がん遺伝子パネル検査:優秀な抗がん剤

優秀な抗がん剤第48回/全50回
がん遺伝子パネル検査

56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割

がんの組織から数百の遺伝子を一度に読み、使える薬を探す。がん遺伝子パネル検査は2019年6月から保険で受けられ、費用は56万円、2026年6月までに約13万人が受けました。結果をもとに新しい薬にたどり着くのは約1割。それでも、たどり着いた人の予後は改善しています。 30億ドルのヒトゲノム計画から日本製のパネルが生まれるまで、専門家の会議「エキスパートパネル」の役目、「約1割」の中身と受ける時期の問題、数%の人に見つかる生まれつきの変化(二次的所見)、受ける前に決めておくこと、そして「薬を探す検査」が「探し終える検査」でもあるという在宅の視点まで書きます。

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この回の結論

  1. がん遺伝子パネル検査は、がんの組織(または血液)から数百の遺伝子を一度に読み、使える薬を探す検査です。2019年6月から保険で受けられ、費用は56万円(自己負担は割合に応じて、高額療養費の対象)。標準治療が終わった、または終わる見込みの固形がんの人が、300を超える病院で、1人1回受けられます。
  2. 検査を受けた人のうち、結果をもとに新しい薬にたどり着くのは約1割です。それでも、たどり着いた人の予後は改善し、治験や患者申出療養など「承認前の薬」への道も開けます。2026年6月までに約13万人が受け、日本はこの検査のデータを国が1か所(C-CAT)に集める、世界でも珍しい仕組みを作りました。
  3. 検査には「がんの薬を探す」以外の顔があります。数%の人で、生まれつきの遺伝子の変化(二次的所見)が見つかり、血縁者にかかわる話になります。受ける前に「知りたいか、知りたくないか」を決めておくこと、そして結果を待つ1〜2か月の間の過ごし方を、この回で書きます。

この検査のプロフィール

名前がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)
何を調べるかがんの組織または血液から取ったDNA(一部はRNAも)を、次世代シーケンサーで読み、数十〜数百の遺伝子の変化を一度に調べる
誰が受けられるか標準治療がない、または標準治療が終わった(終わる見込みを含む)固形がんの人で、検査後に薬物療法を受けられる体力のある人。1人1回
どこでがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院(全国300以上)。結果は「エキスパートパネル」という専門家の会議で検討される
保険の始まり2019年6月(組織のパネル2種類)。2021年8月から血液のパネル、2023年から血液・組織のパネルがさらに追加
費用検査56,000点=560,000円(検体提出時440,000円、結果説明時120,000円)。自己負担は1〜3割で、高額療養費の対象

SECTION 01 生まれた日:30億ドルの解読から、56万円の検査まで

人の遺伝子をすべて読む「ヒトゲノム計画」は、13年と約30億ドルをかけて2003年に終わりました。その後、遺伝子を読む機械(次世代シーケンサー)の値段は急速に下がり、2010年代には1人分のゲノムを数十万円で読めるようになります。がんは遺伝子の変化の病気です(第26〜33回)。ならば、患者さんのがんの遺伝子を丸ごと読めば、効く薬が分かるのではないか。 米国では2010年代前半に数百の遺伝子を一度に調べる検査が商品になり、2017年、米国食品医薬品局が承認しました。

日本では、国立がん研究センターが2013年から自前のパネルを作り始めました。日本人のがんに多い遺伝子を選び、がんの組織と正常な血液を同時に読んで、生まれつきの変化と、がんで起きた変化を区別できる設計です(Sunami ら、Cancer Sci 2019)。 2018年12月、このパネル(NCC オンコパネル)と米国のパネル(FoundationOne CDx)が同時に承認され、2019年6月1日、保険で受けられるようになりました。同じ年、検査の結果と診療の記録を国が1か所に集める「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」が動き出します(Kohno ら、Cancer Discov 2022)。

2021年には血液で調べるパネル、2023年には血液のもう1つと、737の遺伝子を読む組織のパネルが加わりました。登録は2025年3月に10万人を超え、2026年6月には約13万人。2026年1月、国立がん研究センターと慶應義塾大学は、5万人以上のデータから、この検査で薬にたどり着いた人の予後が改善していることを示しました。 保険で受けられる検査としては、世界で最も大きな仕組みの1つです。

  • 2003年ヒトゲノム計画が終わる。13年、約30億ドル。
  • 2013年国立がん研究センターが、日本人向けのパネル(のちの NCC オンコパネル)の開発を始める。
  • 2017年米国で、324遺伝子のパネル(FoundationOne CDx)を承認。
  • 2018年12月、日本で2つのパネルを承認。C-CAT を設立。
  • 2019年6月1日、保険で受けられるようになる(56万円)。
  • 2021年8月、血液で調べるパネルが保険に。2023年、血液のもう1つと737遺伝子の組織のパネルが加わる。
  • 2025年3月、C-CAT の登録が10万人を超える。10月、標準治療が終わる前に検査する枠組み(先進医療)が始まる。
  • 2026年1月、5万人のデータで「薬にたどり着いた人の予後が改善」と報告。6月、登録は約13万人に。
エキスパートパネルとは、パネル検査の結果を検討する専門家の会議です。がんの薬の医師、病理医、遺伝の専門医、遺伝カウンセラー、バイオインフォマティクス(遺伝子データの解析)の専門家などが集まり、見つかった遺伝子の変化ごとに「効く可能性のある薬があるか」「その薬は承認されているか、治験があるか」「生まれつきの変化の疑いがあるか」を判定して、主治医に返します。 検査の値段(56万円)のうち12万円は、この会議と結果の説明の費用です。
ここだけ覚える数百の遺伝子を一度に読む検査が、2019年から保険で受けられる。結果は専門家の会議を通って戻ってくる。

SECTION 02 どうやって調べるのか:組織を送り、1〜2か月待つ

手術や生検で採ったがんの組織(保存してあるもので足りることが多い)と、血液を病院から検査会社に送ります。DNAを取り出し、数百の遺伝子を読み、正常と違う場所を見つけ、その変化に「効く薬があるか」を世界の論文と照らして報告書にまとめます。報告書はエキスパートパネルで検討され、主治医から説明されます。 検体を出してから説明まで、通常1〜2か月かかります。組織が古い、量が少ない、質が悪いと、読めずに終わることもあり、その場合は血液のパネルが選ばれます。

  • 見つかる「変化」は4種類に分けられる(1)承認された薬がある変化(例:肺がんの EGFR、第27回)、(2)他のがんで承認された薬がある変化(第49回の臓器横断的な薬はここから生まれた)、(3)治験中の薬がある変化、(4)薬のない変化。多くの人の結果は(4)で、(1)〜(3)に当たっても、体力や病気の勢いで薬まで届かないことがあります。
  • 生まれつきの変化が見つかることがあるがんの遺伝子を読むと、数%の人で、生まれつき(生殖細胞系列)の変化が疑われます。BRCA(第32回)、リンチ症候群の遺伝子などです。本人の別のがんの予防と、血縁者の検査にかかわるので「二次的所見」と呼び、知りたいかどうかを検査前に決めておきます。
  • 組織と血液は、得意が違う組織は確実ですが、古いと読めません。血液は採るのが楽ですが、がんからにじみ出るDNAが少ないと見つかりません(第50回)。保険では、組織が使えないときに血液を使うのが原則です。
ここだけ覚える組織を送って1〜2か月。結果は「薬がある・他のがんの薬がある・治験がある・ない」の4種類。生まれつきの変化も見つかる。

SECTION 03 なぜ「約1割」なのか:たどり着いた人には意味がある

決め手になった試験と、実際の数字

パネル検査そのものは、くじ引きの比較試験で「生存を延ばす」と証明された検査ではありません。承認の根拠は、遺伝子を正しく読めること(精度)と、見つかった変化に薬が結びつくこと(有用性)でした。 実際の数字は、C-CAT に集まった記録から分かります。2026年1月、国立がん研究センターと慶應義塾大学が5万人以上を解析したところ、検査の結果をもとに新しい標的治療を受けた人は全体の8.0%でした。がんの種類で大きく違い、治験や患者申出療養を含めると約1割です。

一方で、たどり着いた人の予後は改善していました。国内で承認された薬だけでなく、国内では未承認でも効果の証拠がある薬の標的が見つかった人でも、予後が良いという結果で、治験や患者申出療養を通じて承認前の薬を使う道の価値を示しています。 「1割」は少なく聞こえますが、その1割は、この検査がなければ薬にたどり着けなかった人たちです。

検査を受ける時期も問題になっています。日本の保険では「標準治療が終わった(終わる見込み)」人が対象ですが、初回の治療の前に検査したほうが薬にたどり着く割合が約3倍高いという国内の試験結果があり、2025年10月から、標準治療が終わる前に検査する枠組み(先進医療)が始まりました。

検査(会社)調べるもの遺伝子の数保険の開始
OncoGuide NCC オンコパネル(国立がん研究センター・シスメックス)がんの組織+血液(正常)1242019年6月
FoundationOne CDx(中外製薬)がんの組織3242019年6月
FoundationOne Liquid CDx(中外製薬)血液3242021年8月
Guardant360 CDx(ガーダントヘルス)血液742023年7月
GenMineTOP(コニカミノルタ)がんの組織+血液(正常)。RNA も7372023年8月

表1 保険で受けられるがん遺伝子パネル検査(2026年9月時点)。費用はいずれも56,000点(560,000円)。血液のパネルは、組織が使えないときに限る。

制度のしくみ

保険で受けられるのは「標準治療がない固形がん」または「標準治療が終了した(終了が見込まれる者を含む)固形がん」で、検査のあとに薬物療法を受けられる体力があると主治医が判断した人です。原則1人1回。結果と診療の記録は、本人の同意のもとで C-CAT に登録されます。 検査ができるのは、がんゲノム医療中核拠点病院(13)、拠点病院(32)、連携病院を合わせた全国300以上の病院です。かかりつけの病院が連携病院でなければ、紹介を受けて受診します。

ここだけ覚える薬にたどり着くのは約1割。その1割の予後は改善する。受ける時期が早いほど届きやすい。

SECTION 04 受ける前に決めること、待つ間にすること

この検査では、薬のような副作用は起こりません。組織は保存してあるものを使うことが多く、血液の採取だけで終わることもあります。かわりに、この検査には「結果の受け止め方」という、薬にはない負担があります。

検査の負担と、家でできること

受ける前に決めること。(1)二次的所見(生まれつきの変化)が見つかったとき、知らせてほしいか。知らせてほしい場合、血縁者に伝えるか。(2)結果が「薬なし」だったとき、次に何をするか(緩和ケアを含めて)。(3)体力が落ちて、薬まで届かない可能性があること。この3つを、検査の同意の前に家族で話しておくと、結果の日に慌てません。

待つ間にすること。結果まで1〜2か月です。この間に病気が進むこともあるので、「待つ間の治療」(続けられる標準治療、放射線、症状を和らげる治療)を主治医と決めておきます。結果の日には、家族が同席し、「薬がある場合、それは承認薬か、治験か、患者申出療養か」「費用と場所」「二次的所見の有無」を聞きます。

  • こんなときは「標準治療はこれで最後になる見込み」と言われた
    こうするパネル検査を受けられる時期。体力があるうちに、主治医に「パネル検査の相談ができるか」を聞く
  • こんなときは結果で「生まれつきの変化の疑い」と言われた
    こうする確定には別の採血が要る。遺伝カウンセリング(第32回)を受け、血縁者に伝えるかを一緒に考える
  • こんなときは結果は「薬なし」。家族が「自由診療の遺伝子治療」の広告を見つけてきた
    こうする受ける前に主治医か当院に相談する。関連記事(詐欺医療に騙されない)を読む
気をつけること

「遺伝子検査」という言葉は、自由診療の広告にも使われます。唾液で「がんになりやすさ」を調べる検査、血液で「がんの有無」を調べる検査、パネル検査の結果をもとに未承認薬を数百万円で売る医療機関。この回の検査は、承認された機器で、指定された病院で、専門家の会議を通して、保険で行うものです。 結果を持って別の病院を受診するときは、報告書とエキスパートパネルの記録を必ず持参します。同じ検査は原則1回しか保険で受けられません。

在宅の現場では

在宅で私たちが出会うのは、「標準治療が終わる」と言われた時期の患者さんです。パネル検査の話が出るのも、この時期です。体力が保たれているうちに受けなければ、結果が出ても薬まで届きません。結果を待つ1〜2か月を、家でどう過ごすか。この判断に、私たちも加わります。

結果が「薬なし」だった患者さんに、「検査を受けて損だった」と言われたことがあります。私はこう答えました。「可能性を確かめた、ということです。確かめずに終わるより、確かめて終わるほうが、あとで悔いが残らないと思います」。1割に入らなかった9割の人にも、この検査は「もう探すことはない」という区切りを与えます。それも、この検査の役目だと考えています。

ここだけ覚える受ける前に、二次的所見を知りたいか、薬がなかったときの次を決める。待つ間の治療も決めておく。

SECTION 05 費用と自己負担:56万円、3割なら16万8千円、高額療養費の対象

費用と自己負担の目安

保険の点数は、検体を出すときに44,000点(440,000円)、結果の説明のときに12,000点(120,000円)、合わせて56,000点=560,000円です。自己負担が3割なら168,000円、1割なら56,000円ですが、高額療養費の対象なので、70歳未満・年収約370〜770万円なら月85,800円+(医療費−286,000円)×1%=約88,500円(検体提出の月)、70歳以上・一般なら外来は月22,000円が上限です(第1回の表1)。 検査の月に他の治療費があれば合算されます。

見つかった薬が承認薬なら通常の保険診療、治験なら薬代は治験の費用で、患者申出療養(承認前の薬を国の審査のもとで使う制度)なら薬代は自己負担になります。「結果が出たあとの費用」は、薬の種類で大きく変わるので、結果の日に必ず聞いてください。

十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、TMB-Highが確認された患者に投与すること。検査にあたっては、関連学会のガイドライン等の最新の情報を参考に、先行の化学療法等によるTMB検査結果への影響及び検査に用いる検体の採取時期について確認し、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。 出典:MSD「キイトルーダ点滴静注100mg 添付文書」、効能又は効果に関連する注意の項(パネル検査で見つかる目印の1つ「TMB-High」について、承認された検査で確かめてから使うことを定めている)
ここだけ覚える56万円、自己負担は上限まで。結果のあとの薬の費用は、承認薬・治験・患者申出療養で変わる。
在宅医の視点

「薬を探す検査」は、「探し終える検査」でもある。

この連載で書いてきた薬の多くは、検査で「効く人」を選んでから使う薬でした(第22・24・27・28・31・32・40・45回)。パネル検査は、その検査を数百の遺伝子について一度に行い、「自分のがんに、いま世界にある薬の目印があるか」を確かめます。たどり着くのは1割。その1割にとっては、命にかかわる1割です。

在宅の私たちにとって、この検査のもう1つの意味は「区切り」です。探せるものは探した。だから次は、残された時間をどう過ごすかを考える。結果が「薬なし」でも、その日から患者さんと家族の時間の使い方が変わることを、私は何度も見てきました。検査の値段56万円には、その区切りの値段も含まれていると思っています。

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Q&A よくある質問

Q診断されたばかりです。最初にパネル検査を受けてはいけないのですか。
A2026年9月時点で、保険で受けられるのは「標準治療がない」か「標準治療が終わった(終わる見込み)」場合です。診断時には、がんの種類ごとに決まった検査(肺がんの EGFR や ALK、大腸がんの RAS など、第24・27回)を行い、それに合わせた標準治療から始めるのが原則です。ただし、早い時期に受けたほうが薬にたどり着きやすいことが分かってきており、2025年から標準治療が終わる前に検査する先進医療が始まっています。「自分の場合はいつ受けるのがよいか」を主治医に聞いてください。
Q結果で「他のがんで承認された薬が効く可能性」と言われました。使えますか。
Aその薬が「がんの種類を問わず」承認されていれば(第49回)、保険で使えます。そうでない場合、その薬は自分のがんには承認外(適応外)なので、治験があればそれに参加する、なければ患者申出療養という制度で国の審査を受けて使う、といった道になります。患者申出療養では薬代が自己負担になり、数百万円になることもあります。エキスパートパネルの記録に、どの道があるかが書かれているので、主治医と一緒に確かめてください。
Q生まれつきの変化が見つかると、子どもに伝えなければなりませんか。
A伝えるかどうかは本人が決めることで、義務ではありません。ただ、血縁者にとっては、がんの予防や早期発見につながる情報です。遺伝カウンセリングでは、伝え方、伝える時期、血縁者が検査を受ける手順(費用の一部は保険)を一緒に考えます。検査の前に「知らせてほしくない」と決めることもできます。第32回で、BRCA の例を詳しく書きました。

この回のチェックリスト(第48回ぶん)

  • 「標準治療が最後になる見込み」と言われたら、体力のあるうちにパネル検査の相談をする。
  • 受ける前に、二次的所見を知りたいか、薬がなかったときの次を、家族で決めておく。
  • 結果を待つ1〜2か月の「待つ間の治療」を主治医と決める。
  • 結果の日は家族が同席し、「承認薬か、治験か、患者申出療養か」「費用と場所」を聞く。
  • 「遺伝子検査」「遺伝子治療」の自由診療は、受ける前に主治医か当院に相談する。

この回に関連する記事

連載の外にある、ふくろう訪問クリニックのコラムです。この回の内容をさらに掘り下げたいときに読んでください。

連載「優秀な抗がん剤」全50回

  1. 抗がん剤80年の歴史——毒ガスから「自分の細胞」まで、80年でここまで来た
  2. シクロホスファミド——毒ガスの研究から生まれた、最初の抗がん剤
  3. メトトレキサート——白血病の子どもに、初めて「寛解」をもたらした薬
  4. フルオロウラシル(5-FU)——60年以上、消化器がんの土台であり続ける理由
  5. ビンクリスチン——糖尿病の薬を探していたら、白血病の薬が見つかった
  6. ドキソルビシン——アドリア海の土から生まれた「赤い薬」と、心臓の話
  7. シスプラチン——電極の実験の偶然が、精巣がんを「治る病気」に変えた
  8. カルボプラチン——腎臓と吐き気にやさしく設計された、シスプラチンの「弟」
  9. パクリタキセル——イチイの木を切り尽くす前に、葉から作れるようになるまで
  10. ドセタキセル——前立腺がんで初めて「延命」を証明した化学療法
  11. ゲムシタビン——抗ウイルス薬の候補が、膵がんの標準治療になるまで
  12. ペメトレキセド——蝶の羽の色素の研究から生まれた、肺がんと中皮腫の薬
  13. テモゾロミド——脳腫瘍の治療を変えた、家で飲める抗がん剤
  14. オキサリプラチン——名古屋で生まれ、フランスで育ち、日本に帰ってきた薬
  15. イリノテカン——中国の木の成分を、日本の乳酸菌の会社が薬にした
  16. S-1(ティーエスワン)——日本生まれの「飲む5-FU」が、世界の標準を変えた
  17. タモキシフェン——避妊薬の失敗作が、世界で最も使われた乳がんの薬になった
  18. アロマターゼ阻害薬——「女性ホルモンを作らせない」という発想の乳がん治療
  19. リュープロレリン——武田薬品の徐放製剤が変えた、前立腺がんのホルモン療法
  20. エンザルタミドとアビラテロン——前立腺がんのホルモン療法に「上乗せ」する時代へ
  21. リツキシマブ——世界初のがん抗体医薬。CHOPに「R」がついて何が変わったか
  22. トラスツズマブ——HER2という「敵の印」を初めて狙い撃ちした薬
  23. ベバシズマブ——「がんは血管を呼ぶ」という仮説から、30年かけて薬になった
  24. セツキシマブとパニツムマブ——皮疹が出る人ほど効く、大腸がんの抗体薬
  25. ゾルベツキシマブ——胃の細胞の「接着剤」を狙う、2024年の新しい胃がんの薬
  26. イマチニブ——「魔法の弾丸」が、死の病だった白血病を飲み薬で抑えた
  27. オシメルチニブ——イレッサの光と影から、第3世代の肺がんの薬へ
  28. アレクチニブ——自治医大の発見を中外製薬が薬にした、純国産の肺がん治療薬
  29. レンバチニブ——エーザイの研究所から生まれた、肝がん・甲状腺がんの飲み薬
  30. エベロリムス——イースター島の土から見つかった成分の子孫
  31. CDK4/6阻害薬——お蔵入り寸前の化合物が、乳がんのホルモン療法を変えた
  32. オラパリブ——「合成致死」という発想と、BRCA遺伝子検査
  33. RASの40年——「薬にできない」と言われた標的に、ソトラシブからダラクソンラシブへ
  34. レナリドミド——サリドマイド薬害から復活した、骨髄腫の薬
  35. ダラツムマブ——点滴8時間が皮下注5分になった、骨髄腫の抗体薬
  36. ベネトクラクス——「細胞の自殺」を止めるタンパクを外す、高齢者の白血病の薬
  37. トレチノインと亜ヒ酸——ビタミンAの仲間と「毒」が、最も治る白血病を作った
  38. イピリムマブ——免疫の「ブレーキ」を外す最初の薬と、ノーベル賞
  39. ニボルマブ(オプジーボ)——本庶佑のPD-1と、薬価をめぐる騒動
  40. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)——開発中止寸前だった薬が、世界一売れる薬になった
  41. アテゾリズマブ+ベバシズマブ——肝がんの一次治療を10年ぶりに変えた組み合わせ
  42. 二重特異性抗体——片手でがん、片手で免疫細胞をつかむ薬
  43. CAR-T細胞療法——6歳の少女を救った「自分の免疫細胞を薬にする」治療
  44. mRNAがんワクチン——コロナワクチンの技術で、患者ごとに作る「オーダーメイド」
  45. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)——第一三共の「がんに薬を運ぶミサイル」
  46. エンホルツマブ ベドチンとADC——40年続いたシスプラチンの時代を終わらせた薬
  47. ルテチウム-177——「診断と治療を同じ分子で」放射線を出す薬が家に帰るとき
  48. がん遺伝子パネル検査——56万円で数百の遺伝子を読み、薬にたどり着くのは約1割
  49. 臓器横断的な薬——「臓器ではなく遺伝子で」薬を選ぶ時代
  50. リキッドバイオプシー——血液でがんの遺伝子を追い、再発の芽を見る

薬のこと・お金のことの相談先

電話番号や制度の内容は変わることがあります。最新の内容は各ページでご確認ください。治療中の方も、治療を終えた方も、ご家族だけでも相談できます。

  • 治療を受けている病院の外来・化学療法室副作用が出たとき、まず連絡する先です。夜間や休日の連絡先は、治療の説明書や「治療日誌」に書かれていることが多いので、目につく場所に貼っておいてください。
  • がん相談支援センター治療や薬のこと、お金や仕事のことを無料で相談できます。県内すべてのがん拠点病院にあり、その病院にかかっていなくても利用できます/福岡県「福岡県内のがん拠点病院がん相談支援センター」
  • がん情報サービス(国立がん研究センター)がんの種類ごとの標準治療と、使われる薬の情報を、公的機関がまとめています/ganjoho.jp
  • くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)処方された薬の飲み方・注意・副作用を、薬の名前で調べられる患者向けの情報です/rad-ar.or.jp/siori
  • 高額療養費制度の窓口(加入している健康保険)1か月の自己負担に上限を設ける制度です。会社の健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など、保険証(資格確認書)に書かれた保険者に申請します。マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになります/厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • かかりつけ薬局の薬剤師飲み薬の抗がん剤と、ほかの薬・サプリメント・食べ物との飲み合わせは、薬局で確かめられます。お薬手帳を1冊にまとめておくと早いです。

REFERENCE 参考資料

  1. 国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター(C-CAT)「がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査」(登録状況、検査の受け方、統計情報)(https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/);国立がん研究センター・慶應義塾大学 プレスリリース「がん遺伝子パネル検査の実臨床における有用性を解明」2026年1月8日(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2026/0108/index.html)
  2. MSD「キイトルーダ点滴静注100mg 添付文書」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/170050_4291435A2025_1_28);日本医療研究開発機構(AMED)「がん遺伝子パネル検査 二次的所見 検討資料 Ver 1.0」2021年8月16日(https://www.amed.go.jp/content/000087774.pdf)
  3. 日本医療政策機構「がん遺伝子パネル検査への患者アクセス保障と持続可能ながんゲノム医療の実現に向けた政策提言」2025年4月(https://hgpi.org/wp-content/uploads/HGPI_PolicyRecommendation_20250430_CGP_JPN.pdf)
  4. Sunami K, et al. Feasibility and utility of a panel testing for 114 cancer-associated genes in a clinical setting: a hospital-based study. Cancer Sci. 2019;110(4):1480-1490(https://doi.org/10.1111/cas.13969);Kohno T, et al. C-CAT: the National Datacenter for Cancer Genomic Medicine in Japan. Cancer Discov. 2022;12(11):2509-2515(https://doi.org/10.1158/2159-8290.CD-22-0417)
  5. Nakamura Y, et al. Clinical utility of circulating tumor DNA sequencing in advanced gastrointestinal cancer: SCRUM-Japan GI-SCREEN and GOZILA studies. Nat Med. 2020;26(12):1859-1864(https://doi.org/10.1038/s41591-020-1063-5)
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんゲノム医療 もっと詳しく」(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/genmed02.html)
本記事は、添付文書・学術論文・公的機関の資料をもとに、それぞれの薬について現時点で分かっていることを、 一般の方向けに整理したものです。記事中の効果の数字は臨床試験に参加した集団の結果であり、 一人ひとりの効き方や副作用の現れ方とは異なります。薬価は記載時点の薬価基準によるもので、改定で変わります。 治療の選択・変更・中止は、必ず主治医とご相談ください。研究は日々更新されますので、 記載の内容は公開時点のものとしてお読みください。