。 重大なものとして、重い皮膚症状、B型肝炎の再活性化、進行性多巣性白質脳症、心筋梗塞・心不全、腎障害、甲状腺機能低下、そして催奇形性が記されています。

副作用と、家でできること

血栓はこの家族の薬の最も重い副作用で、多くの病院で低用量アスピリンなどを予防に使います。片脚の腫れと痛み、急な息苦しさ・胸の痛みが合図です。長時間同じ姿勢を避け、水分をとります。 白血球の減少は採血で見て、飲む日数や量を調整します。37.5度以上の熱は連絡します(がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」)。

皮疹は飲み始めの数週間に出やすく、かゆみ止めや塗り薬で続けられることが多いですが、広がる・粘膜に出る・熱をともなうときは重い皮膚症状の合図です。 妊娠回避は、飲み始める4週間前から飲み終えて4週間後まで。腎臓の働きが弱い人は量を減らします。高脂肪の食事の前後を避けて飲みます。

  • こんなときは片脚が腫れて痛い、急な息苦しさ、胸の痛み、片方の手足の力が抜ける
    こうする血栓(脚・肺・脳)の合図。すぐ病院へ。夜なら救急に電話する
  • こんなときは37.5度以上の熱、寒気、咳と痰
    こうする感染の合図。白血球が減っている時期なら、夜間・休日でも電話する
  • こんなときは皮疹が全身に広がる、口や目の粘膜がただれる、発熱をともなう
    こうする重い皮膚症状の合図。薬を飲まずに、その日のうちに受診する
気をつけること

妊婦・妊娠の可能性のある女性は使えません。飲んでいる間と飲み終えて4週間は、男性も女性も避妊し、献血をしません。薬を家族と共有しない、余った薬は薬局に返す、が管理手順の決まりです。 治療前にB型肝炎ウイルスの検査を受けます。生ワクチンは避けます。

在宅の現場では

骨髄腫の患者さんは高齢の方が多く、この薬とステロイドを家で飲みながら、月1〜2回の通院で治療を続けています。在宅で見ているのは、骨の痛み、腎臓、そして感染です。 RevMateの用紙(飲み忘れ・残薬・避妊の確認)は、訪問時に薬剤師と一緒に確かめます。

「片脚だけむくむ」を見逃さないことが、この薬での一番の仕事です。両脚のむくみは心臓や腎臓、片脚だけなら血栓。ふくらはぎの太さを両方測って比べる習慣を、ご家族に持ってもらいます。

ここだけ覚える片脚のむくみと胸の痛みは血栓。熱は感染。皮疹の広がりは受診。妊娠回避は手順どおり。

SECTION 05 薬価と自己負担:1サイクル約84万円、後発品で約38万円

薬価と自己負担の目安

レブラミドカプセル5mgは8,005.5円。骨髄腫の量(1日25mg=5個)で1日40,028円、21日飲むと1サイクル(28日)約84万円です。後発品(5mg 3,590.6円)なら約38万円。骨髄異形成症候群の量(1日10mg)なら1サイクル約34万円(後発品約15万円)です(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 デキサメタゾンは1か月数百円ですが、抗体薬(第35回)を組むと薬代は月100万円を超えます。

3割負担なら月25万円で、高額療養費の上限に届きます。70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%=約9万1千円、4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円が上限です(第1回の表1)。 年単位で続ける薬なので、後発品への切り替えと多数回該当を最初に確かめます。

深部静脈血栓症及び肺塞栓症の発現が報告されているので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 出典:ブリストル・マイヤーズ スクイブ「レブラミドカプセル 添付文書」2026年6月改訂、警告の項
ここだけ覚える先発なら月84万円、後発なら38万円。自己負担は上限まで。後発品で成績は変わらない。
在宅医の視点

薬害の記憶を持ったまま、薬を使う。

サリドマイドの薬害は、日本の薬事制度を変えた出来事です。その薬が形を変えて骨髄腫の標準治療になったとき、承認の条件は「二度と胎児にさらさない」でした。 RevMateの用紙が面倒だと感じる患者さんに、私は309人という数字の話をします。面倒さは、この薬の歴史そのものです。

骨髄腫は、私が医師になったころは診断から数年の病気でした。いま、在宅で診ている骨髄腫の方の多くは、診断から5年、10年と暮らしています。効き目の仕組みが分かったのが承認の後だった、というのも、この薬らしい話です。

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Q&A よくある質問

Q80歳を過ぎた母がこの薬を飲んでいます。妊娠の管理手順は必要ですか。
A妊娠の可能性のない女性でも、管理手順そのものは全員に適用されます。妊娠検査は不要ですが、薬を他人に渡さない、献血をしない、余った薬を返す、飲み忘れと残薬を報告する、という約束は同じです。目的は、この薬が家庭から思わぬ形で妊婦に渡らないようにすることです。ご家族が薬を扱うときも、素手で長く触らないよう案内されます。
Q血栓を防ぐアスピリンを一緒に飲んでいます。いつまで続けますか。
Aこの薬を飲んでいる間は続けるのが基本です。血栓のリスクは、ステロイドと組む時期、動きが少ない時期、脱水のときに高まります。血栓の既往がある人や、リスクの高い人には、アスピリンではなく抗凝固薬が選ばれることもあります。歯科治療や手術の前には、アスピリンを飲んでいることも伝えてください。
Q後発品に替えると、管理手順も変わりますか。
A変わりません。後発品も同じ管理手順(RevMate)のもとで処方され、催奇形性への注意は同じです。有効成分と量は先発品と同じで、吸収が同等であることを確かめて承認されています。薬代は5mg1個で約4,400円安くなり、1サイクルでは40万円以上の差になります。年単位で飲む薬なので、主治医と薬剤師に相談する価値があります。

この回のチェックリスト(第34回ぶん)

  • ふくらはぎの太さを両脚で比べ、片脚だけの腫れ・痛みはすぐ受診する。
  • 血栓予防の薬(アスピリンなど)を飲んでいることを、歯科や他の病院にも伝える。
  • RevMateの用紙(飲み忘れ・残薬・避妊)を処方のたびに確かめる。献血はしない。
  • 37.5度以上の熱は、夜間・休日でも連絡する。
  • 後発品への切り替えと、高額療養費の多数回該当を確かめた。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. ブリストル・マイヤーズ スクイブ「レブラミドカプセル2.5mg・5mg 添付文書」2026年6月改訂(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670605_4291024M1024_2_06)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:2010年6月25日承認、2010年8月骨髄異形成症候群、2015年12月未治療を含む多発性骨髄腫、2017年3月成人T細胞白血病リンパ腫、2020年2月濾胞性リンパ腫、RevMate);藤本製薬「サレドカプセル 医薬品インタビューフォーム」(2008年10月16日承認)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html)
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本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。