アレクチニブ:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第28回/全50回
アレクチニブ

自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬

2007年、自治医科大学の研究者が、たばこを吸わない肺がんの患者さんの腫瘍から、2つの遺伝子がつながった「融合遺伝子」を見つけました。中外製薬がそれをふさぐ薬を作り、2014年、日本が世界で最初に承認します。発見から承認まで日本で完結した薬です。 最初から使うと5年生存6割、手術後2年で再発が4分の1になった試験、便秘とむくみと日焼けの手当て、間質性肺炎の見張り、月83万円の薬代と高額療養費の多数回該当まで書きます。

この連載の現在地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 第28回 アレクチニブ

この回の結論

  1. 2007年、自治医科大学の間野博行らが、肺がんの一部で2つの遺伝子がつながった「ALK融合遺伝子」が運転手になっていることを発見しました。中外製薬がそれをふさぐ飲み薬を作り、2014年、日本が世界で最初に承認しました。発見から承認まで、日本で完結した薬です。
  2. ALK陽性の肺がんは全体の3〜5%で、若い人やたばこを吸わない人に多いのが特徴です。この薬を最初から使うと、進行までの期間が第1世代の3倍近くに延び、5年後に生きている人が6割を超えました。手術後に2年飲むと再発が4分の1に減ります。
  3. 副作用は便秘、むくみ、肝機能の数値の上昇、筋肉の酵素の上昇、光線過敏、味覚の変化などで、多くは軽いものです。間質性肺炎(3.7%)は見張ります。薬代は1日約2万8千円、月約83万円で、高額療養費の上限に届きます。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)アレクチニブ(アレセンサカプセル)
薬の家族分子標的薬(ALKチロシンキナーゼ阻害薬、第2世代)
主に使うがんALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(進行・再発の一次治療、手術後の補助療法)、ALK陽性の未分化大細胞リンパ腫、ALK陽性の小児を含む固形がん
使い方飲み薬。1回300mgを1日2回(150mgカプセル4個)。手術後は1回600mgを1日2回、2年まで
日本での承認2014年7月(世界初)。2020年リンパ腫、2024年術後、2026年ALK陽性の固形がん全体(小児を含む)
薬価の目安アレセンサカプセル150mg 6,905.5円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:自治医大の発見から7年で、日本が世界初承認

2007年、自治医科大学の間野博行らは、たばこを吸わない肺がんの患者さんの腫瘍から、2つの遺伝子(EML4とALK)が途中でつながった「融合遺伝子」を見つけました(Soda ら、Nature 2007)。 ALKは、もともと悪性リンパ腫の一部で見つかっていた酵素の遺伝子です。それが肺がんでも、別の遺伝子とつながることで「増えろ」の合図を出し続けていました。

この発見を受け、中外製薬は100万を超える化合物の中からALKをふさぐ骨格を探し、選択性の高い化合物(アレクチニブ)を作りました(アレセンサのインタビューフォーム)。 先に米国で承認されていたクリゾチニブという薬は、ALK以外の酵素にも作用し、脳への転移に効きにくいという弱点がありました。アレクチニブは、ALKに絞り、脳にも届くよう設計されています。国内の第1/2相試験で奏効率93.5%という結果が出て、2014年7月、日本は世界で最初にこの薬を承認しました。

  • 1994年悪性リンパ腫の一部でALK融合遺伝子が見つかる。
  • 2007年間野らが、肺がんでEML4-ALK融合遺伝子を発見。肺がんの新しい「運転手」。
  • 2010年米国で第1世代クリゾチニブがALK陽性肺がんに効くと報告(Kwak ら、NEJM 2010)。
  • 2014年7月、アレクチニブが日本で世界初承認。2015年、150mgカプセルに。
  • 2017年日本の比較試験(J-ALEX)と国際試験(ALEX)で、クリゾチニブより長く効くと証明。
  • 2020年5年生存率62.5%と報告。同年、ALK陽性リンパ腫に承認。
  • 2024年手術後に2年飲むと再発が4分の1に減ると報告(ALINA試験)。8月、日本で術後の使用が承認。2026年、小児を含むALK陽性の固形がん全体へ。
融合遺伝子とは、染色体の切れ端がつなぎ替わって、2つの遺伝子が1つになったものです。慢性骨髄性白血病のBCR-ABL(第26回)と同じ仕組みで、つながった片方(ALK)が「常にオン」になります。 「ALK陽性」は、腫瘍の組織を染める検査か遺伝子検査で確かめます。肺がんのほか、リンパ腫や小児の一部のがんにもあります。
ここだけ覚える日本で見つけ、日本で作り、日本が最初に承認した。肺がんの3〜5%の「運転手」を止める薬。

SECTION 02 どうやって効くのか:常にオンの酵素をふさぎ、脳にも届く

融合したALKは、「増えろ」の合図を出し続ける酵素です。アレクチニブはその酵素のATPの穴にはまり込み、合図を止めます。イマチニブ(第26回)やオシメルチニブ(第27回)と同じ仕組みです。 ALKは大人の正常な細胞ではほとんど働いていないので、副作用は比較的軽くすみます。

  • 脳の関門を通るALK陽性の肺がんは脳に転移しやすく、第1世代は脳の中に入りにくいのが弱点でした。アレクチニブは脳に届き、国際試験では脳への進行が45%から12%に減りました。
  • それでも逃げ道はできる長く使うと、酵素の形が変わって(変異)効かなくなることがあります。そのときは第3世代のロルラチニブなどに替えます。
  • 手術後に使う意味取り切ったあとに残る目に見えない細胞を2年抑えると、再発が大きく減ります。ALK陽性は再発しやすい型なので、この意味は大きいと考えられています。
ここだけ覚える常にオンの酵素をふさぐ。脳に届くから、脳転移が減る。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:一次治療で5年生存6割、術後で再発4分の1

決め手になった試験

2017年、日本のALK陽性肺がん207人を、くじ引きで「アレクチニブ」と「クリゾチニブ」に分けた試験では、進行か死亡のリスクが66%減りました(Hida ら、Lancet 2017、J-ALEX試験)。 同じ年の国際試験(303人)でも、進行のリスクは53%減り、1年後に進行していない人は48.7%対68.4%でした(Peters ら、NEJM 2017、ALEX試験)。5年生存率はアレクチニブで62.5%、クリゾチニブで45.5%です(Mok ら、Ann Oncol 2020)。

2024年、手術で取り切ったALK陽性の1B〜3A期257人で、化学療法の代わりにこの薬を2年飲むと、再発か死亡のリスクが76%減り、2年後に再発していない人は63.0%から93.8%に上がりました(Solomon ら、NEJM 2024、ALINA試験)。

場面使い方決め手になった試験
進行・再発、最初の治療1回300mg 1日2回、進行するまでJ-ALEX 2017、ALEX 2017(5年生存62.5%)
手術のあと(1B〜3A期)1回600mg 1日2回を2年ALINA 2024(2年無再発63→94%)
効かなくなったあと第3世代ロルラチニブなど、または化学療法(第8・9・12回)各試験
ALK陽性リンパ腫・小児の固形がん体重に合わせた量国内の医師主導試験

表1 アレクチニブの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。ALK陽性は非小細胞肺がんの3〜5%で、若い人・たばこを吸わない人・腺がんに多い。

制度のしくみ

添付文書の対象は、ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん(非小細胞肺がんを含む)、同じく非小細胞肺がんの術後補助療法、再発または難治性のALK陽性未分化大細胞リンパ腫です。 使う前に承認された検査でALK融合遺伝子を確かめます。警告として、間質性肺疾患の初期症状の確認と胸のCT、治療初期は入院かそれに準じた管理を定めています。

ここだけ覚える最初から使えば5年生存62.5%。手術後2年で再発が4分の1。

SECTION 04 副作用と、家でできること:便秘、むくみ、採血の数値、日焼け

添付文書の集計では、便秘29.2%、筋肉の酵素(CK)の上昇25.8%、AST上昇25.8%、ビリルビン上昇25.5%、ALT上昇20.3%、味覚障害、発疹、むくみ、けん怠感、貧血。重大なものは間質性肺疾患3.7%、好中球減少9.2%、白血球減少5.5%、腎機能障害0.9%、肝機能障害、徐脈、光線過敏症です。

副作用と、家でできること

便秘は3人に1人。水分、食物繊維、必要なら下剤を最初から。むくみは脚に出やすく、夕方に靴がきつくなります。急な体重増加は連絡します。 採血の数値(肝臓、筋肉の酵素、腎臓)は病院で定期的に見ます。筋肉痛や脱力が強いときは伝えます。

日焼けで赤くなりやすいので、日焼け止めと長袖を。味覚の変化は塩味や酸味を工夫します。 は、空咳・息切れ・発熱が出たら日数に関係なく連絡します。徐脈(脈が遅い)は、めまいやふらつきがあれば伝えます。

  • こんなときは空咳が増えた、息切れ、微熱が続く
    こうする間質性肺炎の合図。日数に関係なく、その日のうちに病院へ連絡する
  • こんなときは白目が黄色い、尿が濃い、強いだるさ、筋肉痛と脱力
    こうする肝障害や筋肉の障害の合図。早めに受診して採血を受ける
  • こんなときはふらつき、めまい、脈が1分間に50回を切る
    こうする徐脈のことがある。血圧の薬との組み合わせも含めて、その日のうちに連絡する
気をつけること

脈を遅くする薬(一部の血圧の薬)を飲んでいる人は伝えます。飲み合わせのある薬があるため、市販薬・サプリを含めて薬剤師に確かめます。 妊娠中は使えません。日光に当たる仕事や外出の多い人は、日焼け対策を最初から始めます。

在宅の現場では

ALK陽性の方は若い方が多く、仕事や子育てを続けながら飲んでいます。在宅で関わるのは、脳転移などで症状が出てからのことが多いのですが、この薬が脳に届くおかげで、症状が落ち着いて家に戻れる方がいます。 便秘とむくみは「がまんする副作用」になりがちなので、訪問のたびに聞きます。

年単位で飲む薬なので、高額療養費の多数回該当(4か月目から44,400円)を最初に説明し、限度額の手続きを済ませてもらいます。

ここだけ覚える便秘とむくみは家で手当て。空咳・黄疸・ふらつきは電話。日焼け止めは毎日。

SECTION 05 薬価と自己負担:1日約2万8千円、月約83万円

薬価と自己負担の目安

アレセンサカプセル150mgは6,905.5円。1回2カプセルを1日2回で1日27,622円、30日で約82万9千円です。手術後の2年間では約2,000万円になります(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 3割負担なら月約24万9千円ですが、高額療養費で、70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%=約9万1千円、4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円が上限です(第1回の表1)。

若い方が多い薬なので、加入している健康保険組合の「付加給付」(上限がさらに低い制度)があるかどうかも確かめる価値があります。

本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行うこと。 出典:中外製薬「アレセンサカプセル150mg 添付文書」2026年5月改訂、警告の項
ここだけ覚える月83万円でも自己負担は月4万4千〜9万1千円まで。付加給付があればさらに下がる。
在宅医の視点

「純国産」の意味は、発見から承認までの7年にある。

日本の研究者が原因を見つけ、日本の会社が薬を作り、日本の試験で日本が最初に承認する。この連載で初めての形です。第14回で書いたドラッグ・ラグ(海外の薬が日本に来るまでの遅れ)が、この薬では逆向きでした。 間野博行はその後、国立がん研究センターの研究所長として、がんの「運転手」を探す研究を続けています。

在宅で若い患者さんを診るとき、私たちが気にするのは薬の値段の話をいつ切り出すかです。月83万円という数字は本人を驚かせますが、上限を知れば「続けられる」に変わります。最初の訪問で、必ず話します。

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Q&A よくある質問

QALK陽性と言われました。珍しい型ですか。
A非小細胞肺がんの3〜5%で、確かに多くはありません。ただ、この型には専用の薬が第1世代から第3世代まであり、効き目の長さは肺がんの中でも群を抜いています。若い人やたばこを吸わない人に多く、脳に転移しやすい性質があるので、脳の検査も定期的に受けます。「珍しい」より「よく効く薬がある型」と考えてください。
Q手術後の治療は、化学療法とこの薬のどちらがよいのですか。
A手術後の試験では、この薬を2年飲む組と、シスプラチンを含む化学療法の組を比べ、再発か死亡のリスクが76%減りました。飲み薬で通院も少なく、脱毛や吐き気もほとんどありません。いまの学会ガイドラインでは、ALK陽性で1B期以上なら、この薬が勧められます。2年間毎日飲む負担と、月ごとの費用は、始める前に確かめてください。
Q便秘がつらいのですが、薬を減らせますか。
A便秘は最も多い副作用で、多くは下剤と生活の工夫で続けられます。まず水分と食物繊維、酸化マグネシウムなどの下剤を主治医に相談してください。それでもつらいときは、添付文書に減量の目安があり、1回150mg減らすなどの調整ができます。自己判断で飲む回数を減らすと効きが落ちるので、必ず相談してから変えてください。

この回のチェックリスト(第28回ぶん)

  • ALK融合遺伝子の検査結果をお薬手帳に書いた。
  • 便秘の対策(水分・食物繊維・下剤)を最初から始めた。
  • 日焼け止めと長袖を用意した。
  • 空咳・息切れ・微熱、黄疸、ふらつきは、日数に関係なく連絡する。
  • 高額療養費の限度額と、健康保険組合の付加給付の有無を確かめた。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. 中外製薬「アレセンサカプセル150mg 添付文書」2026年5月改訂(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/450045_4291032M3021_1_08)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:2007年EML4-ALK発見、100万以上の化合物からのスクリーニング、2014年7月世界初承認、2020年2月未分化大細胞リンパ腫、2024年8月術後補助療法、2026年5月ALK陽性固形癌)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  3. Soda M, et al. Identification of the transforming EML4-ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer. Nature. 2007;448(7153):561-566(https://doi.org/10.1038/nature05945);Mano H. ALKoma: a cancer subtype with a shared target. Cancer Discov. 2012;2(6):495-502(https://doi.org/10.1158/2159-8290.CD-12-0009
  4. Kwak EL, et al. Anaplastic lymphoma kinase inhibition in non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2010;363(18):1693-1703(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1006448
  5. Hida T, et al. Alectinib versus crizotinib in patients with ALK-positive non-small-cell lung cancer (J-ALEX): an open-label, randomised phase 3 trial. Lancet. 2017;390(10089):29-39(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)30565-2
  6. Peters S, et al. Alectinib versus crizotinib in untreated ALK-positive non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2017;377(9):829-838(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1704795);Mok T, et al. Updated overall survival and final progression-free survival data for patients with treatment-naive advanced ALK-positive non-small-cell lung cancer in the ALEX study. Ann Oncol. 2020;31(8):1056-1064(https://doi.org/10.1016/j.annonc.2020.04.478
  7. Solomon BJ, et al. Alectinib in resected ALK-positive non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2024;390(14):1265-1276(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2310532
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん 治療」2026年8月26日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。