イピリムマブ:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第38回/全50回
イピリムマブ

免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞

免疫のT細胞には、暴走を防ぐ「ブレーキ」がついています。がんはそのブレーキを押して逃げていました。1996年、米国のジェームズ・アリソンは、ブレーキを抗体でふさぐとマウスのがんが消えることを示し、15年後、それは人の薬になりました。がん細胞に触れずに、免疫にがんを攻めさせる最初の薬です。 進行した悪性黒色腫で史上初めて生存を延ばした試験、効いた2割の人が10年後も生きている生存曲線の「しっぽ」、ニボルマブと組んで生存中央値6年になった10年の追跡、治療をやめて数か月たってから起こる下痢と大腸炎、そして1回約160万円の薬代まで書きます。

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この回の結論

  1. 免疫の細胞(T細胞)には、暴走を防ぐ「ブレーキ」がついています。がんはそのブレーキを利用して攻撃を逃れます。1996年、米国のジェームズ・アリソンは、ブレーキの1つ(CTLA-4)を抗体でふさぐと、マウスのがんが消えることを示しました。人の薬になったのは15年後、2011年です。
  2. イピリムマブは、進行した悪性黒色腫(メラノーマ)で初めて生存期間を延ばした薬です。治った人は2割ほどですが、その人たちは10年たっても生きている。「効く人には長く効く」という、がんの薬の新しい形を作りました。2018年、アリソンは本庶佑とノーベル賞を受けました。
  3. 副作用は「ブレーキを外した免疫が自分の体を攻める」ことで起こり、下痢・大腸炎、皮疹、甲状腺や下垂体の炎症、肝炎などが出ます。治療をやめて数か月たってから出ることもあるので、家で見張ります。薬代は1回約160万円(体重60kg)です。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)イピリムマブ(ヤーボイ点滴静注液)
薬の家族免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4抗体)。がん細胞ではなく、免疫のT細胞にはたらく
主に使うがん悪性黒色腫(単独または ニボルマブと併用)。ニボルマブと併用で腎細胞がん、大腸がん(MSI-High)、非小細胞肺がん、悪性胸膜中皮腫、食道がん、肝細胞がん
使い方点滴。悪性黒色腫と肝細胞がんは体重1kgあたり3mgを3週間ごとに4回。腎・大腸・肺・中皮腫・食道は1mg/kgを3週または6週ごと(いずれも ニボルマブと併用)
日本での承認2015年7月(悪性黒色腫)。2018年5月 ニボルマブ併用、2018年8月 腎細胞がん、2020年 大腸がん・肺がん、2021年 中皮腫、2022年 食道がん、2025年6月 肝細胞がん
薬価の目安ヤーボイ点滴静注液50mg 419,578円、20mg 170,598円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:「がんを殺す薬」ではなく「免疫のブレーキを外す薬」

1980年代まで、がんの薬はすべて「がん細胞を殺す」か「がん細胞の増える合図を止める」薬でした。免疫にがんを攻めさせる試みは、100年前から何度も行われ、何度も失敗していました。 1987年、フランスの研究者が、T細胞の表面にある「CTLA-4」という分子を見つけます(Brunet ら、Nature 1987)。役目は長く分かりませんでした。

答えを出したのが、米国カリフォルニア大学バークレー校のジェームズ・アリソンです。彼は CTLA-4 が T細胞の「ブレーキ」であることを突き止め、1996年、ブレーキを抗体でふさぐと、マウスに植えたがんが消えることを示しました(Leach ら、Science 1996)。 がんを狙うのではなく、免疫の側に手を入れる。この考え方は、製薬会社には売り込みにくいものでした。アリソンが「どの会社も興味を持たなかった」と回想したのは有名な話です。

抗体を人の薬に育てたのは、米国の小さな会社メダレックスでした。ヒト型の抗CTLA-4抗体(MDX-010、のちのイピリムマブ)を作り、2000年代に進行した悪性黒色腫で試験を重ねます。2009年、ブリストル・マイヤーズ スクイブがメダレックスを買収し、翌2010年、決定的な試験の結果が出ました(第3節)。 2011年3月、米国で承認。日本では2015年7月3日に承認され、8月に発売されました(ヤーボイのインタビューフォーム)。

  • 1987年T細胞の表面に CTLA-4 が見つかる。役目は不明。
  • 1996年アリソンが「CTLA-4 は免疫のブレーキ」と示し、抗体でふさぐとマウスのがんが消える(Leach ら、Science 1996)。
  • 2000年代メダレックス社がヒト型抗体を作り、悪性黒色腫で試験。2009年、ブリストル・マイヤーズ スクイブが買収。
  • 2010年進行した悪性黒色腫で、初めて生存期間を延ばした薬になる(Hodi ら、NEJM 2010)。
  • 2011年3月、米国で承認。免疫チェックポイント阻害薬の第1号。
  • 2015年7月3日、日本で承認(悪性黒色腫)。同年、ニボルマブとの併用試験の結果(Larkin ら、NEJM 2015)。
  • 2018年アリソンと本庶佑(第39回)にノーベル生理学・医学賞。
  • 2025年10年の追跡結果。ニボルマブとの併用で、生存期間の中央値6年(Wolchok ら、NEJM 2025)。同年6月、日本で肝細胞がんに承認。
免疫チェックポイントとは、免疫のT細胞が暴走して自分の体を攻めないように備わっている「ブレーキ」のことです。CTLA-4 と PD-1(第39回)が代表です。がんはこのブレーキを押して攻撃を逃れています。 ブレーキを抗体でふさぐ薬が「免疫チェックポイント阻害薬」です。がん細胞に触れずに、免疫にがんを攻めさせます。この連載では、自由診療の「免疫療法」と区別するため、この名前で呼びます。
ここだけ覚えるがんを殺す薬ではなく、免疫のブレーキを外す薬。マウスで消えてから、人の薬になるまで15年。

SECTION 02 どうやって効くのか:ブレーキを外すと、免疫は自分の体も攻める

T細胞は、がん細胞の目印を見つけると攻撃を始めますが、同時に CTLA-4 というブレーキが出て、攻撃を弱めます。暴走を防ぐ安全装置です。イピリムマブは、この CTLA-4 に結びついてブレーキを効かなくします。 ブレーキを外されたT細胞は、リンパ節で活気づき、がんを攻めに行きます。薬そのものはがん細胞に触れません。

  • 効き始めが遅く、いったん大きくなることがある免疫が動き出すまで数週間かかり、画像でがんが一時的に大きく見えることがあります(免疫細胞が集まるため)。数か月たってから縮む人もいます。殺細胞薬のように「2週間で縮む」薬ではありません。
  • 効く人には、やめても効き続ける免疫が「がんの顔」を覚えるので、投与は4回だけでも、効いた人は何年も効き続けます。3年以上生きた人は、その後ほとんど亡くならない「台地」が生存曲線に現れます(第3節)。
  • 自分の体も攻める(免疫関連有害事象)ブレーキを外した免疫は、腸・皮膚・甲状腺・下垂体・肝臓・肺など、がんでない臓器も攻めます。「免疫関連有害事象」と呼び、殺細胞薬の副作用とはまったく違う顔をしています(第4節)。
ここだけ覚える効き始めは遅いが、効く人には長く効く。そのかわり自分の体も攻める。

SECTION 03 なぜ歴史を変えたのか:初めて「生存」を延ばし、10年後も生きている人がいる

決め手になった試験

2010年、治療歴のある進行した悪性黒色腫の676人を、くじ引きで「イピリムマブ」「イピリムマブ+がんワクチン」「がんワクチンだけ」に分けました。生存期間の中央値は、ワクチンだけの組が6.4か月、イピリムマブの組が10.0か月。死亡のリスクは34%減りました(Hodi ら、NEJM 2010)。 進行した悪性黒色腫で、生存期間を延ばした薬は、これが史上初めてでした。それまでの30年、ダカルバジンを含むどの薬も、比較試験で生存を延ばせなかったのです。

効いた人の数は多くありません。しかし、複数の試験の1,861人をまとめた解析で、3年後に生きている人は22%、そしてその先は生存曲線がほぼ平らになり、10年後も約2割が生きていました(Schadendorf ら、J Clin Oncol 2015)。 「効く人は少ないが、効いた人は治る」。がんの薬に、この形の効き方はありませんでした。

2015年、ニボルマブ(第39回)との併用試験(945人)で、無増悪生存期間の中央値はイピリムマブ単独2.9か月、ニボルマブ単独6.9か月、併用11.5か月(Larkin ら、NEJM 2015)。10年後の最終報告では、生存期間の中央値が併用で71.9か月(約6年)、ニボルマブ単独36.9か月、イピリムマブ単独19.9か月でした(Wolchok ら、NEJM 2025)。 1970年代に「診断から生存期間の中央値6〜9か月」と言われた病気が、半数が6年生きる病気になりました。

場面使い方決め手になった試験
進行した悪性黒色腫単独3mg/kg×4回。または ニボルマブと併用(併用が主流)Hodi 2010(生存6.4→10.0か月)、Larkin 2015・Wolchok 2025(併用で生存中央値6年)
進行した腎細胞がん(中〜高リスク)ニボルマブと併用、1mg/kg×4回のあと ニボルマブ単独CheckMate 214(併用で死亡リスク37%減、Motzer 2018)
MSI-High の大腸がん、肺がん、中皮腫、食道がんニボルマブと併用(肺がんは殺細胞薬も併用)各がんの第3相試験(添付文書の臨床成績)
切除できない肝細胞がん(2025年〜)ニボルマブと併用、3mg/kg×4回CheckMate 9DW(第41回で触れる)

表1 イピリムマブの主な使われ方(添付文書と主な試験による)。単独で使うのは悪性黒色腫だけで、他はすべてニボルマブとの併用(2026年9月時点)。

制度のしくみ

添付文書の効能は「根治切除不能な悪性黒色腫」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」「根治切除不能な進行・再発の食道癌」「切除不能な肝細胞癌」です。 手術のあとの再発予防(術後補助療法)には使えません。腎細胞がんでは、危険度の分類で中〜高リスクの人に限ります。大腸がんでは、MSI-High であることを承認された検査で確かめてから使います。

ここだけ覚える効いた人の2割は10年後も生きている。併用で、悪性黒色腫の生存中央値は6年になった。

SECTION 04 副作用と、家でできること:下痢は「様子見」をしない

添付文書(単独/ニボルマブ併用)では、大腸炎6.6%/4.0%、重度の下痢4.0%/3.2%、消化管穿孔1.3%/0.1%未満、下垂体炎1.3%/3.3%、甲状腺機能低下1.3%/13.8%、間質性肺疾患0.3%/5.3%、肝機能障害、皮膚の重い障害、1型糖尿病、心筋炎、重症筋無力症、腎障害、脳炎など。 よくあるものは、そう痒21.9%、疲労21.2%、発疹、下痢(併用で22.2%)です。

副作用と、家でできること

免疫関連有害事象の特徴は3つです。いつ出るか分からない(数週間後が多いが、治療をやめて数か月たってからも出る)、どこに出るか分からない(腸、皮膚、内分泌、肝臓、肺、神経、心臓)、そして早く気づけばステロイドで治せる。 家で見るのは「いつもと違う」を早く拾うことです。

最も大切なのは下痢です。1日に3〜4回以上の水様便、腹痛、便に血や粘液が混じる。これは大腸炎の合図で、放っておくと穿孔します。殺細胞薬の下痢のように「整腸剤で様子を見る」をしてはいけません。皮疹とかゆみは保湿と外用薬で多くは足ります。 強い疲れ、頭痛、寒がり、食欲低下は甲状腺や下垂体・副腎の異常のことがあり、採血で分かります。のどの渇きと尿の増加は1型糖尿病(急に起こる)、息切れと咳は肺炎、目の充血や視界の異常はぶどう膜炎の合図です。

  • こんなときは1日3〜4回以上の下痢、腹痛、血や粘液の混じる便(治療後数か月でも)
    こうする大腸炎の合図。整腸剤で様子を見ず、その日のうちに治療した病院へ連絡する
  • こんなときは急な息切れ、咳、発熱。または、のどの渇き・尿が増える・体重が減る
    こうする肺炎、または1型糖尿病の合図。すぐ受診する。糖尿病は数日で重くなる
  • こんなときは動けないほどの疲れ、強い頭痛、吐き気、血圧低下、意識がぼんやり
    こうする下垂体炎・副腎不全の合図(ステロイドの補充が要る)。救急に電話する
気をつけること

自己免疫の病気(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、甲状腺の病気など)がある人、臓器移植を受けた人は、病気が悪くなることがあるので、治療前に必ず伝えます。 副作用でステロイドを使うと、免疫の薬の効き目が消えるのではないかと心配する方が多いですが、副作用の治療に使うステロイドで効き目が落ちる証拠は示されていません。指示された量を、勝手に減らさないことが大切です。 治療した病院がくれる「免疫チェックポイント阻害薬の患者カード」は、お薬手帳と一緒に持ち歩き、他の科や救急で最初に見せます。

在宅の現場では

私たちが免疫チェックポイント阻害薬の副作用に出会うのは、多くが「治療が終わったあと」です。点滴が終わって3か月、「最近、便がゆるい」「なんとなくだるい」。本人も家族も、がんの薬とは結びつけていません。 この薬を使った人の訪問では、便の回数、体重、体温、皮膚、そして「いつもと違う疲れ」を、毎回の決まりごととして聞きます。

副腎不全は、見逃すと血圧が下がって命にかかわりますが、ステロイドの補充で普通に暮らせます。下垂体炎のあとの補充療法は一生続くことが多く、その管理は在宅で引き受けられます。 「がんの薬をやめたら、副作用は終わり」ではない薬です。お薬手帳に、この薬を使った期間を残しておいてください。

ここだけ覚える下痢は様子見をしない。治療後数か月でも起こる。早く気づけばステロイドで治る。

SECTION 05 薬価と自己負担:1回約160万円、4回で約640万円

薬価と自己負担の目安

ヤーボイ点滴静注液は50mg 419,578円、20mg 170,598円。悪性黒色腫で体重60kgなら1回180mg(50mg×3本+20mg×2本)で1,599,930円、4回で約640万円です。ニボルマブと併用する腎がんなどでは1mg/kg(60mg=50mg+20mg)で1回590,176円、4回で約236万円(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 これに ニボルマブ(第39回)の薬代が加わります。

月の薬代が100万円を超えても、自己負担は高額療養費の上限までです。70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%で、医療費160万円の月は約99,000円。4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来は月22,000円が上限です(第1回の表1)。 投与は4回で終わるので、薬代がかかるのは最初の3か月だけです。そのあと何年も効き続けた人にとって、この薬は「最も安い」薬になります。

本剤投与により,重篤な下痢,大腸炎,消化管穿孔があらわれることがあり,本剤の投与終了から数ヵ月後に発現し,死亡に至った例も報告されている。投与中だけでなく,投与終了後も観察を十分に行い,異常が認められた場合には,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 出典:ブリストル・マイヤーズ スクイブ「ヤーボイ点滴静注液 添付文書」、警告の項
ここだけ覚える4回で約640万円。ただし4回で終わり、効いた人には何年も効く。
在宅医の視点

がんの薬の「効き方」の定義を変えた薬。

それまでの薬は「どれだけ縮むか」「どれだけ延びるか」で評価されました。イピリムマブは、縮まない人が多く、生存期間の中央値もわずか3.6か月しか延ばしていません。それでも歴史を変えたのは、効いた2割の人が10年後も生きているからです。 平均ではなく、曲線の「しっぽ」を見る。この薬が、がんの薬の見方を変えました。

在宅で私たちが見るのは、その「しっぽ」の側にいる人たちの、治療後の暮らしです。がんは消えたのに、下垂体炎のあとのステロイド補充を一生続ける人。それも、この薬が作った新しい暮らしです。副作用は、治療が終わってからも続く。そのことを、家で見守る人が知っていてほしい薬です。

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Q&A よくある質問

Q「免疫療法」の広告をよく見ます。この薬と同じですか。
A違います。イピリムマブやニボルマブは、くじ引きで分けた比較試験で生存期間を延ばすことが証明され、保険で使える「免疫チェックポイント阻害薬」です。自由診療で行われる「免疫細胞療法」「免疫力を上げる治療」の多くは、そうした試験の証明がなく、費用も全額自己負担です。「免疫」という言葉が同じでも、根拠の強さがまったく違います。当院の別のコラム(関連記事)に詳しく書きました。
Q治療が終わって半年です。もう副作用の心配はいりませんか。
A多くの副作用は治療中〜終了後3か月に出ますが、添付文書には「投与終了から数ヵ月後に発現し、死亡に至った例」が明記されています。下痢、強い疲れ、のどの渇き、息切れなど「いつもと違う」ことがあれば、治療から時間がたっていても、この薬を使ったことを伝えて受診してください。甲状腺や下垂体の異常は、採血で分かります。
Q4回で終わりと聞きました。効いているなら続けたほうがよいのでは。
Aイピリムマブは、免疫に「がんの顔」を覚えさせる薬なので、4回で役目を終えます。効いた人は投与をやめても効き続けることが、10年の追跡で示されています。回数を増やすと副作用(特に大腸炎)が増え、効き目が上がる証拠はありません。ニボルマブとの併用では、そのあとニボルマブだけを続けます。

この回のチェックリスト(第38回ぶん)

  • 1日3〜4回以上の下痢、腹痛、血や粘液の混じる便は、様子を見ずにその日のうちに連絡する。
  • 治療が終わって数か月たっても、「いつもと違う疲れ」「のどの渇き」「息切れ」は、この薬を使ったことを伝えて受診する。
  • 自己免疫の病気や臓器移植の経験は、治療前に伝える。
  • 副作用の治療で出たステロイドは、勝手に減らさない。
  • 患者カードとお薬手帳(使った期間)を持ち歩き、他の科や救急で最初に見せる。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. ブリストル・マイヤーズ スクイブ「ヤーボイ点滴静注液20mg/50mg 添付文書」(販売開始2015年8月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670605_4291430A1026_1_31)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:2011年3月米国承認、2015年7月3日日本承認、2018年5月ニボルマブ併用、2025年6月肝細胞癌)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html)
  3. Brunet JF, et al. A new member of the immunoglobulin superfamily—CTLA-4. Nature. 1987;328(6127):267-270(https://doi.org/10.1038/328267a0);Leach DR, Krummel MF, Allison JP. Enhancement of antitumor immunity by CTLA-4 blockade. Science. 1996;271(5256):1734-1736(https://doi.org/10.1126/science.271.5256.1734)
  4. Hodi FS, et al. Improved survival with ipilimumab in patients with metastatic melanoma. N Engl J Med. 2010;363(8):711-723(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1003466);Robert C, et al. Ipilimumab plus dacarbazine for previously untreated metastatic melanoma. N Engl J Med. 2011;364(26):2517-2526(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1104621)
  5. Schadendorf D, et al. Pooled analysis of long-term survival data from phase II and phase III trials of ipilimumab in unresectable or metastatic melanoma. J Clin Oncol. 2015;33(17):1889-1894(https://doi.org/10.1200/JCO.2014.56.2736)
  6. Larkin J, et al. Combined nivolumab and ipilimumab or monotherapy in untreated melanoma. N Engl J Med. 2015;373(1):23-34(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1504030);Larkin J, et al. Five-year survival with combined nivolumab and ipilimumab in advanced melanoma. N Engl J Med. 2019;381(16):1535-1546(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1910836);Wolchok JD, et al. Final, 10-year outcomes with nivolumab plus ipilimumab in advanced melanoma. N Engl J Med. 2025;392(1):11-22(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2407417)
  7. Motzer RJ, et al. Nivolumab plus ipilimumab versus sunitinib in advanced renal-cell carcinoma. N Engl J Med. 2018;378(14):1277-1290(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1712126)
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」2025年11月6日更新(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu01.html)、同「悪性黒色腫(皮膚)」2023年6月7日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/melanoma/index.html)
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。