ゾルベツキシマブ:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第25回/全50回
ゾルベツキシマブ

胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬

胃の粘膜の細胞どうしをつなぐ「接着剤」の部品は、がんになると表面に露出します。ドイツの小さな会社がそれを目印として探し当て、日本の会社が16年かけて育て、2024年3月、日本が世界で最初に承認しました。 HER2陰性の進行胃がんで、化学療法に足すと死亡のリスクが約25%減った2つの試験、点滴中の吐き気と嘔吐を乗り切る工夫、目印を確かめる検査、1回44〜63万円の薬代と高額療養費の手続きまで書きます。

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この回の結論

  1. ゾルベツキシマブは、胃の細胞どうしをつなぐ「接着剤」の一部(クローディン18.2)を狙う抗体です。ドイツの小さな会社が見つけた的を、アステラス製薬が薬に育て、2024年3月、日本が世界で最初に承認しました。
  2. HER2陰性で、この目印を持つ進行胃がん(3〜4割)の一次治療で、化学療法に足すと生存期間が約2か月延び、死亡のリスクが約25%減りました。2つの大規模試験で同じ結果が出ています。
  3. 副作用の中心は点滴中の吐き気と嘔吐で、初回に強く出ます。吐き気止めを前もって使い、点滴の速さを調整します。1回の薬代は約44〜63万円と高く、高額療養費の上限に届きます。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)ゾルベツキシマブ(ビロイ点滴静注用)
薬の家族分子標的薬(抗クローディン18.2キメラ型モノクローナル抗体)
主に使うがんクローディン18.2陽性(かつHER2陰性)の、治癒切除不能な進行・再発の胃がん(食道胃接合部がんを含む)の一次治療
使い方点滴。化学療法(オキサリプラチンと5-FU系)と組み、初回は多めに、以後3週ごと(または2週ごと)に2時間以上かけて。吐き気止めを前もって使う
日本での承認2024年3月(世界初)。2025年に300mg製剤
薬価の目安ビロイ点滴静注用100mg 63,956円、300mg 188,143円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:胃だけにある「接着剤」を探し当てた

抗体の薬は、がん細胞にだけあって正常な細胞にはない目印を見つけられるかで決まります。2000年代、ドイツ・マインツの小さな会社ガニメドの研究者たちは、膨大な遺伝子のデータから「胃の粘膜の細胞だけにあり、胃がんになっても残っている」たんぱく質を探しました。 見つかったのは、細胞どうしをぴったり接着させる「タイトジャンクション」の部品、クローディン18のうち、胃だけで使われる型(18.2)でした(Sahin ら、Clin Cancer Res 2008)。

正常な胃では、この部品は細胞と細胞の隙間に埋まっていて、抗体が届きません。ところが、がんになって細胞の並びが乱れると表面に露出し、抗体がつかめるようになる。しかも胃がんの3〜4割に、膵がんや食道がんにもあります。 ガニメドを創業したウール・シャヒンとエズレム・テュレジは、のちに新型コロナのmRNAワクチンを作ったビオンテックの創業者でもあります(第44回)。2016年、アステラス製薬がガニメドを買収し、大規模試験を進めました。

  • 2001年シャヒンとテュレジがドイツ・マインツでガニメド社を創業。
  • 2008年クローディン18.2が「胃だけにあり、がんでも残る」目印だと発表。抗体を作る。
  • 2009年欧州で人での最初の試験。
  • 2016年アステラス製薬がガニメド社を買収。
  • 2018年世界規模の2つの第3相試験(SPOTLIGHT、GLOW)が始まる。日本でも第1相試験。
  • 2023年2つの試験で、化学療法に足すと生存が延びると発表。
  • 2024年3月、日本で承認。世界で最初。6月発売。
タイトジャンクションとは、粘膜の細胞どうしをすき間なくつなぎとめる「接着剤」のような構造です。胃酸が粘膜の内側に漏れないのは、この接着があるからです。 クローディンはその部品で、体の場所ごとに違う型があります。18.2型は胃だけに使われているので、ここを狙えば、ほかの臓器への影響が少なくてすみます。
ここだけ覚える胃の接着剤の部品は、がんになると表面に出てくる。そこを抗体でつかむ。

SECTION 02 どうやって効くのか:印をつけて免疫に壊させる。正常な胃も少し巻き込む

ゾルベツキシマブは、がん細胞の表面に露出したクローディン18.2に結びつき、リツキシマブ(第21回)と同じように、免疫細胞と補体を呼び寄せてがん細胞を壊させます。 受け皿の合図を止めるトラスツズマブ(第22回)とは違い、「増えろ」を止めるのではなく「壊せ」の印をつける薬です。殺細胞薬を先に使うと目印が増えて効きが強まることも分かっており、化学療法と組んで使います。

  • 正常な胃の粘膜にも少し届く健康な胃の細胞にも同じ部品があるため、点滴中に強い吐き気と嘔吐が出ます。添付文書は、重い吐き気・嘔吐が15.9%、吐き気が64.9%、嘔吐が59.1%と記しています。
  • 点滴の速さで反応を抑える最初の30〜60分はゆっくり落とし、反応がなければ速めます。吐き気が出たらいったん止め、収まってから速度を落として再開できます。
  • 目印を検査で確かめてから使う胃がんの組織を染めて、クローディン18.2ががん細胞の75%以上に中等度以上の強さで出ている人が対象です。承認された検査(コンパニオン診断)を使います。
ここだけ覚える「壊せ」の印をつける薬。正常な胃にも届くから、点滴中の吐き気が出る。

SECTION 03 なぜ使われるのか:胃がんの一次治療で、10年ぶりに増えた選択肢

決め手になった試験

2023年、クローディン18.2陽性でHER2陰性の進行胃がん565人を、くじ引きで「化学療法(mFOLFOX6)だけ」と「ゾルベツキシマブを足す」に分けたSPOTLIGHT試験では、進行までの期間が8.67か月から10.61か月に延び、 死亡のリスクは25%減りました(Shitara ら、Lancet 2023)。同じ年、化学療法をCAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン)にしたGLOW試験(507人)でも、生存期間が12.16か月から14.39か月に延び、死亡のリスクは23%減でした(Shah ら、Nat Med 2023)。

2つの試験で同じ方向の結果が出たことが、承認の決め手でした。HER2陽性の胃がんにはトラスツズマブ(第22回)、それ以外には免疫チェックポイント阻害薬(第39回)が使われる中で、 クローディン18.2陽性という3つ目の「型」に、初めて専用の薬ができました。

胃がんの型一次治療で組む薬関連する回
HER2陽性(1〜2割)トラスツズマブ+化学療法(+ペムブロリズマブ)第22回、第40回
クローディン18.2陽性(3〜4割)ゾルベツキシマブ+化学療法この回
それ以外(PD-L1などで判断)ニボルマブ+化学療法第39回
化学療法の土台S-1やカペシタビン、オキサリプラチン第16回、第14回

表1 進行胃がんの一次治療で、型ごとに組む薬(がん情報サービス「胃がん 治療」と学会ガイドラインによる)。クローディン18.2とPD-L1の両方が陽性の人でどちらを先に使うかは、まだ試験の途中。

制度のしくみ

添付文書の対象は「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」で、HER2陰性の人に、他の抗悪性腫瘍剤と組んで使います。術後補助療法での効き目は確立していません。 検査は承認された体外診断薬で行い、胃がんの組織でクローディン18が陽性なら18.2陽性と判断します。

ここだけ覚える2つの試験で死亡リスク約25%減。胃がんの「3つ目の型」に薬ができた。

SECTION 04 副作用と、家でできること:点滴中の吐き気と、その後

添付文書では、点滴反応44.3%、過敏症16.9%、重い吐き気・嘔吐15.9%。吐き気64.9%、嘔吐59.1%、食欲低下、下痢、疲労、好中球減少が10%以上です。 組む殺細胞薬(オキサリプラチン、5-FU系)の副作用(しびれ、下痢、白血球減少)は第14回・第4回のとおりです。

副作用と、家でできること

点滴中の吐き気・嘔吐は、初回のサイクルに最も強く出ます。病院では吐き気止めを前もって使い、点滴をゆっくり始めます。2回目以降は軽くなる人が多いです。 点滴の日は、朝食を軽めにし、帰りの車の運転は避けます。

帰宅後は、吐き気止めを予定どおり飲み、水分を少しずつ。吐いて水分がとれない日は連絡します。点滴反応(発熱、寒気、発疹、息苦しさ)は病院で見張りますが、帰宅後に出たら連絡します。 食欲低下が続くときは、体重を週2回測って伝えます。

  • こんなときは点滴中〜帰宅後に、息苦しさ、じんましん、顔の腫れ、血圧が下がった感じ
    こうする過敏症・点滴反応の合図。病院ならその場で、帰宅後なら救急に電話する
  • こんなときは吐いて水分がとれない、尿が少ない、立ちくらみ
    こうする脱水の合図。その日のうちに病院へ連絡する(点滴での補液が要る)
  • こんなときは点滴の1〜2週間後に37.5度以上の熱
    こうする組んでいる殺細胞薬による白血球の底。夜間・休日でも電話する
気をつけること

この薬で重い過敏症が出た人には使えません。吐き気止めは自己判断で減らさず、次の点滴の前に「前回の吐き気の程度」を伝えると、前投薬と点滴の速さが調整されます。 妊娠中は、利益が危険を上回るときだけ使います。

在宅の現場では

新しい薬なので、在宅で出会う機会はまだ多くありません。胃がんの方は食事が細くなりやすく、点滴の日の吐き気で「食べる自信」を失うことがあります。 点滴の翌日から数日は、食べられる物を少量ずつ、を合言葉にしてもらいます。

薬代が1回44〜63万円になるので、高額療養費の限度額認定を最初に確かめます。窓口で上限までの支払いにしておけば、あとで慌てません。

ここだけ覚える点滴の日は軽めの朝食と送迎。吐いて飲めない日は連絡。前回の吐き気を次に伝える。

SECTION 05 薬価と自己負担:1回44〜63万円

薬価と自己負担の目安

ビロイ点滴静注用は100mgが63,956円、300mgが188,143円です(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 3週ごとの量(体表面積1平方メートルあたり600mg、およそ960mg)なら300mg3本+100mg1本で約63万円、2週ごとの量(400mg、およそ640mg)なら約44万円。初回はさらに多め(800mg)です。

月あたりの薬代は約90万円で、化学療法の分が加わります。3割負担なら月27万円を超えるので、高額療養費で、70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%、4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円が上限です(第1回の表1)。 限度額適用認定証(マイナ保険証なら不要)を最初の月に用意します。

悪心、嘔吐が高頻度にあらわれるので、本剤投与前に制吐剤の予防投与を検討すること。 出典:アステラス製薬「ビロイ点滴静注用 添付文書」2025年11月改訂、重要な基本的注意の項
ここだけ覚える月約90万円。自己負担は高額療養費で月4万4千〜8万6千円程度に収まる。
在宅医の視点

目印を探す人がいて、育てる会社があって、薬になる。

この薬の物語には、派手な偶然がありません。膨大なデータから「胃にしかない部品」を探し当てた研究者と、それを16年かけて大規模試験まで運んだ会社がいるだけです。 その研究者たちが、のちにmRNAワクチンで世界を変えたのは、偶然ではなく、目印を探し続けた人たちの必然だったのだと思います。

在宅で見ていて気になるのは、この薬の効き目が「2か月」という数字で語られることです。それは中央値であり、その先に、長く効く方もいます。 吐き気を乗り切る最初の1サイクルを、家でどう支えるか。そこにこの薬の成績の一部があります。

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Q&A よくある質問

Q「クローディン18.2が陽性」と言われました。良い知らせですか。
Aこの薬が使える、という意味では良い知らせです。陽性は「がんの性質」であって、たちの良し悪しとは別です。胃がんの3〜4割が陽性で、陽性ならこの薬を化学療法に足すことで、生存が延びることが2つの試験で示されています。HER2とPD-L1の結果と合わせて、どの薬を先に組むかを主治医が決めます。
Q初回の点滴で吐いてしまい、次が怖いです。
A初回のサイクルが最も強く、2回目以降は軽くなる人が多いです。病院は前回の様子をもとに、吐き気止めの種類と量、点滴の速さを調整します。「何分ごろから、どれくらい」を伝えると、調整が正確になります。点滴の途中で止めて、収まってからゆっくり再開する決まりも添付文書にあります。我慢せず、点滴中に看護師へ伝えてください。
Q薬代が高くて心配です。続けられますか。
A薬価は月約90万円ですが、健康保険と高額療養費制度で、自己負担は月の上限までです。70歳以上・一般なら外来で月22,000円、70歳未満・年収約370〜770万円なら月8万6千円程度、4か月目からは44,400円です。マイナ保険証を使えば窓口の支払いが最初から上限までになります。病院のがん相談支援センターや医事課で、最初の月に手続きを確かめてください。

この回のチェックリスト(第25回ぶん)

  • クローディン18.2・HER2・PD-L1の検査結果をお薬手帳に書いた。
  • 点滴の日は軽めの朝食、送迎を頼み、吐き気止めを予定どおり飲む。
  • 「前回の吐き気の時間と程度」を次の点滴の前に伝える。
  • 吐いて水分がとれない日、帰宅後の息苦しさ・じんましんは、その日のうちに連絡する。
  • 高額療養費の限度額(マイナ保険証か認定証)を最初の月に確かめた。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. アステラス製薬「ビロイ点滴静注用100mg・300mg 添付文書」2025年11月改訂(販売開始2024年6月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/800126_4291471D1021_1_04)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:Ganymed社が創製、2009年欧州第Ⅰ相、2018年SPOTLIGHT・GLOW開始、2024年3月日本承認、2025年8月300mg製剤)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  3. Sahin U, et al. Claudin-18 splice variant 2 is a pan-cancer target suitable for therapeutic antibody development. Clin Cancer Res. 2008;14(23):7624-7634(https://doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-08-1547
  4. Shitara K, et al. Zolbetuximab plus mFOLFOX6 in patients with CLDN18.2-positive, HER2-negative, untreated, locally advanced unresectable or metastatic gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (SPOTLIGHT): a multicentre, randomised, double-blind, phase 3 trial. Lancet. 2023;401(10389):1655-1668(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)00620-7
  5. Shah MA, et al. Zolbetuximab plus CAPOX in CLDN18.2-positive gastric or gastroesophageal junction adenocarcinoma: the randomized, phase 3 GLOW trial. Nat Med. 2023;29(8):2133-2141(https://doi.org/10.1038/s41591-023-02465-7
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん 治療」2026年1月13日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html)、「吐き気・嘔吐」(https://ganjoho.jp/public/support/condition/nausea/index.html
  7. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(令和8年8月〜)(https://www.mhlw.go.jp/content/001726232.pdf
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。