リツキシマブ:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第21回/全50回
リツキシマブ

世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか

「抗体」は、体が異物に対して作る鍵です。狙った相手にだけ合う鍵を細胞に作らせる技術がノーベル賞をとってから20年、それはようやくがんの薬になりました。世界初のがん抗体医薬リツキシマブは、B細胞リンパ腫の「目印」だけをつかみ、自分の免疫に壊させます。 CHOP療法に「R」がついて10年後に生きている人が28%から44%に増えた試験、初回の点滴で9割の人に出る反応、治療後も半年つづく感染しやすさ、B型肝炎の再活性化、そして先発品とバイオシミラーの値段の差まで書きます。

この連載の現在地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 第21回 リツキシマブ

この回の結論

  1. リツキシマブは、1997年に米国で承認された世界初のがんの抗体医薬です。B細胞リンパ腫の細胞の表面にある目印(CD20)だけをつかむ「作られた抗体」で、日本では2001年に承認されました。
  2. それまでの標準だったCHOP療法(第2回)に「R」として足すと、高齢の悪性リンパ腫で完全に消える人が63%から76%に増え、10年後に生きている人が28%から44%に増えました。以来、B細胞リンパ腫の治療は「R-CHOP」が土台です。
  3. 副作用の中心は点滴中の反応(発熱・悪寒・発疹)で、初回に9割の人に出ます。B型肝炎の再活性化と、治療後も続く感染しやすさにも注意が要ります。1回の薬代は先発品で約9万円、バイオシミラーなら約5万円です。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)リツキシマブ(リツキサン点滴静注。バイオシミラー「リツキシマブBS」あり)
薬の家族分子標的薬(抗CD20モノクローナル抗体)
主に使うがんCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞型のR-CHOP、ろ胞性リンパ腫の治療と維持療法)、慢性リンパ性白血病。がん以外に血管炎、ネフローゼ症候群、臓器移植の拒絶反応など
使い方点滴。体表面積1平方メートルあたり375mgを、化学療法と組む場合はサイクルごとに1回。初回はゆっくり、数時間かけて。維持療法では8週ごと
日本での承認2001年6月(低悪性度・ろ胞性リンパ腫)。2003年にB細胞性非ホジキンリンパ腫全体へ
薬価の目安リツキサン500mg 78,002円、100mg 15,341円。バイオシミラーは500mgで40,357〜44,485円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:「作られた抗体」が初めてがんの薬になった

抗体は、体が異物に対して作る「鍵に合う鍵穴」です。1975年、英国のケーラーとミルスタインが、狙った相手にだけ合う抗体を細胞に無限に作らせる方法を発表しました(Köhler と Milstein、Nature 1975)。 この「モノクローナル抗体」の技術は1984年のノーベル賞になりましたが、がんの薬になるまでには、さらに20年かかりました。

マウスに作らせた抗体は、人の体では異物として排除されてしまいます。1991年、米国サンディエゴの小さな会社IDECは、マウスの抗体の「つかむ部分」だけを残し、残りを人の抗体に置き換えた「キメラ抗体」を作りました。 狙いは、B細胞リンパ腫の細胞の表面にある目印、CD20。正常なB細胞にもありますが、造血幹細胞にはないので、抗体で叩いても血液は作り直せます。

  • 1975年ケーラーとミルスタインがモノクローナル抗体の作り方を発表(1984年ノーベル賞)。
  • 1991年IDEC社が、マウスと人のキメラ型の抗CD20抗体(リツキシマブ)を作る。
  • 1993年米国で人での試験が始まる。1995年、ジェネンテック社と共同開発。
  • 1997年再発したろ胞性リンパ腫166人で、4回の点滴だけで半数に効くと報告。11月、米国で承認。がんの抗体医薬として世界初。
  • 2001年日本で承認(全薬工業)。2003年にB細胞性非ホジキンリンパ腫全体に広がる。
  • 2002年高齢者のびまん性大細胞型リンパ腫で、CHOPに足すと生存が延びることが証明される(R-CHOP)。
  • 2019年〜日本でバイオシミラーが発売され、値段が下がる。
キメラ抗体とは、マウスの抗体の「相手をつかむ先端」と、人の抗体の「胴体」をつないだ抗体です。名前の語尾「〜キシマブ」がキメラ型の印で、人の部分をさらに増やした「ヒト化抗体」は「〜ズマブ」(第22回のトラスツズマブ)、全部人の型は「〜ムマブ」(第24回のパニツムマブ)です。
ここだけ覚えるノーベル賞の技術から20年。マウスの先端と人の胴体をつないで、がんの薬になった。

SECTION 02 どうやって効くのか:目印をつかんで、免疫に「ここだ」と教える

リツキシマブは、B細胞の目印CD20に結びつきます。それだけで細胞が死ぬわけではありません。結びついた抗体の胴体が、体の免疫細胞や補体(免疫のたんぱく質)を呼び寄せ、「この細胞を壊せ」と教えます。 殺細胞薬(第2〜16回)が分裂中の細胞を手当たり次第に叩くのと違い、目印のある細胞だけが狙われます。

  • 正常なB細胞も減るCD20は正常なB細胞にもあるので、治療中と治療後半年ほどは抗体が作られにくく、感染しやすくなります。ワクチンの効きも落ちます。
  • 初回の点滴で反応が出る大量のリンパ腫細胞が一度に壊れ、免疫が一斉に働くため、初回の点滴中に発熱・悪寒・発疹・血圧低下が出ます。添付文書は約90%の人に出ると記しています。
  • B型肝炎ウイルスが目を覚ますB細胞が減ると、過去にかかって眠っていたB型肝炎ウイルスが再び増え、劇症肝炎で亡くなった例があります。治療前に必ず検査し、必要なら抗ウイルス薬を先に飲みます。
ここだけ覚える抗体は「印をつける」薬。壊すのは自分の免疫。だから初回に反応が出て、B細胞が減る。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:CHOPに「R」がついて何が変わったか

決め手になった試験

2002年、フランスの研究グループは、60〜80歳のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫399人を、くじ引きで「CHOP」と「CHOPにリツキシマブを足す(R-CHOP)」に分けました。 腫瘍が完全に消えた人は63%から76%に増え、治療失敗のリスクは42%、死亡のリスクは36%減りました。副作用の増え方は小さいものでした(Coiffier ら、NEJM 2002)。 10年後の追跡では、生きている人は27.6%と43.5%。この差は10年たっても縮みませんでした(Coiffier ら、Blood 2010)。

1997年の最初の試験は、再発したろ胞性リンパ腫166人に4回点滴するだけのもので、48%に効き、副作用は軽いものでした(McLaughlin ら、J Clin Oncol 1998)。 「殺細胞薬と同じくらい効いて、骨髄を叩かない」。この結果が、抗体医薬という新しい家族の扉を開きました。

使い方主な病気決め手になった試験
R-CHOP(6〜8回)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫Coiffier 2002・2010(10年生存27.6→43.5%)
化学療法と組み、そのあと維持療法(8週ごと2年)ろ胞性リンパ腫各比較試験。2015年に維持療法が承認
単独、4回再発した低悪性度リンパ腫McLaughlin 1998(48%に奏効)
化学療法と組む慢性リンパ性白血病2019年承認
がん以外血管炎、ネフローゼ症候群、臓器移植の拒絶反応、視神経脊髄炎など「B細胞を減らす」働きの応用

表1 リツキシマブの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。80歳を超える人の量を減らしたR-mini-CHOPは第2回で触れた。

制度のしくみ

添付文書の対象は、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫と慢性リンパ性白血病のほか、血管炎、ループス腎炎、ネフローゼ症候群、免疫性血小板減少症、臓器移植の拒絶反応など、がん以外の病気が多く並びます。 「B細胞を減らす」という働きが、自己免疫の病気にも使えるからです。CD20が陽性かどうかは、リンパ節などの組織を染めて確かめます。

ここだけ覚えるRを足して、10年生存が28%から44%に。副作用はほとんど増えなかった。

SECTION 04 副作用と、家でできること:初回の反応、感染、B型肝炎

添付文書の集計では、点滴中の反応(発熱28%、疼痛23%、悪寒12%、発疹13%、血圧上昇11%)、感染症38%、白血球減少35%、好中球減少34%。 重大なものとして、初回24時間以内の重い反応で亡くなった例、腫瘍崩壊症候群(大量の細胞が壊れて腎臓を傷める)、B型肝炎の再活性化、皮膚粘膜症状、進行性多巣性白質脳症が記されています。

副作用と、家でできること

点滴中の反応は病院で前もって薬(抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬、ステロイド)を使い、ゆっくり落として見張ります。2回目以降は軽くなり、90分投与に短くできる人もいます。 家に帰ってからの発熱や息苦しさは、遅れて出る反応のことがあり、連絡します。

感染は治療中だけでなく、終わってから半年〜1年続きます。手洗い、人混みでのマスク、発熱時の早い受診。 好中球の減少は最終投与から4週間以上たってから出ることがあります。B型肝炎は治療前の検査と、必要なら抗ウイルス薬の内服を、治療後1年以上続けます。

  • こんなときは点滴の日の夜〜翌日に、発熱、寒気、息苦しさ、発疹が出た
    こうする遅れて出た点滴の反応のことがある。その日のうちに病院へ連絡する
  • こんなときは治療中でも治療後でも、37.5度以上の熱、咳、排尿時の痛み
    こうする感染の合図。待たずに受診する。治療後半年は「まだ免疫が戻っていない」と考える
  • こんなときはだるさ、食欲低下、白目が黄色い、尿が濃い(治療後1年以内も)
    こうするB型肝炎の再活性化や肝障害の合図。すぐ受診する
気をつけること

治療前にB型肝炎ウイルスの検査(HBs抗原・HBc抗体・HBs抗体)を受け、陽性なら対策をしてから始めます。生ワクチン(麻疹・風疹・水痘など)は治療中と治療後しばらく受けられません。 インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは受けられますが、効きが落ちることがあります。

在宅の現場では

R-CHOPを終えて家に戻った方の家で、私たちが見るのは「治療が終わってからの半年」です。ご本人も家族も「もう終わった」と気がゆるみますが、B細胞は戻っていません。 発熱の連絡先を、治療中と同じ場所に貼っておいてもらいます。

維持療法(8週ごと)でこの薬だけを通院で受けている方は、比較的元気に過ごせます。点滴の日の夕方に熱が出やすいので、その日は予定を空けてもらいます。

ここだけ覚える初回の反応は病院で、感染とB型肝炎は家で。終わってからの半年が本番。

SECTION 05 薬価と自己負担:1回約9万円、バイオシミラーで約5万円

薬価と自己負担の目安

リツキサン点滴静注は500mgが78,002円、100mgが15,341円。バイオシミラーは500mgで40,357〜44,485円、100mgで8,389〜9,274円です(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 標準量(体表面積1平方メートルあたり375mg)なら1回およそ600mgで、先発品なら約9万3千円、バイオシミラーなら約4万9千円。R-CHOPを6回なら、この薬だけで56万円か29万円です。

3割負担なら1回約2万8千円か約1万5千円ですが、CHOPの薬代(第2回)と入院・検査を合わせると、月の医療費は高額療養費の上限に届きます。 70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+1%、4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円が上限です(第1回の表1)。

本剤の投与中又は投与開始後24時間以内に多くあらわれるinfusion reaction(症状:発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、そう痒、発疹、咳、虚脱感、血管性浮腫等)が、投与患者の約90%に報告されており、これらの症状は、通常軽微〜中等度で、主に本剤の初回投与時にあらわれている。 出典:全薬工業「リツキサン点滴静注 添付文書」、重大な副作用の項
ここだけ覚えるバイオシミラーで4割安い。効き目は同じ設計で、多くの病院が切り替えている。
在宅医の視点

「目印のある細胞だけ」を叩く、最初の薬。

この連載の第2〜16回は、分裂の速い細胞をまとめて叩く薬でした。リツキシマブは、初めて「目印」で相手を選んだ薬です。 正常な細胞も巻き添えになりますが、それは骨髄ではなくB細胞に限られます。副作用の顔ぶれが、殺細胞薬とはまったく違うのはそのためです。

在宅で気をつけているのは、この薬の副作用が「終わってから」に残ることです。抜け毛も吐き気もない代わりに、感染しやすさが半年続く。 目に見えない副作用ほど、家族に言葉で渡しておく必要があります。

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Q&A よくある質問

Q「バイオシミラー」に替えると言われました。効き目は落ちませんか。
Aバイオシミラーは、先発品と同じ設計図から作られ、効き目と安全性が先発品と同等であることを試験で確かめて承認された薬です。抗体は生き物の細胞で作るため「まったく同一」とは言えず、後発品ではなく「シミラー(同等)」と呼びます。日本では2019年以降、多くの病院がリツキシマブのバイオシミラーに切り替えており、成績に差は出ていません。値段は4割ほど安くなります。
Q初回の点滴で熱が出て怖い思いをしました。次も同じですか。
A初回の反応は、一度に大量のリンパ腫細胞が壊れることで起きます。2回目以降は壊れる細胞が減るので、多くの人で軽くなり、点滴の時間も短くできます。前もって使う薬の量や点滴の速さを調整するので、初回の症状を病院に正確に伝えてください。
Q治療が終わって半年ですが、ワクチンは受けられますか。
Aインフルエンザや肺炎球菌など、生きたウイルスを使わないワクチンは受けられます。ただしB細胞が戻るまでは効きが落ちるので、主治医と時期を相談してください。麻疹・風疹・水痘・帯状疱疹(生ワクチンの場合)など生きたウイルスのワクチンは、治療後しばらく受けられません。帯状疱疹には生きたウイルスを使わないワクチンもあり、そちらは相談できます。

この回のチェックリスト(第21回ぶん)

  • 治療前のB型肝炎の検査結果と、抗ウイルス薬の予定をお薬手帳に書いた。
  • 点滴の日の夕方〜翌日の発熱・息苦しさは、その日のうちに連絡する。
  • 治療後半年〜1年は「免疫が戻っていない」と家族で共有し、発熱の連絡先を貼ったままにした。
  • 生ワクチンは受けない。ほかのワクチンは時期を主治医に聞く。
  • バイオシミラーへの切り替えを勧められたら、値段の違いも含めて聞く。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. 全薬工業「リツキサン点滴静注100mg・500mg 添付文書」(販売開始2001年9月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/380101_4291407A1035_1_19)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:1991年IDEC社が創薬、1997年11月米国承認、2001年6月日本承認、2003年9月B細胞性非ホジキンリンパ腫へ拡大)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  3. Köhler G, Milstein C. Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity. Nature. 1975;256(5517):495-497(https://doi.org/10.1038/256495a0
  4. Maloney DG, et al. IDEC-C2B8 (rituximab) anti-CD20 monoclonal antibody therapy in patients with relapsed low-grade non-Hodgkin’s lymphoma. Blood. 1997;90(6):2188-2195(https://doi.org/10.1182/blood.V90.6.2188
  5. McLaughlin P, et al. Rituximab chimeric anti-CD20 monoclonal antibody therapy for relapsed indolent lymphoma: half of patients respond to a four-dose treatment program. J Clin Oncol. 1998;16(8):2825-2833(https://doi.org/10.1200/JCO.1998.16.8.2825
  6. Coiffier B, et al. CHOP chemotherapy plus rituximab compared with CHOP alone in elderly patients with diffuse large-B-cell lymphoma. N Engl J Med. 2002;346(4):235-242(https://doi.org/10.1056/NEJMoa011795
  7. Coiffier B, et al. Long-term outcome of patients in the LNH-98.5 trial, the first randomized study comparing rituximab-CHOP to standard CHOP chemotherapy in DLBCL patients. Blood. 2010;116(12):2040-2045(https://doi.org/10.1182/blood-2010-03-276246
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「悪性リンパ腫」2023年11月28日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html)、「感染しやすい・白血球減少」(https://ganjoho.jp/public/support/condition/FN/index.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。