シクロホスファミド:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第2回/全50回
シクロホスファミド(エンドキサン)

毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤

「エンドキサン」という名前を、治療の説明書やお薬手帳で見た方は多いはずです。 リンパ腫のR-CHOP、乳がんのAC、白血病、骨髄腫、骨髄移植の前の準備。60年以上、世界中の治療の土台にあるこの薬は、 第二次世界大戦のさなか、毒ガスの研究室から生まれました。

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この回の結論

  1. 1940年代、毒ガス(マスタードガス)の研究から最初の抗がん剤が生まれました。それを1958年にドイツで改良した薬がシクロホスファミドです。日本では1962年から使われています。
  2. 乳がんの手術のあとに使うと再発が減り(30年の追跡で再発のリスク29%減、死亡21%減)、リンパ腫では「治す」ことをめざす組み合わせの土台になりました。
  3. 副作用は白血球の減少、吐き気、脱毛、膀胱炎。薬価は1錠18.2円、注射1瓶516円。R-CHOPという組み合わせの薬代の9割以上は、別の薬の分です。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)シクロホスファミド水和物(エンドキサン錠50mg、注射用エンドキサン100mg・500mg)。塩野義製薬。後発品はない
薬の家族殺細胞薬(アルキル化薬)
主に使うがん悪性リンパ腫(R-CHOPの「C」)、乳がん(ACやCMFの「C」)、白血病、多発性骨髄腫、小児がん。ほかに骨髄移植の前の準備、膠原病、ネフローゼ症候群にも
使い方点滴は3週間ごとに1回が多く、外来で受けられる。飲み薬は1日2〜4錠(がんの場合)
日本での承認1962年(注射薬と錠剤を発売)
薬価の目安錠50mg 18.2円、注射100mg 516円、500mg 1,500円。R-CHOP1回分のシクロホスファミドは約4,000円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:毒ガスの研究室から

第一次世界大戦の毒ガス「マスタードガス」は、皮膚をただれさせるだけでなく、被害者の白血球を減らすことが知られていました。 第二次世界大戦中、米国イェール大学の薬理学者グッドマンとギルマンは、その仲間「ナイトロジェンマスタード」を研究し、 白血球を減らす毒なら、白血球のがんであるリンパ腫を減らせるのではないかと考えました。

  • 1942年8月27日、イェール大学で、放射線が効かなくなったリンパ腫の患者(記録には「JD」とだけ残る)に、体重1kgあたり0.1mgが注射された。10日間続け、5回目で症状が改善。世界最初の抗がん剤の投与。
  • 1943年12月、イタリアのバーリ港が空襲され、マスタードガスを積んだ米国の船が爆発。被害者の白血球減少に軍医が気づき、毒ガスとがんの研究が結びついた。
  • 1946年戦時中は秘密だった治療の結果が、医学雑誌に公表された。
  • 1958年西ドイツのアスタ社のアーノルドらが、より効き目が強く毒性の少ない化合物を探す中で、シクロホスファミドを合成した。
  • 1959年日本で臨床試験が始まる。
  • 1962年日本で注射薬と錠剤が発売。以来60年以上、各種のがんに使われている。
アルキル化薬とは、細胞の設計図(DNA)に小さな分子をくっつけて傷をつける薬の家族です。ナイトロジェンマスタードも、シクロホスファミドも、この家族です。 やっていることは「設計図に落書きをして、コピーできなくする」です。
ここだけ覚える最初の抗がん剤は、毒ガスの「白血球を減らす」性質を、白血球のがんに向けたものだった。

SECTION 02 どうやって効くのか:肝臓で目覚める薬

開発のねらいは、がん細胞だけが持つ酵素で活性化される薬を作り、正常な細胞を傷めないことでした。 このねらいは外れました。薬を目覚めさせるのは、がん細胞ではなく肝臓だったのです。 それでも薬は残りました。DNAに橋をかけて細胞をコピーできなくし、分裂しようとした細胞ほど死ぬ。図1に流れをまとめました。

図1 シクロホスファミドが効くまでの4段階 1 体に入る(飲み薬か点滴) このままでは働かない「前駆薬」。がん細胞の酵素で目覚める設計だったが、そこは外れた (Emadi ら、Nat Rev Clin Oncol 2009) 2 肝臓で目覚める 肝臓の酵素で活性型に変わる。だから、飲んでも点滴でも同じように効く (注射用エンドキサン添付文書、薬物動態の項) 3 DNAに橋をかける 設計図(DNA)の2本の鎖をつないで、コピーできなくする。分裂しようとした細胞が死ぬ (患者向医薬品ガイド「細胞のDNA合成を阻害する作用」) 4 分裂の速い細胞ほど傷む がん、骨髄、毛根、口や腸の粘膜、膀胱の粘膜。効き目と副作用は、同じ仕組みから出る (注射用エンドキサン添付文書、副作用の項) 前駆薬=体の中で変化してから働く薬。血液のもとになる幹細胞はこの薬を壊す酵素を多く持ち、比較的守られる(Emadi ら 2009)。

図1 第4段の「分裂の速い細胞」の顔ぶれが、そのまま副作用の一覧になる。

この薬らしい話を一つ。血液のもとになる幹細胞は、この薬を壊す酵素を多く持っていて、比較的守られます。 だから、骨髄移植の前に大量に使って病気の細胞を一掃する、という使い方ができるのです。

ここだけ覚えるがんを狙う設計は外れた。でも「分裂の速い細胞を止める」薬として、60年残った。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:再発を減らした最初の薬

それまで抗がん剤は「目に見えるがん」に使うものでした。手術で取りきったあとの、見えない残りに薬を使う。 その発想を最初に数字で証明したのが、この薬です。

決め手になった試験

1973年から、ミラノのボナドンナらは、リンパ節に転移のあった乳がんの女性を手術のあとにくじ引きで2つに分けました。 何もしない組179人と、シクロホスファミドを含む3剤(CMF)を1年間使う組207人。27か月後の再発は24%に対して5.3%でした(Bonadonna ら、NEJM 1976)。

約30年追いかけた報告では、再発のリスクが29%、死亡のリスクが21%減っていました(Bonadonna ら、BMJ 2005)。 「手術のあとに薬で再発を防ぐ」(術後補助化学療法)は、この薬で始まり、いまでは乳がん・大腸がん・肺がんなど多くのがんの標準です。

もう一つの主戦場が悪性リンパ腫です。シクロホスファミド(C)にドキソルビシン(H)、ビンクリスチン(O)、プレドニゾロン(P)を合わせたCHOPに、 2002年、抗体薬リツキシマブ(R)を足したR-CHOPが、60〜80歳の399人の比較試験で、がんが消える割合を63%から76%に上げ、死亡のリスクを36%減らしました(Coiffier ら、NEJM 2002)。第21回で詳しく。

組み合わせ主ながんねらい決め手になった試験
CMF、AC など乳がん(手術のあと)見えない残りをたたき、再発を減らすBonadonna 1976・2005
R-CHOPびまん性大細胞型B細胞リンパ腫治すことをめざすCoiffier 2002
R-mini-CHOP80歳を超えた人のリンパ腫量を減らして、同じねらいPeyrade 2011
大量投与骨髄移植の前病気の細胞を一掃し、移植の準備をする添付文書(造血幹細胞移植の前治療)

表1 シクロホスファミドの主な使われ方。ほかに白血病、多発性骨髄腫、小児がん、膠原病、ネフローゼ症候群にも使われる(添付文書)。

制度のしくみ

添付文書の対象は、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、乳がん、急性白血病、肺がん、小児の腫瘍など幅広く、ほかの薬と組み合わせる条件で胃がん・膵がん・大腸がん・卵巣がんなども含まれます。 リンパ腫と乳がんの量やスケジュールは「学会のガイドラインを参考にする」と定められ、病院はそれに沿って決めています。 80歳を超えた人のR-mini-CHOPは、149人の試験で2年生存率59%でした(Peyrade ら、Lancet Oncol 2011)。

ここだけ覚える「手術のあとに薬で再発を防ぐ」は、この薬が最初に証明した。

SECTION 04 副作用と、家でできること

図1の第4段、「分裂の速い細胞」の顔ぶれが、そのまま副作用の一覧です。骨髄(白血球)、毛根(髪)、口や腸の粘膜(吐き気・口内炎)、膀胱の粘膜(膀胱炎)。 出る時期がだいたい決まっているので、家では「いま何日目か」を数えることが役に立ちます。

副作用と、家でできること

白血球の減少は点滴の1〜2週間後に底になり、この時期の発熱は菌と戦う力が落ちているサインです。毎日検温し、手洗い・うがい・口の中の清潔を続けます。 吐き気・嘔吐は約20%、脱毛は約24%と添付文書にあります(この薬だけを使った古い集計)。吐き気止めは指示どおりに飲みきり、髪は1〜3週間後から抜け、治療が終われば2〜3か月で産毛が戻ります。

この薬に特有なのが出血性膀胱炎です。薬の分解物が膀胱の内側を刺激します。予防は、水分をとって、がまんせずに排尿すること。 大量投与では膀胱を守る薬(メスナ)と点滴を合わせます。長い目では、総量が増えると不妊二次がんのリスクが上がります。若い方は、治療の前に卵子や精子を残す相談ができます。

  • こんなときは点滴の1〜2週間後に37.5度以上の熱が出た。寒気がする
    こうする夜間や休日でも、その日のうちに病院へ電話する。白血球が減っている時期の熱は待たない
  • こんなときは尿が赤い、排尿のときに痛い、トイレが近い
    こうする出血性膀胱炎のサイン。その日のうちに病院へ連絡し、水分をとる
  • こんなときは吐き気で、半日以上水分がとれていない
    こうする翌日を待たずに病院へ連絡する。吐き気止めの追加や点滴で楽になる
気をつけること

妊娠中の方には使いません。治療中と治療後しばらくは、女性も、パートナーが妊娠する可能性のある男性も避妊が必要で、授乳は避けます。 ペントスタチンという薬とは一緒に使えません。水ぼうそうにかかっている人は重症になることがあります。飲み薬は家族が素手で触らず、砕かず、余っても人に渡さないでください。

在宅の現場では

訪問看護でいちばん多いのは、点滴の3〜4日後の家です。だるさと吐き気が残り、食事が細くなります。 「1〜2週間後に熱が出たら夜でも電話」と紙に書いて電話のそばに貼り、体温計を枕元に置いてもらいます。 80代でR-mini-CHOPを受けている方も珍しくありません。量を減らしても骨髄への影響は残るので、採血の結果と発熱の連絡先を毎回確かめます。 「水を飲んで、トイレをがまんしない」は、この薬に限っては膀胱を守る立派な治療です。

ここだけ覚えるこの薬の副作用は「何日目か」で読める。熱は待たない、尿が赤くないかを見る。

SECTION 05 薬価と自己負担:R-CHOPの薬代のうち、この薬は4千円

薬価と自己負担の目安

薬価は、エンドキサン錠50mgが1錠18.2円、注射用エンドキサン100mgが516円、500mgが1,500円(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 R-CHOPで使う量(体表面積1平方メートルあたり750mg)なら、1回およそ1,200mgで約4,000円です。

同じ日に点滴するリツキシマブは、先発品で1回約9万3千円、後続品(バイオシミラー)でも約5万4千円。 R-CHOP1回分の薬代は約11万円で、シクロホスファミドはその4%です。3割負担なら1回約3万4千円と診察料。 70歳以上で年収約370万円未満なら、高額療養費で外来の自己負担は月22,000円までです(第1回の表1)。

この薬の総使用量が増えると、二次性のがんがあらわれやすくなることが報告されています。この薬の使用が終了した後も継続して経過観察されます。 出典:塩野義製薬「患者向医薬品ガイド エンドキサン錠50mg」2024年2月更新
ここだけ覚えるR-CHOPの薬代の8割は「R」の分。「C」は60年前から、安くて確かな土台。
在宅医の視点

60年前の薬が、いまもいちばん使われている理由。

新しい薬が次々に出るのに、この薬が消えないのは、安いこと、組み合わせの土台になること、そして副作用の出方が60年分、分かり尽くされているからです。 「何日目に何が起きるか」が読める薬は、家で看る側にとってありがたい薬です。

毒ガスの研究から生まれた、と聞くと怖くなるかもしれません。でも、その毒の性質を「白血球のがん」に向け直し、量と組み合わせを80年かけて整えてきたのが、この薬の歴史です。 ご家族が「エンドキサンの何日目です」と言えるだけで、私たちの動きは速くなります。

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Q&A よくある質問

Q毒ガスから生まれた薬と聞いて、怖くなりました。
A親戚であることは本当ですが、体に入るのは毒ガスではなく、肝臓で目覚めてから働く別の化合物です。80年のあいだに量・間隔・吐き気止め・膀胱を守る薬が整えられ、外来で受けられる治療になりました。怖さは「何日目に何が起きるか」を知ることで小さくなります。上の3つのカードを手元に置いてください。
Q髪は戻りますか。
A戻ります。抗がん剤による脱毛は投与の1〜3週間後から始まり、治療が終わると再び生え始めます。2〜3か月で産毛が伸び、3〜6か月で短い毛が生えそろうことが多いとされています(がん情報サービス)。抜け始める前の数週間で、帽子やウィッグの情報を集めておくと落ち着いて迎えられます。
Qリウマチの家族も同じ薬を飲んでいます。がんの薬なのですか。
A同じ薬です。免疫を抑える働きがあるので、治療が難しい膠原病やネフローゼ症候群にも、がんよりずっと少ない量(1日1〜2錠)で使われます。量が違えば副作用の出方も違いますが、白血球の減少と感染、出血性膀胱炎、妊娠中の注意は共通です。

この回のチェックリスト(第2回ぶん)

  • 点滴を受けた日をカレンダーに書き、「1〜2週間後が白血球の底」と分かるようにした。
  • 37.5度以上の熱が出たときの連絡先(夜間・休日)を、電話のそばに貼った。
  • 尿の色を見る習慣をつけ、赤いときは連絡すると決めた。
  • 水分をとり、排尿をがまんしないことを本人と共有した。
  • 若い方は、治療の前に妊娠・出産の可能性(卵子・精子の保存)について主治医に聞いた。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. 塩野義製薬「注射用エンドキサン100mg・500mg 添付文書」2024年2月改訂(第3版)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340018_4211401D1033_1_23
  2. 塩野義製薬「エンドキサン錠50mg 添付文書」2022年2月改訂(第2版)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340018_4211002F1044_1_15
  3. 塩野義製薬「患者向医薬品ガイド エンドキサン錠50mg」2024年2月更新(https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/340018_4211002F1044_1_00G.pdf
  4. 塩野義製薬「エンドキサン錠50mg・経口用エンドキサン原末100mg 医薬品インタビューフォーム」(開発の経緯:1958年合成、1959年国内臨床試験開始、1962年発売)(https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340018_4211002F1044_1_021_1F.pdf
  5. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  6. Goodman LS, Wintrobe MM, et al. Nitrogen mustard therapy. JAMA. 1946;132(3):126-132(https://doi.org/10.1001/jama.1946.02870380008004
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  13. Peyrade F, et al. Attenuated immunochemotherapy regimen (R-miniCHOP) in elderly patients older than 80 years with diffuse large B-cell lymphoma. Lancet Oncol. 2011;12(5):460-468(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(11)70069-9
  14. 国立がん研究センター がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」(https://ganjoho.jp/public/support/condition/FN/index.html)、「脱毛」2025年3月7日更新(https://ganjoho.jp/public/support/condition/alopecia/index.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。