6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
患者さん自身のT細胞を取り出し、がんの目印をつかむ人工の受け皿の遺伝子を組み込んで増やし、体に戻す。2012年、白血病が2度再発した6歳の少女がこの治療で助かり、いまも再発していません。彼女を救ったのは、日本生まれの IL-6 の薬でした。「薬」の定義が、工場で作る分子から患者ごとに作る細胞へ変わった回です。 採って・作って・整えて・戻す4段階、1回の投与で半数前後のがんが消えた試験、リンパ腫の2つ目の治療で移植に勝った2022年、退院後4週間は病院の近くで過ごす理由、年単位で続く感染しやすさ、そして1回3,264万円の薬価と「自己負担は約41万円か6万円」という事実まで書きます。
この回の結論
- CAR-T細胞療法は、患者さん自身のT細胞を取り出し、がんの目印をつかむ「人工の受け皿(CAR)」の遺伝子を組み込んで増やし、体に戻す治療です。2012年、白血病が2度再発した6歳のエミリー・ホワイトヘッドがこの治療で助かり、いまも再発していません。2017年に米国、2019年に日本で最初の製品(キムリア)が承認されました。
- 薬を使い切った白血病・リンパ腫・骨髄腫で、1回の投与で半数前後の人のがんが消え、効いた人は年単位で効き続けます。いま日本では5つの製品が承認され、リンパ腫では2つ目の治療として使える製品もあります。
- 副作用は、T細胞が一斉に目を覚ますサイトカイン放出症候群(6〜8割)と神経の症状、そして何か月も続く感染しやすさです。治療は限られた病院の入院で行い、退院後も4週間は病院の近くにいます。薬価は1回3,264万〜3,509万円ですが、自己負担は高額療養費の上限までです。
この薬のプロフィール
| 一般名(商品名) | チサゲンレクルユーセル(キムリア)、アキシカブタゲン シロルユーセル(イエスカルタ)、リソカブタゲン マラルユーセル(ブレヤンジ)、イデカブタゲン ビクルユーセル(アベクマ)、シルタカブタゲン オートルユーセル(カービクティ) |
|---|---|
| 薬の家族 | CAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)。再生医療等製品(患者ごとに作る「生きた薬」) |
| 主に使うがん | 再発・難治のB細胞性急性リンパ性白血病(キムリアは25歳以下)、大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫(CD19 を狙う3製品)。再発・難治の多発性骨髄腫(BCMA を狙う2製品) |
| 使い方 | 白血球を採取(アフェレーシス)→工場で CAR の遺伝子を組み込んで増やす(数週間)→前処置の殺細胞薬(フルダラビン+シクロホスファミド)→1回だけ点滴。入院で行う |
| 日本での承認 | 2019年3月 キムリア(世界初は2017年8月、米国)。2021年1月 イエスカルタ、同年3月 ブレヤンジ、2022年1月 アベクマ、同年9月 カービクティ(2026年9月時点で薬価未収載・未発売) |
| 薬価の目安 | キムリア・イエスカルタ・アベクマ 32,647,761円、ブレヤンジ 35,096,343円(1患者あたり。薬価基準、令和8年8月13日適用) |
SECTION 01 生まれた日:6歳のエミリーと、日本生まれの「解毒剤」
「T細胞に、抗体の『つかむ部分』を人工的に付けたら、がんを狙って殺せるのではないか」。1989年、イスラエルのゼリグ・エシュハーがこの考えを形にし(Gross ら、PNAS 1989)、1993年に「T-body」として発表しました(Eshhar ら、PNAS 1993)。キメラ抗原受容体(CAR)の誕生です。 ただし、初期の CAR を付けたT細胞は体の中ですぐ疲れてしまい、効きませんでした。T細胞に「増えろ」「生き延びろ」の合図を送る部品(共刺激分子)を CAR に足した「第2世代」が2000年代に作られ、ようやく人で試せるようになります。
2010年、米国国立がん研究所がリンパ腫の患者でがんの縮小を報告し(Kochenderfer ら、Blood 2010)、2011年、ペンシルベニア大学のカール・ジューンらが、慢性リンパ性白血病の患者で、投与した細胞が体内で1,000倍以上に増えてがんを根絶やしにしたと報告しました(Porter ら、NEJM 2011)。 そして2012年4月、白血病が2度再発し、もう治療がなかった6歳の少女エミリー・ホワイトヘッドが、フィラデルフィア小児病院でこの治療(CTL019)を受けます。投与後、41度の高熱と血圧低下、呼吸不全。集中治療室で、もう助からないと思われました。
血液を調べると、炎症の伝令物質 IL-6 が極端に増えていました。医師は、IL-6 をふさぐ関節リウマチの薬トシリズマブ(アクテムラ)を投与します。数時間で熱が下がり、エミリーは目を覚ましました。がんは消え、2026年のいまも再発していません(Grupp ら、NEJM 2013)。 トシリズマブは、大阪大学の岸本忠三らの IL-6 の研究から中外製薬が作った、日本生まれの薬です。CAR-T細胞療法の副作用の「解毒剤」が、その最初の成功を支えました。2017年8月、米国で世界初の CAR-T細胞療法(キムリア)が承認され、日本は2019年3月26日に承認、5月に発売されました(キムリアの添付文書)。
- 1989〜93年イスラエルで、T細胞に抗体の「つかむ部分」を付ける CAR の考えが生まれる(Gross 1989、Eshhar 1993)。
- 2000年代「増えろ」の合図を足した第2世代 CAR。人で効くようになる。
- 2010〜11年米国でリンパ腫・白血病の患者に効果(Kochenderfer 2010、Porter 2011)。
- 2012年4月、6歳のエミリー・ホワイトヘッドが治療を受け、トシリズマブで救命。がんが消える(Grupp ら、NEJM 2013)。
- 2017年8月、米国で世界初の承認(キムリア、小児・若年の急性リンパ性白血病)。10月、イエスカルタ(リンパ腫)。
- 2019年3月26日、日本でキムリアを承認。5月、薬価3,349万円で収載(当時の最高額)。
- 2021〜22年日本でイエスカルタ、ブレヤンジ、アベクマ、カービクティを承認。リンパ腫の2つ目の治療で、標準治療(移植)に勝つ(Locke ら、NEJM 2022)。
- 2023年骨髄腫の早い段階で、標準治療に勝つ(San-Miguel ら、NEJM 2023)。
SECTION 02 どうやって効くのか:採って、作って、戻す。1回で終わる
治療は4段階です。採る:腕の血管から血液を回して白血球だけを集めます(アフェレーシス、3〜4時間)。作る:細胞を工場に送り、ウイルスで CAR の遺伝子を入れ、数億〜数十億個に増やして凍結します(数週間。日本では海外の工場に送ることが多く、通常1〜2か月)。整える:戻す前に、殺細胞薬(フルダラビン+シクロホスファミド、第2回)で体のリンパ球を減らし、新しい細胞の居場所を作ります。戻す:1回、点滴で入れます。 入れた細胞は数日〜2週間で爆発的に増え、がんを攻めます。そのときに起こるのが、サイトカイン放出症候群です。
- 1回で終わる抗体や飲み薬と違い、投与は1回です。効いた人では、細胞が何年も体に残り、再発を見張ります。「治療が終わったあと」の時間が長いのが特徴です。
- 正常なB細胞も消えるCD19 は正常なB細胞にもあるので、CAR-T細胞が残る間、B細胞は作られません(B細胞無形成)。抗体が作れず、感染症にかかりやすくなるため、免疫グロブリンの補充を続けます。骨髄腫の BCMA でも同じことが起こります。
- 作れないことがある細胞が足りない、増えない、規格に合わない、製造中に病気が進む。添付文書は「製品が提供されない可能性」を事前に説明するよう定めています。作る間の「つなぎの治療」も要ります。
SECTION 03 なぜ「最後の手段」から「2つ目の治療」になったのか
2018年、再発または治らない小児・若年の急性リンパ性白血病75人にキムリアを1回投与したところ、3か月後に81%が寛解に入り、1年後に生きていた人は76%でした(Maude ら、NEJM 2018)。それまで、この状態の子どもの多くは1年以内に亡くなっていました。 大人の大細胞型B細胞リンパ腫では、2つ以上の治療のあとの93人でキムリアが52%に効き、40%でがんが消え(Schuster ら、NEJM 2019)、イエスカルタは101人の82%に効き、54%でがんが消えました(Neelapu ら、NEJM 2017)。
2022年、決定的な比較試験が出ます。最初の治療から1年以内に再発した大細胞型B細胞リンパ腫359人を、くじ引きで「イエスカルタ」と「標準治療(殺細胞薬のあと自家移植)」に分けました。2年後に病気が進まずにいた人は、標準治療16%に対して41%。CAR-T細胞療法が、最後の手段ではなく、2つ目の治療として移植に勝ちました(Locke ら、NEJM 2022)。
骨髄腫でも同じことが起こりました。3つ以上の治療のあとの128人で、アベクマは73%に効き(Munshi ら、NEJM 2021)、カービクティは97人の97%に効きました(Berdeja ら、Lancet 2021)。そして2023年、1〜3つの治療のあとの419人で、カービクティは標準治療に対して病気が進むリスクを74%減らしました(San-Miguel ら、NEJM 2023)。 薬を使い切ってから、ではなく、もっと早く使う。CAR-T細胞療法の使いどころは、この10年で前へ動きました。
| 製品(商品名) | つかむ目印 | 使う場面(添付文書) | 決め手になった試験 |
|---|---|---|---|
| キムリア | CD19 | 25歳以下の再発・難治B細胞性急性リンパ性白血病。2つ以上の治療のあとの大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫 | ELIANA(Maude 2018、寛解81%)、JULIET(Schuster 2019) |
| イエスカルタ | CD19 | 大細胞型B細胞リンパ腫(最初の治療から1年以内の再発なら2つ目の治療として)、濾胞性リンパ腫 | ZUMA-1(Neelapu 2017)、ZUMA-7(Locke 2022、2年無事16→41%) |
| ブレヤンジ | CD19 | 大細胞型B細胞リンパ腫(2つ目の治療から)、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫 など | TRANSCEND、TRANSFORM |
| アベクマ | BCMA | 3つ以上の治療のあとの多発性骨髄腫 など | KarMMa(Munshi 2021、奏効73%)、KarMMa-3(Rodriguez-Otero 2023) |
| カービクティ | BCMA | 1つ以上の治療のあとで レナリドミドが効かない多発性骨髄腫(2026年9月時点で未発売) | CARTITUDE-1(Berdeja 2021、奏効97%)、CARTITUDE-4(San-Miguel 2023、進行リスク74%減) |
表1 日本で承認された CAR-T細胞療法(添付文書による、2026年9月時点)。使える場面は製品ごとに細かく決まっており、いずれも CAR-T細胞療法を受けたことがない人が対象。
CAR-T細胞療法は「再生医療等製品」で、国が定めた「最適使用推進ガイドライン」に沿って、造血幹細胞移植と血液がんの治療に十分な経験を持ち、集中治療の体制がある病院だけが実施できます。全国で数十施設に限られ、住んでいる地域によっては遠くの病院に通うことになります。 製品ごとに「使ってよい条件」(年齢、病気、前の治療の数、CAR-T細胞療法の治療歴がないこと)が添付文書に明記され、細胞の製造に使う白血球を採る前に、条件を満たすかどうかが確かめられます。
SECTION 04 副作用と、家でできること:退院後4週間は病院の近くに
キムリアの添付文書では、サイトカイン放出症候群60%、脳症など神経系の事象11%、感染症18%、低γグロブリン血症21%、投与28日目までに回復しない重度の好中球減少29%・血小板減少30%、腫瘍崩壊症候群2%です。 カービクティの添付文書では、サイトカイン放出症候群83.1%、神経系の事象29.8%(パーキンソン病のような症状2.0%を含む)、感染症29.8%、血球減少74.5%、低γグロブリン血症32.8%。CAR-T細胞を起源とするリンパ腫や、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病が投与後に起こった例も記されています。
投与から2〜4週間は入院です。サイトカイン放出症候群(発熱、血圧低下、酸素の低下)は投与後2〜10日に多く、トシリズマブとステロイドで治療します。神経の症状(言葉が出ない、字が書けない、錯乱、けいれん)は1〜2週目に多く、多くは治ります。 退院してからも、添付文書は投与後しばらく病院の近くにとどまることを求めており、通常4週間は病院から1時間以内の場所で、家族と一緒に過ごします。
家で見るのは体温(発熱はサイトカイン放出症候群の再燃か感染症)、言葉と字(毎日、日付と短い文を書く)、出血と息切れ(血球減少は何か月も続くことがあり、輸血が要ることも)、そして感染症(B細胞が消えて抗体が作れないため、半年〜数年、免疫グロブリンの補充と予防薬を続けます)。 投与後8週間は車の運転ができません。ワクチンは、免疫が戻ってから打ち直すことがあります。
-
こんなときは38度以上の発熱、悪寒、ふらつき、息苦しさ(退院後も)こうするサイトカイン放出症候群か感染症。解熱剤で様子を見ず、すぐ治療した病院へ連絡する
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こんなときは言葉が出にくい、字が書けない、日付が分からない、強い眠気、手の震え、けいれんこうする神経の症状。救急に電話する。運転はさせない
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こんなときは鼻血や歯ぐきの出血が止まらない、あざが増える、階段で息が切れる、動悸こうする血小板・赤血球の減少の合図。その日のうちに受診して採血する
治療前に B型・C型肝炎、HIV の検査をします(再活性化や悪化のおそれ)。添付文書には、CAR-T細胞を起源とするT細胞のリンパ腫や、二次性の血液がん(骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病)が投与後に起こった例が記され、長期の経過観察を求めています。治療後は長年にわたり、採血と診察を続けます。 本人以外に投与できない「自分だけの薬」なので、製造中に転院したり、住所や連絡先が変わったりするときは、必ず病院に伝えます。
CAR-T細胞療法を受けた方が家に帰ってくるのは、投与から1〜2か月後です。私たちが引き受けるのは、「そのあとの長い時間」です。免疫グロブリンの点滴、感染症の予防薬、血球の採血、そして「発熱したらどこへ連絡するか」の紙が冷蔵庫に貼ってあるかの確認。 効いた方は、がんのない時間を家で過ごします。効かなかった方は、次の治療(二重特異性抗体、第42回)へつなぐ間を家で過ごします。どちらの時間も、私たちが支える仕事です。
3,264万円の薬価は、この連載で最も高い数字です。それでも、患者さんの自己負担は高額療養費の上限までで、70歳以上・一般なら入院の月に世帯で61,500円です。この事実を知らずに「お金がないから受けられない」と思っている方に出会ったことがあります。制度の説明も、在宅医の仕事です。
SECTION 05 薬価と自己負担:1回3,264万円、自己負担は上限まで
キムリア・イエスカルタ・アベクマは1患者あたり32,647,761円、ブレヤンジは35,096,343円(薬価基準、令和8年8月13日適用)。2019年5月にキムリアが33,493,407円で収載されたとき、当時の最高額として大きく報じられました。カービクティは2022年に承認されましたが、2026年9月時点で薬価が決まっておらず、発売されていません。 これに、細胞を採る費用、前処置の殺細胞薬、入院費、トシリズマブなどの副作用の治療が加わります。
自己負担は高額療養費の上限までです。70歳未満・年収約370〜770万円なら、薬価3,264万円の月は85,800円+(32,647,761−286,000)×1%=約41万円。同じ年に3回以上上限に達していれば44,400円です。70歳以上・一般なら入院は世帯で月61,500円が上限です(第1回の表1)。 「3,000万円の治療」は、患者さんにとっては「41万円か、6万円の治療」です。残りは保険料と税金で支えられており、対象を「効くことが証明された人」に限る仕組み(最適使用推進ガイドライン)は、そのためにあります。
「薬」の定義が変わった。工場で作る分子から、患者ごとに作る細胞へ。
この連載は、毒ガスから始まりました(第2回)。80年後、薬は「患者さん自身の細胞」になりました。第1回の副題「毒ガスから『自分の細胞』まで」は、この回のことです。 1回で終わり、効けば何年も残る。作るのに数週間かかり、作れないこともある。3,000万円だが、自己負担は上限まで。がんの薬のあらゆる常識が、ここで書き換えられています。
在宅の私たちが向き合うのは、治療のあとの長い時間です。免疫グロブリンの点滴を続け、発熱の連絡先を確かめ、「がんのない時間」を家で過ごす人を見守る。エミリーが14年前に手に入れた時間を、日本の患者さんも手に入れられるようになった。その時間を支えるのが、私たちの仕事です。
「この薬、家ではどう気をつければいいですか」と聞ける主治医を、持ってください。
ふくろう訪問クリニックは、福岡市早良区の在宅医療のクリニックです。 ご自宅はもちろん、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームへも医師が伺います。 病院で抗がん剤の治療を受けながら、家での体調管理や副作用の相談をしたい。飲み薬の治療を家で続けている。 病院の治療を終えて、これからの暮らしを考えたい。どの段階のご相談でもかまいません。ご家族だけでのお問い合わせも歓迎します。
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Q&A よくある質問
この回のチェックリスト(第43回ぶん)
- 退院後4週間は病院から1時間以内の場所で、家族と一緒に過ごす。
- 38度以上の発熱は、解熱剤で様子を見ずに、すぐ治療した病院へ連絡する。
- 毎日、日付と短い文を書く。言葉・字・見当識の異常は救急へ。投与後8週間は運転しない。
- 免疫グロブリンの補充と感染症の予防薬を、指示された期間続ける。出血やあざが増えたら採血へ。
- 「つなぎの治療」と「製品が届かなかったときの次の手」を、細胞を採る前に聞いておく。
この回に関連する記事
連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。
- 幹細胞・遺伝子治療をうたうがん自由診療:詐欺医療に騙されない「細胞治療」「遺伝子治療」を名乗る自由診療と、国の承認を受けた CAR-T細胞療法がどう違うかを説明しています。
- 免疫細胞療法(ANK療法・樹状細胞療法など):詐欺医療に騙されない自由診療の「免疫細胞療法」と、この回の治療の違いを見分ける材料です。
- 根拠には強さの順番がある:詐欺医療に騙されないこの回の「決め手になった試験」が、体験談・動物実験・比較試験のどの段にあるかを、一枚の表で確かめられます。
- 臨床試験で確かめること第1相〜第3相の試験がそれぞれ何を確かめる段階なのかを、人数と期間まで含めて説明しています。
連載「優秀な抗がん剤」全50回
- 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
- シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
- メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
- フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
- ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
- ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
- シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
- カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
- パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
- ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
- ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
- ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
- テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
- オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
- イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
- S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
- タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
- アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
- リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
- エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
- リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
- トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
- ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
- セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
- ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
- イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
- オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
- アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
- レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
- エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
- CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
- オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
- RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
- レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
- ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
- ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
- トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
- イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
- ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
- ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
- アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
- 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
- CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
- mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
- トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
- エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
- ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
- がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
- 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
- リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る
薬のこと・お金のことの相談先
電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。
- 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
- がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
- がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
- くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
- 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。
REFERENCE 参考資料
- ノバルティス ファーマ「キムリア点滴静注 添付文書」(販売開始2019年5月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/saiseiDetail/ResultDataSetPDF/300242_4900402X1020_A_02_09);ヤンセンファーマ「カービクティ点滴静注 添付文書」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/saiseiDetail/ResultDataSetPDF/800155_4900X0000171_A_01_10)
- 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html)
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