ベバシズマブ:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第23回/全50回
ベバシズマブ

「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった

「がんは自分に血管を呼び寄せて育つ。血管を止めればがんを止められる」。1971年に笑われた仮説は、血管を呼ぶ物質が見つかり、それをつかむ抗体が作られて、33年後に薬になりました。 大腸がん、肺がん、卵巣がん、子宮頸がん、肝がんと、がんの種類を問わず化学療法に「足す」薬です。高血圧、尿の蛋白、鼻血、傷の治りの遅れという殺細胞薬とは違う副作用、抜歯の前に伝えること、バイオシミラーで6割安くなる薬代まで書きます。

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この回の結論

  1. 1971年、米国の外科医フォークマンは「がんは自分に血管を呼び寄せて育つ。血管を止めればがんを止められる」と唱えました。笑われた仮説が薬になるまで33年。ベバシズマブは、がんが出す「血管を呼ぶ物質」(VEGF)をつかむ抗体で、2004年に米国、2007年に日本で承認されました。
  2. 大腸がん、肺がん、卵巣がん、子宮頸がん、肝がん、脳腫瘍と、がんの種類を問わず化学療法に「足す」形で使われます。効き目は延命数か月ですが、幅広さでは連載中いちばんの薬です。
  3. 副作用は殺細胞薬とまったく違い、高血圧、尿の蛋白、鼻血、傷の治りの遅れ。まれに腸に穴が開く、大出血、血栓があります。手術の前後は使えません。1回の薬代は先発品で約5万円、バイオシミラーで約2万円です。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)ベバシズマブ(アバスチン点滴静注用。バイオシミラー「ベバシズマブBS」あり)
薬の家族分子標的薬(抗VEGFヒト化モノクローナル抗体。血管新生阻害薬)
主に使うがん大腸がん、非小細胞肺がん(扁平上皮がん以外)、乳がん、悪性神経膠腫、卵巣がん、子宮頸がん、肝細胞がん(アテゾリズマブと)。がん以外に神経線維腫症2型
使い方点滴。2週または3週ごとに、化学療法や免疫チェックポイント阻害薬と組む。量はがんの種類で体重1kgあたり5〜15mg
日本での承認2007年4月(大腸がん)。2009年肺がん、2011年乳がん、2013年脳腫瘍・卵巣がん、2016年子宮頸がん、2020年肝がん
薬価の目安アバスチン400mg 56,525円、100mg 15,049円。バイオシミラーは400mgで22,130〜22,709円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:笑われた仮説から33年

1971年、ボストンの小児外科医ジューダ・フォークマンは、ひとつの論文を書きました。がんは数ミリを超えると、自分で新しい血管を呼び寄せないと育てない。だから「血管を呼ぶ物質」を止めれば、がんは眠ったままにできる(Folkman、NEJM 1971)。 当時、この考えは学会でほとんど相手にされませんでした。血管を呼ぶ物質が何なのか、誰も知らなかったからです。

その物質を突き止めたのは、1989年、ジェネンテック社のナポレオーネ・フェラーラでした。血管の細胞だけを増やす因子を取り出し、VEGF(血管内皮増殖因子)と名づけます(Leung ら、Science 1989)。 フェラーラはVEGFをつかまえるマウスの抗体を作り、それをヒト化したのがベバシズマブです。2004年、大腸がんで生存を延ばすことが証明され、米国で承認。フォークマンの仮説は33年後に薬になり、彼はその4年後に亡くなりました。

  • 1971年フォークマンが「がんは血管を呼ぶ」仮説を発表。
  • 1989年フェラーラらが、血管を呼ぶ物質VEGFを取り出す。
  • 1997年マウスの抗VEGF抗体をヒト化したベバシズマブが作られる。
  • 2004年大腸がん813人の試験で生存が延びると証明。2月、米国で承認。世界初の血管新生阻害薬。
  • 2007年4月、日本で大腸がんに承認。2009年に肺がん、2011年に乳がん、2013年に脳腫瘍と卵巣がん、2016年に子宮頸がん。
  • 2020年肝がんで、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブと組む治療が承認(第41回)。
血管新生(けっかんしんせい)とは、新しい血管が作られることです。傷の治り、月経、胎児の成長など、体は必要なときに血管を作ります。がんは、この仕組みを勝手に使って自分の血管を引き込みます。 ベバシズマブは、がんが出す「呼び出しの手紙」(VEGF)を先につかんで、届かないようにします。
ここだけ覚えるがんは血管を呼ぶ。呼び出しの手紙をつかむ抗体が、33年後に薬になった。

SECTION 02 どうやって効くのか:がんを兵糧攻めにする、ただし一人では勝てない

ベバシズマブは、がん細胞そのものではなく、がんが出すVEGFに結びつきます。新しい血管ができなくなり、できかけの血管も整理され、腫瘍への栄養と酸素が減ります。 面白いことに、乱雑だった腫瘍の血管が「整う」ので、一緒に使う殺細胞薬がかえって腫瘍に届きやすくなる、と考えられています。

  • 単独では使わない兵糧攻めだけでがんは消えません。添付文書のがんの効能は、ほぼすべて「他の抗悪性腫瘍剤との併用」です(脳腫瘍を除く)。
  • 正常な血管の仕事も止める血圧を保つ、傷を治す、腸の粘膜を守る、腎臓で蛋白を漏らさない。VEGFはこれらにも関わるので、高血圧、傷の治りの遅れ、腸の穴、蛋白尿が副作用になります。
  • 出血しやすい血管は危ない肺の扁平上皮がんや、血痰のある人では肺出血で亡くなった例があり、使えません。脳転移のある人も慎重に判断します。
ここだけ覚えるがんではなく「手紙」をつかむ薬。正常な血管の仕事も止めるから、血圧と傷と出血に出る。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:がんの種類を問わず「足せる」

決め手になった試験

2004年、進行した大腸がん813人を、くじ引きで「イリノテカン・5-FU」だけと「ベバシズマブを足す」に分けました。生存期間は15.6か月から20.3か月に延び、死亡のリスクは34%減りました(Hurwitz ら、NEJM 2004)。 副作用で目立ったのは高血圧(重いもの11%対2.3%)で、薬でコントロールできました。

その後、肺がん878人で生存が10.3か月から12.3か月に(Sandler ら、NEJM 2006)、子宮頸がん452人で13.3か月から17.0か月に(Tewari ら、NEJM 2014)、 卵巣がん1,873人では進行までの期間が10.3か月から14.1か月に延びました(Burger ら、NEJM 2011)。肝がんでは、アテゾリズマブと組んで、それまでの標準薬より死亡のリスクを42%減らしました(Finn ら、NEJM 2020)。

がん組む相手決め手になった試験
大腸がんFOLFOX/FOLFIRI(第14・15回)、カペシタビンHurwitz 2004(生存15.6→20.3か月)
非小細胞肺がん(扁平上皮がん以外)カルボプラチン+パクリタキセル(第8・9回)などSandler 2006(生存10.3→12.3か月)
卵巣がんTC療法、そのあと単独で続けるBurger 2011(進行までの期間10.3→14.1か月)
子宮頸がんシスプラチン+パクリタキセルTewari 2014(生存13.3→17.0か月)
肝細胞がんアテゾリズマブ(第41回)Finn 2020(12か月生存54.6→67.2%)
悪性神経膠腫、乳がん単独/パクリタキセル各試験

表1 ベバシズマブの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。効き目の目印(バイオマーカー)は見つかっておらず、がんの種類と体の状態で使う。

制度のしくみ

添付文書の対象は8つで、2026年には神経線維腫症2型(がんではない腫瘍)も加わりました。効き目を前もって調べる検査はなく、トラスツズマブ(第22回)とはそこが違います。 バイオシミラーは2019年から複数の会社が出しており、先発品の4割ほどの値段です。

ここだけ覚える効き目は延命2〜5か月。でも、がんの種類を問わず「足せる」薬は、ほかにない。

SECTION 04 副作用と、家でできること:血圧、尿、鼻血、傷

添付文書の集計では、高血圧18.2%、出血19.3%(うち鼻血15.0%)、尿蛋白10.5%、しびれなど15.5%。重大なものとして、消化管穿孔0.9%、瘻孔0.3%、創傷治癒の遅れ、肺出血1.2%、脳出血0.1%、動脈血栓(脳梗塞0.2%など)、高血圧性脳症、可逆性後白質脳症症候群が挙げられています。 警告には、消化管穿孔、傷の治りの遅れ、出血、動脈血栓、高血圧で亡くなった例が記されています。

副作用と、家でできること

高血圧は毎朝、家で測ります。上が140を超える日が続いたら連絡し、降圧薬で調整します。頭痛や目のかすみを伴う急な上昇は、その日のうちに受診です。 尿の蛋白は点滴ごとに病院で調べます。むくみと泡立つ尿が合図です。

鼻血は多くが軽く、鼻を強くかまない、加湿、で減ります。10分押さえても止まらないときは連絡します。は治りが遅いので、抜歯や手術の予定があれば必ず前もって伝えます(手術の前後は薬を休みます)。 腹痛が急に強くなったときは、腸の穴の合図のことがあり、待ちません。

  • こんなときは急に強い腹痛、お腹が板のように硬い、吐血・血便、大量の鼻血や血痰
    こうする腸の穴や大出血の合図。すぐ病院へ。夜なら救急に電話する
  • こんなときは血圧の上が180を超えた、強い頭痛、目が見えにくい、けいれん
    こうする高血圧性の脳症のことがある。その日のうちに受診する
  • こんなときは片方の手足の力が抜ける、ろれつが回らない、胸の痛み
    こうする脳梗塞・心筋梗塞の合図。救急車を呼ぶ
気をつけること

手術や抜歯の前後(手術後は傷が治るまで、手術前は十分な期間)は使いません。血痰のある人、肺の扁平上皮がん、最近大きな手術をした人には使えません。 血液をさらさらにする薬を飲んでいる人は出血に注意します。妊娠中は使えません。

在宅の現場では

この薬を受けている方の家では、血圧手帳が主役です。降圧薬が増えることを「悪くなった」と受け取る方がいますが、薬の副作用への対処であって、がんの悪化ではないと伝えます。 抜歯の予定が入っていないかは、訪問のたびに聞きます。歯科に薬のことが伝わっていないことが多いからです。

鼻血は、ご家族が「止め方」を知っていれば慌てません。小鼻を10分つまむ、上を向かない、を紙にして貼っておきます。

ここだけ覚える血圧手帳と、抜歯・手術の前に伝えること。急な腹痛と大出血は待たない。

SECTION 05 薬価と自己負担:1回約5万円、バイオシミラーで約2万円

薬価と自己負担の目安

アバスチン点滴静注用は400mgが56,525円、100mgが15,049円。バイオシミラーは400mgで22,130〜22,709円、100mgで5,932〜6,125円です(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 大腸がんの量(体重1kgあたり5mg、55kgでおよそ280mg)なら1回約4万5千〜5万7千円、バイオシミラーで約1万8千〜2万2千円。2週間ごとに続けます。

肺がんや子宮頸がんの量(15mg/kg、およそ830mg)なら先発品で約13万円、バイオシミラーで約5万円。組む殺細胞薬(第14・15回、第8・9回)の分が加わります。 3割負担では月の医療費が高額療養費の上限に届き、70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+1%、4か月目から44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円です(第1回の表1)。

創傷治癒遅延による合併症(創し開、術後出血等)があらわれることがある。手術後の患者に本剤を投与する場合は、術創の状態を確認し、投与の可否を検討すること。 出典:中外製薬「アバスチン点滴静注用 添付文書」、警告の項
ここだけ覚えるバイオシミラーで6割安い。年単位で続ける薬だから、値段の差は大きい。
在宅医の視点

「数か月の延命」を、どう受け取るか。

この薬の試験の数字は、大腸がんで4.7か月、肺がんで2か月、子宮頸がんで3.7か月です。「たったそれだけ」と言う人もいます。でも、それが試験の参加者の「中央値」であって、長く効く人もいれば効かない人もいる、というのが実際です。 在宅で見ていると、効いている間の暮らしの質が保たれていることのほうが、数字より大きい場合があります。

フォークマンは、自分の仮説が薬になるのを見届けてから亡くなりました。33年かかった理由は、「血管を呼ぶ物質」が見つかるまで、仮説を検証する手段がなかったことです。がんの薬は、道具がそろった順にできていきます。

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Q&A よくある質問

Q「バイオシミラーにします」と言われました。抗体の後発品は本当に同じですか。
A抗体は細胞で作るため、先発品と「完全に同一」とは言えませんが、構造・効き目・安全性が同等であることを試験で確かめて承認されています。ベバシズマブでは日本で複数のバイオシミラーが2019年から使われ、成績の違いは報告されていません。年単位で続ける薬なので、値段の差(6割安い)は家計と保険財政の両方に効きます。
Q歯が痛くて抜きたいのですが、薬を休まないといけませんか。
Aはい、必ず主治医に相談してから抜歯してください。この薬は傷の治りを遅らせ、出血も増やすので、抜歯の前後は休薬することが多いです。休む期間は病状で決まります。歯科にも「ベバシズマブを使っている」と伝えてください。歯の治療は、できれば治療を始める前に済ませておくのが理想です。
Q血圧の薬が2種類に増えました。がんが悪くなったのですか。
A違います。血圧が上がるのはこの薬の直接の作用で、がんの悪化とは関係ありません。降圧薬で血圧を保てば治療を続けられます。試験でも高血圧は1割前後に出て、ほとんどが薬でコントロールできました。むしろ、血圧が上がる人のほうが薬が効いている、という報告もあります(確定した話ではありません)。

この回のチェックリスト(第23回ぶん)

  • 毎朝の血圧を手帳に書き、上が140を超える日が続いたら連絡する。
  • 抜歯・手術の予定は、決める前に主治医に伝える。歯科にも薬のことを伝えた。
  • 鼻血の止め方(小鼻を10分つまむ)を家族が知っている。
  • 急な強い腹痛、吐血・血便、血痰は待たずに病院へ。
  • 泡立つ尿とむくみに気づいたら、次の受診で伝える。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. 中外製薬「アバスチン点滴静注用100mg/4mL・400mg/16mL 添付文書」(販売開始2007年6月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/450045_4291413A1022_1_27)、同 医薬品インタビューフォーム(承認状況:2007年4月結腸・直腸癌、2009年11月非小細胞肺癌、2011年9月乳癌、2013年6月悪性神経膠腫、2013年11月卵巣癌、2016年5月子宮頸癌、2020年9月肝細胞癌)(https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/450045_4291413A1022_1_027_1F.pdf
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  3. Folkman J. Tumor angiogenesis: therapeutic implications. N Engl J Med. 1971;285(21):1182-1186(https://doi.org/10.1056/NEJM197111182852108
  4. Leung DW, Cachianes G, Kuang WJ, Goeddel DV, Ferrara N. Vascular endothelial growth factor is a secreted angiogenic mitogen. Science. 1989;246(4935):1306-1309(https://doi.org/10.1126/science.2479986
  5. Hurwitz H, et al. Bevacizumab plus irinotecan, fluorouracil, and leucovorin for metastatic colorectal cancer. N Engl J Med. 2004;350(23):2335-2342(https://doi.org/10.1056/NEJMoa032691
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  8. Finn RS, et al. Atezolizumab plus bevacizumab in unresectable hepatocellular carcinoma. N Engl J Med. 2020;382(20):1894-1905(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1915745
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん) 治療」2025年3月24日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html)、「肝臓がん(肝細胞がん) 治療」2026年8月21日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。