オラパリブ:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第32回/全50回
オラパリブ

「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査

正常な細胞はDNAの傷を直す道を2本持ち、生まれつきBRCA遺伝子に変異のある人のがん細胞は1本しか持たない。残る1本をふさげば、がん細胞だけが死ぬ。2005年に英国の2つのグループが示した「合成致死」という発想は、13年後に日本の標準治療になりました。 卵巣がんで2年飲んで7年生存が47%から67%に上がった試験、手術後の乳がんで再発を4割減らした試験、吐き気と貧血の手当て、BRCA検査が本人と家族にもつ意味、月57万円の薬代まで書きます。

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この回の結論

  1. 細胞にはDNAの傷を直す道が何本もあります。生まれつきBRCA遺伝子に変異がある人のがん細胞は、そのうち1本(相同組換え)が壊れています。オラパリブは別の1本(PARP)をふさぐ飲み薬で、両方ふさがれたがん細胞だけが死にます。この「合成致死」という発想を、初めて薬にしました。
  2. 日本では2018年に卵巣がんで承認され、乳がん、前立腺がん、膵がん、子宮体がんに広がりました。進行卵巣がんでは、化学療法のあとに2年飲む「維持療法」で、7年後に生きている人が47%から67%に増えました。手術後の乳がんでは1年飲むと再発が4割減ります。
  3. 副作用は吐き気(47%)、疲れ(37%)、貧血(30%)が中心で、多くは飲み始めの数週間で慣れます。まれに骨髄異形成症候群、間質性肺炎。薬代は月約57万円で、高額療養費の上限に届きます。BRCA検査は、条件を満たせば保険で受けられます。

この薬のプロフィール

一般名(商品名)オラパリブ(リムパーザ錠)
薬の家族分子標的薬(PARP阻害薬。DNAの修復酵素をふさぐ飲み薬)
主に使うがん卵巣がん(初回化学療法後の維持療法、再発後の維持療法)、BRCA変異のある乳がん(進行例、手術後)、BRCA変異のある去勢抵抗性前立腺がん、BRCA変異のある膵がん(化学療法後の維持療法)、子宮体がんの維持療法
使い方飲み薬。1回300mgを1日2回。卵巣がんの初回維持療法は2年、乳がんの術後は1年まで。100mg錠と150mg錠は交換できない
日本での承認2018年1月(再発卵巣がん)。2018年乳がん、2019年卵巣がん初回維持、2020年前立腺がん・膵がん、2022年術後乳がん、2024年子宮体がん
薬価の目安リムパーザ錠150mg 4,788円、100mg 3,225.1円(薬価基準、令和8年8月13日適用)

SECTION 01 生まれた日:「片方が壊れているなら、もう片方をふさげ」

細胞のDNAは毎日傷つき、毎日直されています。直す道は何本もあり、小さな傷はPARPという酵素が、二本鎖が切れる大きな傷はBRCA1・BRCA2という遺伝子の働き(相同組換え)が担います。 生まれつきBRCAに変異のある人は、乳がんや卵巣がんになりやすく、そのがん細胞では大きな傷を直す道が壊れています。

2005年、英国の2つのグループが同時に、「PARPをふさぐと、BRCAの壊れたがん細胞だけが死ぬ」ことを示しました(Bryant ら、Farmer ら、Nature 2005)。正常な細胞は両方の道を持つので生き残る。片方ずつなら平気で、両方失うと死ぬ。この関係を「合成致死」と呼びます。 英国ケンブリッジの小さな会社キューダス(KuDOS)がPARPをふさぐ化合物(オラパリブ)を作り、2006年にアストラゼネカが会社ごと買い取ります。2009年、BRCA変異のある人の6割で腫瘍が縮むか止まることが示され(Fong ら、NEJM 2009)、2014年、欧州で最初に承認されました。

  • 1990年代乳がん・卵巣がんの家系でBRCA1(1994年)、BRCA2(1995年)が見つかる。
  • 2005年「PARPをふさぐと、BRCAの壊れたがん細胞だけが死ぬ」と2つのグループが報告。
  • 2009年オラパリブの最初の人での試験。BRCA変異のある人の63%で効果。
  • 2012年再発卵巣がんで、化学療法のあとに飲み続けると進行が遅れると報告(維持療法という使い方)。
  • 2013年俳優アンジェリーナ・ジョリーがBRCA1変異と予防的な乳房切除を公表し、遺伝子検査が広く知られる。
  • 2014年欧州で承認。2018年1月、日本で再発卵巣がんに承認。同年、乳がん。
  • 2018〜20年進行卵巣がんの初回維持療法、前立腺がん、膵がんで効果が証明され、日本でも承認。2022年、乳がんの術後。2024年、子宮体がん。
維持療法とは、化学療法でがんが小さくなったあと、その状態を保つために薬を飲み続けることです。オラパリブは、白金製剤(第7・8回)が効いたあとに飲むと、残った細胞の再発を遅らせます。 「がんが消えているのに薬を飲む」使い方は、この薬で卵巣がんの標準になりました。
ここだけ覚える正常な細胞は2本の道、がん細胞は1本。残る1本をふさぐと、がん細胞だけが死ぬ。

SECTION 02 どうやって効くのか:修復酵素をふさぎ、修復のできない細胞を追い込む

オラパリブはPARPの働きを止め、さらにPARPをDNAの上に「はりつけたまま」にします。細胞がDNAを複製するとき、はりついたPARPにぶつかって二本鎖が切れ、それを直せないBRCA変異の細胞は死にます。 BRCA以外にも、相同組換えの道が壊れている(相同組換え修復欠損)がんには同じように効くので、卵巣がんではその検査も使います。

  • 白金製剤が効いた人に効く白金製剤(第7・8回)もDNAに傷をつける薬なので、それが効いた人は修復の道が壊れている可能性が高く、この薬も効きやすいと考えられます。維持療法で使う理由です。
  • 正常な細胞にも少し届く骨髄の細胞はDNAの修復を頻繁に使うので、貧血や白血球の減少が出ます。まれに、骨髄の細胞のDNAが傷んで骨髄異形成症候群や白血病が起こることが報告されています。
  • 遺伝の検査がセットBRCA変異は生まれつきのことが多く、血液で調べます。陽性なら本人の治療だけでなく、血縁者の検査や予防の相談(遺伝カウンセリング)につながります。
ここだけ覚える修復酵素をふさぎ、はりつける。白金が効いた人に効く。検査は本人と家族のためのもの。

SECTION 03 なぜこんなに使われるのか:卵巣がんで7年生存47→67%、術後乳がんで再発4割減

決め手になった試験

2018年、BRCA変異のある進行卵巣がん391人で、初回の化学療法が効いたあとに「オラパリブを2年」と「偽薬」を比べました。3年後に進行していない人は27%から60%に増え(Moore ら、NEJM 2018、SOLO-1試験)、 7年後に生きている人は46.5%から67.0%に増えました(DiSilvestro ら、J Clin Oncol 2023)。「2年飲んでやめる」治療で、5年以上たっても差が保たれたのです。

乳がんでは、BRCA変異のある手術後の1,836人に1年飲んでもらうと、3年後に再発していない人が77.1%から85.9%に増え(Tutt ら、NEJM 2021)、死亡のリスクも32%減りました(Geyer ら、Ann Oncol 2022)。 BRCA変異のある去勢抵抗性前立腺がんでは、ホルモン薬(第20回)に比べて進行までの期間が3.6か月から7.4か月に(de Bono ら、NEJM 2020)、膵がんでは白金製剤を含む化学療法のあとの維持療法で3.8か月から7.4か月に延びました(Golan ら、NEJM 2019)。

がん使い方決め手になった試験
卵巣がん、初回化学療法のあとBRCA変異があれば2年。相同組換え修復欠損ならベバシズマブ(第23回)と組むSOLO-1(7年生存46.5→67.0%)、PAOLA-1
卵巣がん、再発後(白金製剤が効いた人)進行するまで飲む2012年の試験(進行まで4.8→8.4か月)、SOLO-2
BRCA変異の乳がん手術後に1年。進行例は化学療法の代わりに術後の試験(3年無再発77.1→85.9%)、進行例の試験(進行まで4.2→7.0か月)
BRCA変異の去勢抵抗性前立腺がん単独、またはアビラテロン(第20回)と組む2020年の試験(進行まで3.6→7.4か月)
BRCA変異の膵がん白金製剤を含む化学療法のあとの維持療法POLO 2019(進行まで3.8→7.4か月)
子宮体がんデュルバルマブを含む化学療法後の維持療法2024年承認

表1 オラパリブの主な使われ方(添付文書と学会ガイドラインによる)。BRCA変異は乳がん・卵巣がんの5〜10%、前立腺がん・膵がんの数%にある。

制度のしくみ

添付文書の対象は、白金製剤感受性の再発卵巣がんの維持療法、BRCA変異陽性の卵巣がんの初回化学療法後の維持療法、相同組換え修復欠損のある卵巣がんのベバシズマブを含む初回化学療法後の維持療法、BRCA変異陽性・HER2陰性の乳がん(化学療法歴のある進行例、再発高リスクの術後)、BRCA変異陽性の去勢抵抗性前立腺がん、BRCA変異陽性の膵がんの維持療法、子宮体がんの維持療法です。 BRCA検査は、この薬の対象かどうかを調べる検査として保険で受けられます。2020年4月からは、条件を満たす乳がん・卵巣がんの患者さんで、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診断のための検査と予防的な手術も保険の対象になりました。

ここだけ覚える2年飲んでやめても、7年後に差が残る。「合成致死」は発想から13年で標準治療になった。

SECTION 04 副作用と、家でできること:吐き気、疲れ、貧血

添付文書の集計では、吐き気47.4%、疲労・無力症36.6%、貧血30.2%、好中球減少13.7%、白血球減少12.0%、血小板減少6.8%。ほかに嘔吐、下痢、食欲低下、味覚の変化、頭痛、めまい。 重大なものとして、間質性肺疾患0.7%、静脈血栓塞栓症(前立腺がんで多い)、重い感染症、そして骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病が「その他の注意」に記されています。

副作用と、家でできること

吐き気は飲み始めの数週間が山で、多くは慣れます。食後に飲む、吐き気止めを予防で使う、が対策です。疲れは「がんばらない日」を作ること。 貧血は採血で見て、息切れやふらつきが強ければ輸血や休薬をします。飲み始めの3か月は毎月採血が基本です。

肺は、空咳・息切れ・発熱が出たら日数に関係なく連絡します。血栓は片脚の腫れ・痛み、急な息苦しさが合図です。 錠剤は100mgと150mgで吸収が違い、300mgのときは150mg錠2つで飲みます。100mg錠3つでは同じになりません。

  • こんなときは階段で息が切れる、ふらつく、顔色が白いと言われた
    こうする貧血の合図。早めに受診して採血を受ける。輸血や休薬で回復する
  • こんなときは空咳が増えた、微熱が続く、息切れ
    こうする間質性肺炎の合図。日数に関係なく、その日のうちに病院へ連絡する
  • こんなときは片脚が腫れて痛い、急な息苦しさと胸の痛み
    こうする血栓の合図。すぐ受診する。夜なら救急に電話する
気をつけること

飲み合わせの多い薬(一部の抗真菌薬、抗菌薬、てんかんの薬など)とグレープフルーツは薬剤師に確かめます。骨髄異形成症候群のリスクがあるため、貧血や血小板減少が長引くときは骨髄の検査をすることがあります。 妊娠中は使えず、女性は治療後6か月、男性は3か月の避妊が必要です。

在宅の現場では

卵巣がんの維持療法でこの薬を飲んでいる方は、「がんが見えないのに毎日2回薬を飲む」ことの意味を、途中で見失いがちです。7年生存率の20ポイントの差を、半年に一度、一緒に見直しています。 吐き気は最初の1か月が山で、そこを越えると楽になる方がほとんどです。

BRCA検査の結果は、本人だけでなく娘さんや姉妹にかかわります。結果をどう家族に伝えるかは、遺伝カウンセリングの窓口(がん相談支援センター経由で紹介)につなぐようにしています。

ここだけ覚える吐き気は最初の1か月。採血は毎月。息切れ・空咳・片脚の腫れは電話。

SECTION 05 薬価と自己負担:1日約1万9千円、月約57万円

薬価と自己負担の目安

リムパーザ錠150mgは4,788円。1回2錠を1日2回で1日19,152円、30日で約57万5千円です。卵巣がんの初回維持療法(2年)で約1,400万円、乳がんの術後(1年)で約700万円になります(薬価基準、令和8年8月13日適用)。 3割負担なら月約17万2千円ですが、高額療養費で、70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%=約8万9千円、4か月目からは44,400円。70歳以上・一般なら外来22,000円が上限です(第1回の表1)。

BRCA検査(血液)は保険で3割負担なら約6万円。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の条件を満たせば、血縁者の検査や予防的な手術も保険の対象です。

100mg錠と150mg錠の生物学的同等性は示されていないため、300mgを投与する際には100mg錠を使用しないこと。 出典:アストラゼネカ「リムパーザ錠100mg・150mg 添付文書」2026年3月改訂、用法及び用量に関連する注意の項
ここだけ覚える月57万円でも自己負担は上限まで。2年飲む人は多数回該当(44,400円)を最初に確かめる。
在宅医の視点

「弱点を突く」という、がんの薬の新しい考え方。

これまでの薬は、がんが「持っているもの」(増えろの合図、目印、血管)を止めました。オラパリブは、がんが「失っているもの」(DNAの修復の道)を突きます。 失っているものを突く薬は、正常な細胞を傷めにくい。この発想は、その後の多くの薬の設計に受け継がれています。

在宅でこの薬の患者さんを診ていて、いちばん時間をかけるのは遺伝の話です。「自分の変異が娘に」という不安は、薬の副作用より重い。だから、遺伝カウンセリングへの橋渡しを、治療の一部と考えています。

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Q&A よくある質問

QBRCA検査で「陽性」でした。子どもに遺伝しますか。
A生まれつきの変異(生殖細胞系列変異)なら、子どもに50%の確率で受け継がれます。息子にも娘にも同じ確率です。受け継いだ人が必ずがんになるわけではありませんが、乳がん・卵巣がん・前立腺がん・膵がんのリスクが高まるので、検診の間隔や予防の選択肢を、遺伝カウンセリングで相談できます。検査を受けるかどうかは、本人が決めることです。
Q2年たって薬をやめました。その後に再発したら、この薬はもう使えませんか。
A再発の時期と、白金製剤がまた効くかどうかで決まります。白金製剤を含む化学療法が効けば、そのあとの維持療法としてPARP阻害薬を再び使う選択肢があります。試験で「2年でやめる」と決めたのは、それでも長く差が残ることが分かったからで、再発後の扱いは主治医と相談してください。
Q白血病になることがあると聞いて不安です。
A骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病は、この薬の試験で1〜2%前後に報告されており、化学療法の影響もあると考えられています。まれですが重いので、貧血や血小板減少が長引くときは骨髄の検査で確かめます。卵巣がんの初回維持療法では、7年生存率が20ポイント上がる利益と、このリスクを天秤にかけて、多くの人で利益が大きいと判断されています。

この回のチェックリスト(第32回ぶん)

  • BRCA(または相同組換え修復欠損)の検査結果をお薬手帳に書いた。
  • 300mgのときは150mg錠2つ。100mg錠3つでは代わりにならないことを家族と共有した。
  • 飲み始めの3か月は毎月採血。息切れ・ふらつきは早めに受診する。
  • 空咳・微熱、片脚の腫れ・急な息苦しさは、待たずに連絡する。
  • 遺伝の相談先(遺伝カウンセリング、がん相談支援センター)を確かめた。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. アストラゼネカ「リムパーザ錠100mg・150mg 添付文書」2026年3月改訂(販売開始2018年4月)(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670227_4291052F1027_1_14)、同 医薬品インタビューフォーム(開発の経緯:2014年12月欧州承認、2018年1月日本承認、2018年7月乳癌、2019年6月卵巣癌初回維持、2020年12月前立腺癌・膵癌、2022年8月術後乳癌、2024年11月子宮体癌)
  2. 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html)
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本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。