エベロリムス:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第30回/全50回
エベロリムス

イースター島の土から見つかった成分の子孫

1964年、イースター島で採られた土の中の細菌から、「ラパマイシン」という物質が見つかりました。研究所の閉鎖と家庭用冷凍庫を経て、細胞の成長スイッチを止めるこの物質は、移植の薬になり、改良されてがんの薬になりました。 腎がん、神経内分泌腫瘍、乳がんで進行までの期間を2〜3倍にした試験、口内炎をうがい薬で33%から2%に減らした工夫、間質性肺炎と感染と血糖の見張り、月32万円の薬代まで書きます。

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この回の結論

  1. 1964年にイースター島で採られた土の中の細菌から、「ラパマイシン」という物質が見つかりました。細胞の成長のスイッチ(エムトール)を止めるこの物質を改良したのがエベロリムスで、最初は臓器移植の拒絶反応を抑える薬、次にがんの薬になりました。日本では2010年に腎がんで承認されています。
  2. 腎細胞がん、神経内分泌腫瘍、ホルモン受容体陽性の乳がんで、進行までの期間を2〜3倍に延ばします。ただし、いまはより新しい薬が先に使われることが多く、「効かなくなったあと」の選択肢になっています。
  3. 副作用の中心は口内炎(62%)で、ステロイドのうがい薬で予防できます。間質性肺炎(12%)、感染症、血糖とコレステロールの上昇も見張ります。薬代は月約32万円で、3割負担では高額療養費の上限に届きます。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)エベロリムス(アフィニトール錠。移植用は「サーティカン錠」)
薬の家族分子標的薬(エムトール阻害薬。ラパマイシンの誘導体)
主に使うがん根治切除できない腎細胞がん、神経内分泌腫瘍(膵臓、消化管、肺)、ホルモン受容体陽性の手術不能・再発乳がん(ホルモン療法と組む)、結節性硬化症にともなう腫瘍
使い方飲み薬。1日1回10mg。副作用に応じて5mg、2.5mgに減らす
日本での承認2010年1月(腎細胞がん)。2011年膵神経内分泌腫瘍、2012年結節性硬化症、2014年乳がん、2016年神経内分泌腫瘍全体
薬価の目安アフィニトール錠5mg 5,357.6円、2.5mg 2,518円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:イースター島の土、家庭用冷凍庫、そして移植の薬から

1964年、カナダの調査隊が太平洋の孤島イースター島(現地名ラパ・ヌイ)で土を採りました。モントリオールの製薬会社エアストの研究者スレン・セーガルは、その土の中の放線菌が作る物質に、カビの増殖を止める働きを見つけ、島の名前から「ラパマイシン」と名づけます(Sehgal ら、J Antibiot 1975)。 抗真菌薬としては物にならず、しかし免疫を抑える働きと、がん細胞の増殖を止める働きがあることが分かってきました。

1983年、会社の方針で研究所が閉じられ、セーガルは菌を自宅の冷凍庫に保管して数年を耐えたと伝えられています(Seto、Clin Transl Med 2012)。研究が再開され、1994年にはラパマイシンが結びつく相手、細胞の成長のスイッチ「エムトール」が見つかります(Sabatini ら、Cell 1994)。 1999年、ラパマイシンは腎移植の拒絶反応を抑える薬として米国で承認されました。スイスのサンド社(現ノバルティス)は、飲みやすく改良したエベロリムスを作り、まず移植の薬に、次にがんの薬として開発します。2009年に米国、2010年に日本で、腎細胞がんに承認されました。

  • 1964年イースター島で土が採られる。1972年、モントリオールでラパマイシンが分離される。
  • 1975年ラパマイシンの論文。抗真菌薬としては実らず、免疫抑制と増殖抑制の働きが見つかる。
  • 1994年ラパマイシンが結びつく細胞の成長スイッチ「エムトール」が発見される。
  • 1999年ラパマイシン(シロリムス)が腎移植の薬として米国で承認。サンド社の改良型エベロリムスも移植の薬に。
  • 2008年腎細胞がんで、他の薬が効かなくなったあとに進行を遅らせると報告(RECORD-1試験)。2009年米国、2010年1月日本で承認。
  • 2011年膵臓の神経内分泌腫瘍で進行までの期間を2倍以上に(RADIANT-3試験)。12月、日本で承認。
  • 2012〜16年ホルモン受容体陽性乳がん(2014年)、肺・消化管の神経内分泌腫瘍(2016年)に承認。2017年、口内炎をステロイドのうがいで防げると報告(SWISH試験)。
エムトール(mTOR)とは、細胞の中で「栄養が足りている、成長してよい」という合図をまとめる酵素です。名前は「ラパマイシンの標的」という意味。多くのがんでこのスイッチが入りっぱなしになっています。 エベロリムスはこのスイッチを止め、がん細胞の成長と、腫瘍への血管の伸びを抑えます。
ここだけ覚える土の中の細菌の産物が、移植の薬を経て、がんの薬になった。標的は細胞の「成長スイッチ」。

SECTION 02 どうやって効くのか:成長スイッチを切る。だから口内炎と感染が出る

エベロリムスは、細胞の中でエムトールに結びつき、たんぱく質を作る合図と、栄養を取り込む合図を止めます。がん細胞は「成長したいのに材料が来ない」状態になり、増殖が止まります。 殺すというより「止める」薬なので、腫瘍が消えることは少なく、進行を遅らせるのが主な効き方です。

  • 粘膜と免疫にも効いてしまう口の粘膜や免疫の細胞も同じスイッチで働いているので、口内炎と感染症が出ます。血糖やコレステロールを調節する働きにも関わるため、糖尿病や脂質異常が悪化することがあります。
  • ホルモン療法と組む理由乳がんがホルモン療法(第17・18回)に抵抗するとき、この成長スイッチを使って生き延びていることがあります。スイッチを切ると、ホルモン療法がまた効くようになります。
  • 移植の薬と同じ成分移植の拒絶反応を抑えるサーティカン錠と同じ成分です。がんでは量が多く(1日10mg)、免疫を抑える副作用がはっきり出ます。
ここだけ覚える殺すのではなく「止める」薬。粘膜と免疫も止まるから、口内炎と感染に注意。

SECTION 03 なぜ使われるのか:3つのがんで進行を2〜3倍遅らせた

決め手になった試験

2008年、先に使った薬が効かなくなった腎細胞がん410人を、くじ引きで「エベロリムス」と「偽薬」に分けました。進行までの期間は1.9か月から4.0か月に延び、進行のリスクは70%減りました(Motzer ら、Lancet 2008、RECORD-1試験)。 2011年、進行した膵臓の神経内分泌腫瘍410人では4.6か月から11.0か月に(Yao ら、NEJM 2011、RADIANT-3試験)、2016年、肺や消化管の神経内分泌腫瘍302人では3.9か月から11.0か月に延びました(Yao ら、Lancet 2016、RADIANT-4試験)。

2012年、アロマターゼ阻害薬(第18回)が効かなくなった閉経後の乳がん724人では、エキセメスタンにこの薬を足すと、進行までの期間が2.8か月から6.9か月に延びました(Baselga ら、NEJM 2012、BOLERO-2試験)。 この試験で最も多かった副作用が口内炎(59%)でしたが、2017年、デキサメタゾンのうがい薬を最初から使うと、中等度以上の口内炎が33%から2%に減ることが示されました(Rugo ら、Lancet Oncol 2017、SWISH試験)。

がん使い方決め手になった試験
腎細胞がん免疫の薬やレンバチニブ(第29回)などのあとRECORD-1 2008(進行まで1.9→4.0か月)
神経内分泌腫瘍(膵臓・消化管・肺)単独で。ソマトスタチン製剤などと使い分けるRADIANT-3 2011(4.6→11.0か月)、RADIANT-4 2016(3.9→11.0か月)
ホルモン受容体陽性の乳がんエキセメスタンと組む。CDK4/6阻害薬(第31回)のあとが多いBOLERO-2 2012(2.8→6.9か月)
結節性硬化症の腫瘍腎血管筋脂肪腫、脳の腫瘍。分散錠は小児にもEXIST試験(2012年承認)

表1 エベロリムスの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。腎がんと乳がんでは、より新しい薬が先に使われ、この薬は「そのあと」の位置になっている。

制度のしくみ

添付文書の対象は、根治切除不能または転移性の腎細胞がん、神経内分泌腫瘍、手術不能または再発乳がん、結節性硬化症です。効き目を前もって調べる遺伝子検査はありません。 警告として、間質性肺疾患で亡くなった例があること、治療前と治療中に定期的な胸のCT検査、B型肝炎ウイルスの再活性化への注意が定められています。

ここだけ覚える3つのがんで進行までの期間が2〜3倍。口内炎は、うがい薬で33%から2%に。

SECTION 04 副作用と、家でできること:口内炎、肺、感染、血糖

添付文書の集計では、口内炎62.1%、感染症28.9%、貧血14.1%、間質性肺疾患11.6%、高血糖8.6%、血小板減少8.6%、好中球減少6.7%。ほかに発疹、疲労、下痢、吐き気、食欲低下、味覚の変化、高コレステロール血症が10%以上です。 重大なものとして、間質性肺疾患で亡くなった例、日和見感染、B型肝炎の再活性化、腎不全、創傷治癒の遅れ、血栓症が記されています。

副作用と、家でできること

口内炎は飲み始めの2〜4週間に出ます。デキサメタゾンのうがい薬を最初から1日4回、飲み込まずに吐き出す方法で、多くを防げます。やわらかい歯ブラシ、刺激の少ない食事、口の乾きには水分(がん情報サービス「口内炎・口内の乾燥」)。 感染は、手洗い、人混みでのマスク、発熱時の早い受診。生ワクチンは受けられません。

は、空咳・息切れ・発熱が出たら日数に関係なく連絡します。病院では治療前と定期的に胸のCTを撮ります。 血糖とコレステロールは採血で見て、必要なら薬を足します。糖尿病のある人は家での血糖測定を続けます。は治りが遅いので、手術や抜歯の予定は前もって伝えます。

  • こんなときは空咳が増えた、息切れ、微熱が続く
    こうする間質性肺炎の合図。日数に関係なく、その日のうちに病院へ連絡する
  • こんなときは37.5度以上の熱、寒気、咳と痰、排尿時の痛み
    こうする感染の合図。免疫が落ちているので、待たずに受診する
  • こんなときは口内炎で水も飲めない、のどの渇きと多尿(血糖の上昇)
    こうする脱水と高血糖の合図。その日のうちに連絡する。休薬や減量で回復する
気をつけること

治療前にB型肝炎ウイルスの検査を受けます。グレープフルーツと、飲み合わせの多い薬(一部の抗真菌薬、抗菌薬、てんかんの薬など)は薬剤師に確かめます。 手術の前後は使えないことがあります。妊娠中は使えず、治療後8週間は避妊が必要です。

在宅の現場では

口内炎で食べられなくなり、薬をやめざるをえなかった方を、うがい薬が広まる前には何人も見ました。いまは「飲み始めと同時にうがい薬」が当院の決まりです。 うがい薬は飲み込まないこと、食後と寝る前の1日4回、を紙にして洗面所に貼ってもらいます。

神経内分泌腫瘍でこの薬を長く飲んでいる方は、進行がゆっくりで、暮らしは比較的保たれます。半年ごとの胸のCTと、毎回の採血(血糖・脂質)を、忘れずに続けてもらいます。

ここだけ覚えるうがい薬は初日から1日4回。空咳と発熱は電話。血糖と脂質は採血で。

SECTION 05 薬価と自己負担:1日約1万1千円、月約32万円

薬価と自己負担の目安

アフィニトール錠5mgは5,357.6円。1日10mg(2錠)で1日10,715円、30日で約32万1千円です。5mgに減らせば月約16万1千円、2.5mg錠(2,518円)を組み合わせて細かく調整できます(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 3割負担なら月約9万6千円ですが、高額療養費で、70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%=約8万6千円、4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円が上限です(第1回の表1)。

うがい薬(デキサメタゾンのエリキシル)は保険で処方され、月数百円です。この小さな薬代が、月32万円の薬を続けられるかどうかを左右します。

本剤の投与により、間質性肺疾患が認められており、死亡に至った例が報告されている。投与に際しては咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状に注意するとともに、投与前及び投与中は定期的に胸部CT検査を実施すること。 出典:ノバルティス ファーマ「アフィニトール錠2.5mg・5mg 添付文書」2024年6月改訂、警告の項
ここだけ覚える月32万円の薬を続ける鍵は、月数百円のうがい薬。
在宅医の視点

薬の価値は、副作用を防ぐ工夫で変わる。

エベロリムスは、効き目の数字だけ見れば「進行を数か月遅らせる薬」です。けれども、口内炎を防ぐうがい薬という小さな工夫が広まって、続けられる人が増え、薬の価値が変わりました。 薬そのものは2010年から同じです。変わったのは使い方です。

土の中の細菌の産物が、研究所の閉鎖と家庭用冷凍庫を経て薬になった話は、薬の歴史の中でも私の好きな話のひとつです。研究を続けた人がいなければ、この薬はありませんでした。

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Q&A よくある質問

Qうがい薬は口内炎が出てから使えばよいですか。
A出る前から使ってください。試験では、飲み始めと同時にデキサメタゾンのうがい薬を1日4回使った人で、中等度以上の口内炎が2%にとどまりました。出てから使うより、予防のほうがはるかに効きます。飲み込まずに吐き出す、使ったあと1時間は飲食を控える、が使い方のこつです。8週間ほど続け、そのあとは主治医と相談します。
Q糖尿病があります。この薬は使えますか。
A使えますが、血糖が上がりやすくなるので、糖尿病の薬の調整が必要になることがあります。家での血糖測定を続け、のどの渇きや多尿が出たら連絡してください。コレステロールや中性脂肪も上がるので、採血のたびに確かめます。糖尿病があること自体は、この薬をあきらめる理由にはなりません。
Q腎がんで「この薬はあとのほう」と言われました。なぜですか。
A腎がんの一次治療は、この10年で免疫チェックポイント阻害薬(第38〜41回)と、それに組む飲み薬(第29回)に変わり、進行までの期間や生存の延びがエベロリムスより大きいためです。エベロリムスは、それらが効かなくなったあとの選択肢として残っています。「あと」であっても、進行を遅らせる力が試験で示された薬です。

この回のチェックリスト(第30回ぶん)

  • デキサメタゾンのうがい薬を飲み始めと同時に、1日4回、飲み込まずに。
  • 空咳・息切れ・微熱、37.5度以上の熱は、日数に関係なく連絡する。
  • 治療前のB型肝炎の検査結果をお薬手帳に書いた。生ワクチンは受けない。
  • 糖尿病・脂質の薬の調整を主治医と共有した。家での血糖測定を続ける。
  • 手術・抜歯の予定は前もって伝える。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. ノバルティス ファーマ「アフィニトール錠2.5mg・5mg 添付文書」2024年6月改訂(販売開始2010年4月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/300242_4291023F1020_1_28)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:2009年3月米国承認、2010年1月日本承認、2011年12月膵神経内分泌腫瘍、2012年11月結節性硬化症、2014年3月乳癌、2016年8月神経内分泌腫瘍)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
  3. Vézina C, Kudelski A, Sehgal SN. Rapamycin (AY-22,989), a new antifungal antibiotic. I. Taxonomy of the producing streptomycete and isolation of the active principle. J Antibiot. 1975;28(10):721-726(https://doi.org/10.7164/antibiotics.28.721);Sehgal SN, Baker H, Vézina C. Rapamycin (AY-22,989), a new antifungal antibiotic. II. Fermentation, isolation and characterization. J Antibiot. 1975;28(10):727-732(https://doi.org/10.7164/antibiotics.28.727
  4. Seto B. Rapamycin and mTOR: a serendipitous discovery and implications for breast cancer. Clin Transl Med. 2012;1(1):29(https://doi.org/10.1186/2001-1326-1-29);Sabatini DM, et al. RAFT1: a mammalian protein that binds to FKBP12 in a rapamycin-dependent fashion and is homologous to yeast TORs. Cell. 1994;78(1):35-43(https://doi.org/10.1016/0092-8674(94)90570-3
  5. Motzer RJ, et al. Efficacy of everolimus in advanced renal cell carcinoma: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase III trial. Lancet. 2008;372(9637):449-456(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(08)61039-9
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  7. Baselga J, et al. Everolimus in postmenopausal hormone-receptor-positive advanced breast cancer. N Engl J Med. 2012;366(6):520-529(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1109653);Rugo HS, et al. Prevention of everolimus-related stomatitis in women with hormone receptor-positive, HER2-negative metastatic breast cancer using dexamethasone mouthwash (SWISH). Lancet Oncol. 2017;18(5):654-662(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(17)30109-2
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「腎臓がん(腎細胞がん) 治療」2023年1月12日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/treatment.html)、「肺神経内分泌腫瘍」2026年3月13日更新(https://ganjoho.jp/public/cancer/pulmonary_neuroendocrine_tumor/index.html)、「口内炎・口内の乾燥」2025年10月21日更新(https://ganjoho.jp/public/support/condition/stomatitis/index.html
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。